銀行の勘定系システム(預金、融資、為替などのコア業務を処理するシステム)では、**信頼性・保守性・処理性能**が最優先されるため、主に以下の言語や技術が使用されています。
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### **1. 主流のプログラミング言語**
#### **(1) COBOL(コボル)**
- **使用領域**:勘定系の基幹処理(預金入出金、利息計算、振込処理など)
- **理由**:
- バッチ処理(大量のトランザクション一括処理)に最適。
- 長年の実績があり、金融機関の既存システムの多くがCOBOLで構築されている。
- 高い数値計算精度(金融計算で必須)。
- **課題**:
- 技術者の高齢化・減少により、保守が困難になりつつある。
#### **(2) Java**
- **使用領域**:オンラインシステム(ATM・ネットバンキング)、新規システムの開発
- **理由**:
- プラットフォーム非依存(異なるOSでも動作可能)。
- 堅牢なメモリ管理とセキュリティ機能。
- 大規模システムでの開発効率が高い(Spring Framework等の利用)。
#### **(3) C/C++**
- **使用領域**:高性能が要求される処理(為替システム、高頻度取引など)
- **理由**:
- ハードウェアに近いレベルで最適化可能。
- リアルタイム性が求められる場面で利用。
#### **(4) RPG(IBM i系列)**
- **使用領域**:IBMメインフレーム(AS/400)上で動作するシステム
- **理由**:
- 銀行の基幹システムで歴史的に利用されてきた。
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### **2. データベース**
- **リレーショナルデータベース (RDBMS)** が主流:
- **Oracle Database**(高可用性・障害耐性)
- **IBM Db2**(メインフレーム環境で利用)
- **PostgreSQL**(オープンソース系で新規システムに採用増)
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### **3. 近年のトレンド**
- **レガシーシステムの刷新**:COBOLからJavaや**マイクロサービスアーキテクチャ**への移行が進む。
- **クラウド活用**:AWS、Azureなどを利用したシステム再構築(ただし、勘定系はセキュリティ要件からオンプレミスがまだ多い)。
- **FinTech技術の導入**:
- **Kotlin/Python**(データ分析・AI活用)
- **ブロックチェーン**(国際送金システムなど)
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### **4. 銀行システムの特徴**
- **24時間365日停止できない**ため、以下の技術が重要:
- **二重化・フェイルオーバー**(障害時も自動で切り替え)
- **バッチ処理**(夜間の利息計算、帳票発行など)
- **厳格なトランザクション管理**(ACID特性を遵守)
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### **まとめ**
|| **言語/技術** | **主な用途** |
|---|---|---|
| **レガシー系** | COBOL, RPG | 既存の基幹システム |
| **モダン系** | Java, C++ | オンラインシステム・新規開発 |
| **データ管理** | Oracle, Db2 | トランザクション処理 |
**今後はCOBOLからJava/クラウドへの移行が加速**すると予想されますが、完全な置き換えには時間がかかるでしょう。