先祖代々、生まれも育ちも日本国である純粋な日本人に対し、朝鮮人呼ばわりして中傷誹謗することはヘイトスピーチに該当するか?法律と判例を示しながら答えて欲しい。
純粋な日本人に対し、朝鮮人呼ばわりして中傷誹謗する行為がヘイトスピーチに該当するかどうかについて、日本の法律と判例をもとに解説します。
法律の観点
直接的に「日本人」に対する差別的言動を規制する法律は、現時点では存在しません。しかし、以下のような法律が適用される可能性があります。
* ヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)
* この法律は、**「本邦外出身者」**に対する不当な差別的言動を解消するための取り組みを推進するもので、特定の民族や国籍を持つ人々へのヘイトスピーチを念頭に置いています。
* したがって、法律の直接の対象は「本邦外出身者」であり、純粋な日本人を対象とした言動は、この法律の直接的な適用範囲には含まれません。
* しかし、法律の審議過程で、「本邦外出身者」に対するものであるか否かを問わず、国籍、人種、民族等を理由として、差別意識を助長し又は誘発する目的で行われる排他的言動は決してあってはならないものである、という附帯決議が付されています。これは、法律の理念として、あらゆる差別的言動を許さないという国の姿勢を示しています。
* 名誉毀損罪、侮辱罪
* 刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪は、特定の個人の社会的評価を低下させる行為を罰するものです。
* 「先祖代々、生まれも育ちも日本国である純粋な日本人」に対して「朝鮮人」と呼んで中傷する行為は、その人が朝鮮人ではないにもかかわらず、朝鮮人であるという事実を虚偽に述べることで、その人の名誉を著しく傷つける行為とみなされる可能性があります。
* 判例でも、特定の人種や民族に対する差別的な言動が、名誉毀損罪や侮辱罪として罰せられるケースが見られます。
判例の観点
直接、純粋な日本人に対する差別的言動を扱ったヘイトスピーチに関する最高裁判例は多くありません。しかし、関連する判例から、ヘイトスピーチが法的に問題視される根拠を見出すことができます。
* 京都朝鮮学校事件
* これは、在🇯🇵朝鮮人学校に対して行われた差別的な街宣活動を巡る裁判です。
* 裁判所は、これらの街宣活動が「人種差別撤廃条約」に違反する**「人種差別」**であり、人種差別による人格権侵害として、在🇯🇵特権を許さない市民の会(在特会)に賠償と街宣活動の差し止めを命じました。
* この判決は、特定の民族に対する差別的言動が、個人の人格権を侵害する不法行為であると明確に示しました。
まとめ
純粋な日本人に対して「朝鮮人」と誹謗中傷する行為は、ヘイトスピーチ解消法の直接的な対象ではないものの、以下の理由から法的な問題となる可能性が高いと考えられます。
* 名誉毀損罪または侮辱罪の成立: 虚偽の事実を述べて、その個人の社会的評価を低下させる行為として、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性があります。
* 不法行為(人格権侵害): 差別的な意図をもって相手を傷つける言動は、民法上の不法行為(人格権侵害)として、損害賠償の対象となる可能性が高いです。
たとえ相手が「日本人」であっても、人種や民族的出自を理由に相手を貶める目的で行われる言動は、ヘイトスピーチの**「本質」**に該当すると言えます。それは、特定の集団に対する差別や憎悪を助長・誘発するものであり、個人間の紛争だけでなく、社会全体の健全性を損なう行為と見なされます。
したがって、ご質問の行為は、法的な側面と社会的な側面の両方から、極めて問題のある行為であり、刑事罰や民事上の責任を問われる可能性が高いと言えるでしょう。