麻原彰晃が死刑になったのは、彼が直接的な殺人の実行犯ではなかったとしても、一連の凶悪事件を首謀し、信者に犯行を指示した「首謀者」としての責任を問われたためです。
日本の刑法では、直接手を下していなくても、犯罪を計画し、他人をそそのかして実行させた場合にも重い責任が問われます。特に麻原彰晃の場合は、以下の点が重要視されました。
* 共謀共同正犯としての責任: 麻原彰晃は、坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件など、オウム真理教が起こした13の事件すべてにおいて、教団幹部らと共謀し、具体的な犯行を指示しました。これは、刑法上の「共同正犯」として扱われ、実行行為を分担しなくても、共同して犯罪を実行した者として、すべての者が正犯とされます。つまり、麻原は事件の「首謀者」として、実行犯と同等の責任を負うと判断されました。
* 「ポア」などの教義による殺人の正当化: 麻原は、「ポア」といった独自の教義を用いて、教団にとって不都合な人物や「悪業を積んだ者」の殺害を正当化し、信者たちに殺人を指示しました。これにより、信者たちは麻原の指示に従って殺人を実行していきました。
* 無差別大量殺人の計画・実行: 特に松本サリン事件や地下鉄サリン事件では、不特定多数の市民を巻き込む無差別殺人を計画し、実行させました。これは日本の犯罪史上でも類を見ない凶悪なテロ行為として、社会に甚大な被害と恐怖を与えました。
これらの事実から、麻原彰晃は、自ら手を下していなくとも、一連の凶悪事件の計画・指示・指揮命令を行い、その結果として多数の死者・負傷者を出した最高責任者として、死刑判決が下されました。