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百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

梶尾真治 『サラマンダー殲滅』(1990)

2012年09月17日 | SF 系外

カバーイラスト=永田千秋
(ソノラマ文庫 か2-3/4)


極悪非道のテロ集団、汎銀河聖解放戦線に夫と愛娘の命を奪われ、神鷹静香は精神的衝撃のどん底にあった。だがその中で、静香は自らが復讐の戦士となることを決意したのだ。激しい戦闘訓練をかさねる静香。しかし、彼女が真の戦士となるためには、かけがえのない対価を払わねばならないのだった。第12回日本SF大賞受賞に輝く、不朽のエンタテインメント大作!!

汎銀河聖解放戦線の本部《サラマンダー》は、はるか彼方の灼熱の惑星にあった。しかも、汎銀戦は新たなるテロを画策しているのだ。ついに、静香を支え、全人類の平和を願う人々が結集し、常識を超えた<マトリョーシカ>戦法が実行に移されていく。一方、復讐に燃える静香の心に生じた空白も徐々に大きくなっていくのだった。「ランクを超越した傑作」、完結!!

 ランクって何?(笑) 日本SFに疎かったので、この作者も知りませんでした(笑) カジシンっていうんですね。しかも読了後知ったんですが、映画『黄泉がえり』の原作者だったんですね。さすがに映画は観ていました。でもあの映画とこの本、結び付かないな~(笑) 内容は豪華ごった煮SFというか、おかずを盛れるだけ盛った豚汁というか、エンターテインメント大作というのも頷けます(笑) 主人公静香が女性なので感情移入がしにくかったのと、静香を支える夏目が序盤と後半でキャラが変わってしまったかのように思える点があったり、グロテスクな場面が数か所あったり、そんなに短期間に肉体改造出来るの? とか他にも突っ込みどころがあるにはあるんですが、それ以上にストーリーの面白さに軍配が上がります。ヘヴィ・メタル界ではクサいメロディを持った楽曲やバンドをクサメタルと呼ぶんですが、ニキのとった行動とかもうこれはクサSFですね(笑) エピローグはもっと素直に終わらせてもいいのに…という少し捻り過ぎの感がありました。次は『クロノス・ジョウンターの伝説』を読むぞw

堀晃 『バビロニア・ウェーブ』(1988)

2012年09月17日 | SF 系外

Akira Hori "The Babylonia Wave"
Cover Illustration 加藤直之 Naoyuki Katoh
(創元SF文庫 SFほ1 1)


太陽系から3光年の距離に発見された、銀画面を垂直に貫く直径1200キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束――バビロニア・ウェーブ。いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は膨大なエネルギーを手中にできる。傍らに送電基地が建造されたが、そこでは極秘の計画が進行していた。日本ハードSFを代表する傑作。星雲賞受賞。

 堀晃唯一の長編作品? 大好きな光瀬龍の宇宙観にも通じるような雰囲気があったので、ページを捲るのを惜しみつつも一気に読了してしまいました。仕掛けが明かされる圧巻のラストは只々凄いの一言。ところで"ウェーブ"じゃなくって"ウェーヴ"じゃないの?