雇用調整助成金の受給企業リストを入手するには、以下の方法があります。公的機関からの開示請求や公開情報を活用する方法を解説します。
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## **1. 厚生労働省・都道府県労働局に開示請求する**
雇用調整助成金の受給企業名は、**原則非公開**ですが、**情報公開請求**や**監査目的**で入手可能な場合があります。
### **(1)行政文書開示請求(情報公開法に基づく)**
- **対象機関**:厚生労働省、都道府県労働局
- **手順**:
1. **「行政文書開示請求書」**を提出(各自治体の様式を使用)。
2. **請求理由**に「公益上の必要性」(例:助成金の適正運用を監査するため)を記載。
3. 企業名の開示が認められれば、リストを入手可能。
⚠️ **注意点**:
- 「個人情報・企業秘密」を理由に拒否される可能性あり。
- 開示範囲は「企業名・受給額・期間」に限定されることが多い。
### **(2)監査請求(自治体の監査委員へ)**
- 地方自治体が助成金を支出している場合、**監査請求**で情報開示を求められる可能性があります。
- 例:
- 「○○県の雇用調整助成金の適正性を監査してほしい」と請求。
- 監査結果で不正受給企業が公表されることがある(名鉄観光バスの例)。
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## **2. 既に公表されている情報を探す**
### **(1)厚生労働省・自治体のHPで公表事例を確認**
- 不正受給が発覚した企業は、**公式サイトや記者会見**で公表されることがあります。
- 例:
- [厚生労働省の助成金不正公表ページ](https://www.mhlw.go.jp/)
- 過去のニュース(名鉄観光バス、コロナ禍の不正事例など)
### **(2)報道機関の調査記事を活用**
- 大手メディア(読売、朝日、毎日新聞など)が「助成金不正特集」を組むことがあり、企業名が掲載される場合があります。
- **検索キーワード例**:
- `「雇用調整助成金 不正 企業名 リスト」`
- `「雇用調整助成金 返還 公表」`
### **(3)国会・地方議会の議事録**
- 議員の質問で不正受給企業が暴露されることがあります。
- **例**:
- [国会会議録検索システム](https://kokkai.ndl.go.jp/)
- 地方議会の議事録(自治体HPで公開)
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## **3. 内部告発・関係者からの情報収集**
### **(1)従業員・元従業員からの証言**
- 該当企業の労働者に聞き取りを行い、**「休業していなかった」「賃金カットが虚偽」**などの証拠を集める。
- 匿名での通報も可能(厚生労働省のホットラインを利用)。
### **(2)取引先・競合他社からの情報**
- 業界内で「あの会社は助成金を受けながら繁忙期だった」などの噂がある場合、手がかりになる。
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## **4. その他の方法**
### **(1)民事訴訟で企業の内部資料を開示させる**
- 未払い残業代訴訟などで**「文書提出命令」**を取得し、助成金申請資料と実態の矛盾を暴く。
### **(2)労働組合・NPOの協力を得る**
- **労働団体**(例:日本労働組合総連合会)やNPOが情報を持っている場合があります。
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## **5. 注意点**
- **個人情報保護法**に抵触しないよう、入手した情報をむやみに公開すると法的リスクあり。
- 確実な証拠がない場合、企業から**名誉毀損**で訴えられる可能性がある。
- **弁護士や労働基準監督署**と連携するのが安全。
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### **まとめ**
| 方法 | 入手可能性 | リスク |
|------|------------|--------|
| **行政開示請求** | △(非公開部分あり) | 拒否される可能性 |
| **監査請求** | ○(自治体による) | 時間がかかる |
| **報道・議事録** | ○(公表済み情報) | 限定的 |
| **内部告発** | ◎(証言次第) | 匿名性が必要 |
**最も現実的な方法**は、
1. **厚生労働省・労働局に開示請求**
2. **既に公表された不正事例を調査**
3. **訴訟や内部告発で証拠を固める**
確実な証拠がある場合は、**労働局やマスコミに通報**することで、公表を促せます。