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あずきさんの和菓子のお散歩

東京にある和菓子屋さんを、みーんな訪ねてみようという無謀なことを考えました。日々これ一歩前進中。

30番目(文京区-3)・江戸前和菓子の手本「喜久月」

2008年01月11日 | 上野、根津、本郷、湯島で和菓子
 2008年の最初の和菓子屋訪問は、お気に入りの店「喜久月」から。ショップデータはすでに去年、アップしてあるので(文末参考)、まずは正月の生菓子を紹介しますね。



菓銘は「梅」。江戸なお味のシャキットした生菓子です。



菓銘「昆布巻」。これはなかなか変わっているお菓子です。昆布と思いきや、実は薄切りの羊羹なのですねー。中には漉し餡。正月ならではのかわり菓子。



菓銘「古露柿」。このタイプの生菓子はほかの店にもあるけど、歯切れのよさが「喜久月」ならでは。



菓銘「うぐいす」。定番菓子ですが、やっぱりこの店ならではのさっくり食感は面白いです。ねちーーっとのびず、さっくり歯ごたえ。もちろん柔らかいのだけど。

そんなわけで、また通っちゃうだろうなぁ。

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以下は2007年6月6日にアップした文章です。
 すっかりおさぼりしちゃったけど、和菓子屋めぐりは着々と実行中。手持ちネタが増えてしょうがないです。
 さてと。今回はだいだいだい好きなお店のルポです。場所は根津駅から徒歩6分ほど。東京芸術大学の裏手という感じのロケーションにある「喜久月」。お江戸の和菓子の味を知りたい人なら、絶対に行かなくちゃ!



 言問通りに面した店舗は東京大空襲でも焼けなかった年代物です。左側が店舗、右側にはお茶をいただけるテーブル席が少々在ります。

 娘たちを連れて、わさわさ買い物に参上。

 小さなガラスのショーケースがひとつあるだけの昔ながらの店構えで、さりげなく神棚があったりして。店に飾ってある絵画は店主の青山信雄さんが収集しているもの。青山さんは御年85歳だけれど、それはちゃきちゃきした江戸っ子職人さんで、和菓子を語らせると面白いことこの上ない。現在は2人の息子さんたちが作業の実際をやって、青山さんは厳しい味チェックで「喜久月」の和菓子を守っているそうです。

 さて、さっそく和菓子を並べてみましょうね。

 「山吹」。毛篩で細かく押し出したきんとんが綺麗。


 「君時雨」。焼き色がきれいな上に香ばしい。


 「若楓」。 上生菓子のお手本。さっくりした歯触りが麗しい。


 「若鮎」。これは鮎のかわいい意匠がすてき。


 「清流」。琥珀と羊羹の部分のさっくりした感触が完全に一致しているのには驚きます。


 「柏餅」。中は漉し餡で、この一種類しかないけどぜひに食べたいひと品。というのも...理由は以下の青山さんから直接うかがったお話しで納得してくださいませ。
「柏餅の皮(餅)は二回蒸さないといけないのよ。昔通り、がったんこがったんこと搗くでしょ。搗いたら人肌の熱さにして葛粉を入れてよく揉んで、柏餅にこしらえて蒸籠に入れる。ふかすと葛が透明な葛に帰る。その時、カニみたいにぷくぷくと柏餅全体が吹くんですよ。と、パーッと泡を消して、もう一回ふかす。三回やったらできる。搗いたしんこの中に混ぜた葛がもとの透明なくずになるでしょ。で、ぴかっと光った。葛はしこしこするでしょ。しんこはねとりねとり。しこしこねとりねとり。だから食べてちょうどいい。これが本当の日本の味なんですよ」
 この話を聞いたら、もうこれは「喜久月」の柏餅を食べずに和菓子は語れない。そんなわけで食べました。しこしことねとりねとりが合体して、しゃきっと、あるいはさくっと。これが江戸っ子な歯切れ良さで。我が口と舌よ。しっかり覚えておけ。


 最後に「喜久月」の看板菓子、「柚子餅」と「青梅」を。


 梅そっくりなんだけど、外側は抹茶いり求肥。中は京の白味噌と砂糖を入れて煉り上げた白餡。美味爛漫。


 こちらが柚子餅。柚子も青山さんのお眼鏡にかなったものを一年分、まとめて仕入れているらしいです。柔らかさに香りの瞬間を閉じこめる。そんな菓子の文化なのだなぁ。

 嬉しくて書きすぎちゃいました。店舗詳細情報はここ↓に書いたものがありますから(私が書いたのですww)、ぜひごらんくださいな。
喜久月

東京都台東区谷中6-1-3
03-3821-4192

9:00~18:00
火曜休
地下鉄千代田線根津駅より徒歩6分

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26番目(文京区-1)・「壺屋総本店」でもなか三昧

2007年04月03日 | 上野、根津、本郷、湯島で和菓子
 甘党業界は東京ミッドタウンで大いに盛り上がっているけれど(とらやもオープンしたみたいだしね)、私は時流にちっとものらず、というよりまったく反対路線でいきましょうか。
 今日の和菓子屋は「壺屋総本店」です。湯島天神の近くにあるこの店は寛永年間(17世紀前半くらいね)にできた、おそるべき老舗。



 ぼんやり歩いていると通り過ぎちゃうようなひなびた佇まいが粋です。店の中もシンプルそのもの。



 名物の「壺最中」を商うべくしてある、このショーケースです。でもちょっと辺りを見回すと、この店の歴史を語る写真なども飾ってあります。



 ほう。明治時代の支店の写真か。



 これは当時の菓子屋番付のようなものでしょう。ちゃんと「つぼや」ありました。この店は江戸時代の書物「江戸総鹿子名所大全」「江戸買物独案内」にも紹介されているほど。明治維新の時、徳川家と一緒に廃業しようかと決意を固めていたら、あの勝海舟(彼自身もここの最中をひいきにしていたらしい)に、市民の味を守れと諭され看板を書いてくれたのだとか。

 いわれを聞けば聞くほどすごいのだけど、さてお菓子のほうは。



 とにかく最中なんです。大きさ形は違っても、みんな同じ皮に餡。お好みのサイズを選んで楽しむすんぽうです。手前左側の壺型の最中が文字通りの「壺形最中」。横8センチ、縦6センチでなかにあんこがドンッ。かなりの迫力です。そして手前右側が「壺最中」。こちらは直径6.5センチ。奥の小降りなやつが「壺々最中」で直径5.5センチ。私的には「壺々最中」の箱詰めなどがたまらなく好きですが、あんこ喰いならば「壺形」を攻めるのも楽しいか。



 注文すると奥で餡を詰めてくれますから、いつもぱりぱり&しっとりと。餡と皮の溶けあうような、個性を語るような風情が粋な江戸の味。



 ↑こちらは粒あん。最中はやはりあんこ喰いの菓子だから、壺屋のあんこで思い切り江戸に浸りきってください。正直、何個でも食べられるので非常にキケンです。



 あー。この一箱(1350円)くらい、あっという間なんです。反省してください、自分...。

「壺屋総本店」
文京区本郷3-42-8
9:00~19:00(土曜祝日は17:00)
日曜休
03-3811-4645

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6番目(台東区-3)・上野の「上野 亀井堂」

2006年03月11日 | 上野、根津、本郷、湯島で和菓子
 この瓦せんべいを人にさしあげたら、「懐かしいなぁ」という声が飛んで返ってきました。きれいに反り返った瓦形、丸い瓦、どれも子ども時分に食べたような気がして、よく考えたら最近の家々に瓦屋根も少なくなって、今の子ども達の目には新鮮に映るかもしれません。





 さて、この懐かしの瓦せんべいを作っているのは、明治二十三(一八九〇)年創業の「上野 亀井堂」です。同年、上野公園で開かれた勧業博覧会に神戸出身の初代・松井佐助さんがこの瓦せんべいを出品して大評判になり、現在の場所(上野公園の入り口近く、中央通り沿い)に店舗を構えました。小麦粉と卵と砂糖という永遠のシンプル素材を混ぜて鉄板で挟んで焼いて、「葵」の紋所(上野寛永寺の紋です)をジュッと押し、柔らかいうちに台に載せて瓦の曲線を出すそうです。
 昔ながらの瓦せんべいというと、あごが外れるくらい固いというイメージだけど、亀井堂の瓦はオーブンで焼けばカステラになるという生地なのでサクッとした歯ごたえ。そして卵と砂糖の甘い香りがします。写真は「小瓦」、「古代瓦」、「西暦せんべい」、ピーナツいりの「ふらいびーんず」。



 昭和二十八年に三代目が考案した「文楽人形焼」もなかなか丁寧な仕事ぶりですが(餡あり、餡なしと両方あるので好みで選べます)、上野動物園のお膝元ということで、「動物焼」もたまらないかわいさ。ライオン、パンダ、猿、兎、キリン、熊など、餡なし皮だけの動物たちが90g入り小袋で売られていて、すごく楽しいおみやげなんですよ



「上野亀井堂」
東京都台東区上野4-5-6
03-3832-1001
http://www.kamei-do.co.jp

5番目(台東区-2)・上野アメ横の「かるた家」

2006年02月28日 | 上野、根津、本郷、湯島で和菓子
以前は西郷さんの立つお山の下の雑居ビルに入っていた名物まんじゅうやさんの「かるた家」。
ビルの建て替えで店を宿がえし、今はアメ横に入って、チョコのたたき売りの店を通り過ぎ、歩くこと2、3分。

上中(うえちゅん)に入る手前の、アメ横名物ナゾの銅像のすぐの右側に店舗を構えてます。
(都まんじゅうという看板が光ってますね)


国立博物館で展覧会を見に行った時に立ち寄ったら、若店主が
「うちは創業50年になりますよ。昔は西郷さんの下でやってました」
と気軽に声をかけてくれました。
「2代目のご主人ですか?」
と尋ねると、
「え、まぁ」
この部分だけなぜか小声に。恥ずかしいのかなあ。
それとも親にしつこく言われて、ようやく跡を継いだばかりで、微妙に心地悪い状況なのかしら…など、
具にもつかぬ事を考えつつ。
いつ行っても、やっぱりこの若旦那さんが一生懸命に商いをされておられ、とてもけなげです。

名物の「都まんじゅう」は、丸いカステラ生地に白あんが詰まっていて、思い切り定番のスタイル。これと同じものを鹿児島でも食べたなぁと思い出しました。
でも表面の焼き印だけは、はっきりと都、東京を主張。10個いりで525円なので、お手軽なのもいいし。
みなさんも上野に行った折には、ちょっと覗いてみてはいかが。かわいい思い出になるかも。

「かるた屋」
台東区上野4-9-13
03-3835-0068

3番目(台東区-1)・上野広小路の「うさぎや」

2006年02月20日 | 上野、根津、本郷、湯島で和菓子
 動物園よし、美術館よし、舞台も見れられるし、寄席もあれば、アメ横で買い物も楽しい。上野はお散歩するほどに嬉しい街です。

 もちろん和菓子のお散歩にも完璧な店揃えですね。今日はスウィート好きの人々が口をそろえて「うまい、うまい」と絶賛する「どらやき」を食べに参りましょう。上野駅からなら、中央通りをひたすら南下して、地下鉄上野広小路駅を過ぎてちょっと行った右側に、目指す「うさぎや」があります。大正2年創業の店の外観は堂々とした老舗風で、大きなのれんがはたはたと揺れています。場所柄かスーツ姿の男性客も多く、お店はいつも多忙。ガラスのカウンターがひとつしかないシンプルな店内に数人の売り子さんが立ち「ありがとうございました」の元気な声が響いています。

 そして目指すはもちろん名物の「どらやき」です。作りたてですから、手のひらにのせるとほんのりと温かさが伝わってきます。そして食べてみれば、本当においしかった! 蜂蜜の入った粒あんはぴかぴか光りながら、やわらかな食感で薄手の皮に挟まれています。皮の方もふんわりした焼け具合で、できたての今この時のおいしさが身上なんですね。賞味期限は2日間あるけれど、買った当日、できればその場で食べるとベストでしょう。上野公園のお花見のお供にステキかも。

「うさぎや」
東京都台東区上野1-10-10
03-3831-6195
http://www.tctv.ne.jp/usagiya/