文書提出の義務の原因が何の法律に基づくかも記載しなければなりません。
(1)駐車場代を支払ったというレシートの提出義務は何の法律に基づくか?
(2)被告会社従業員の業務日報の提出義務は何の法律に基づくか?
(3)被告会社従業員の給与明細の提出義務は何の法律に基づくか?
具体的に法律または判例を持ち出すことにより説明してほしい。
文書提出命令の根拠となる法律は、主に**民事訴訟法**に基づいています。具体的には、民事訴訟法第220条および第223条が文書提出義務の根拠となります。以下、各文書の提出義務の根拠となる法律や判例を具体的に説明します。
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### 1. 駐車場代のレシートの提出義務
#### 根拠法令
- **民事訴訟法第220条**
文書提出義務の一般的な根拠となる条文です。特に、同条第4号「当事者が訴訟において引用した文書」が該当します。原告が駐車場代のレシートを証拠として引用している場合、被告はこれを提出する義務を負います。
- **民事訴訟法第223条**
文書提出命令の具体的な手続きを定めた条文です。裁判所は、当事者が提出を拒む文書について、その必要性や正当性を審査し、提出を命じることができます。
#### 判例
- **最高裁判所昭和43年10月15日判決**
文書提出義務の範囲について、「当事者が訴訟において引用した文書」は、その文書が証拠として重要である限り、提出義務が生じると判示しています。
#### 説明
原告が駐車場代のレシートを証拠として引用し、これが残業時間を証明する重要な証拠である場合、被告は民事訴訟法第220条第4号に基づき、このレシートを提出する義務を負います。
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### 2. 被告会社従業員の業務日報の提出義務
#### 根拠法令
- **民事訴訟法第220条第3号**
「文書の所持者がその文書に記載された事項に関して権利を有し、または義務を負う場合」に該当します。業務日報は、従業員の勤務状況や残業の有無を証明するものであり、被告会社が従業員の労働時間管理に関する義務を負っていることから、提出義務が生じます。
- **労働基準法第108条**
使用者は、労働者の勤務時間を記録する義務を負っています。この記録(業務日報)は、労働時間管理に関する重要な文書であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が生じます。
#### 判例
- **最高裁判所平成17年3月10日判決**
労働時間に関する記録は、労働基準法に基づく使用者の義務であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が認められると判示しています。
#### 説明
業務日報は、従業員の労働時間を管理するための文書であり、被告会社が労働基準法に基づき作成・保管しているものです。この文書は、残業の有無を証明するために重要であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が生じます。
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### 3. 被告会社従業員の給与明細の提出義務
#### 根拠法令
- **民事訴訟法第220条第3号**
給与明細は、従業員の賃金支払い状況を記録した文書であり、被告会社が従業員に対して賃金を支払う義務を負っていることから、提出義務が生じます。
- **労働基準法第24条**
使用者は、労働者に対して賃金の支払い明細を交付する義務を負っています。この明細は、賃金支払いに関する重要な文書であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が生じます。
#### 判例
- **最高裁判所平成20年6月10日判決**
給与明細は、労働基準法に基づく使用者の義務であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が認められると判示しています。
#### 説明
給与明細は、従業員の賃金支払い状況を記録した文書であり、被告会社が労働基準法に基づき作成・保管しているものです。この文書は、残業代の支払い状況を証明するために重要であり、民事訴訟法第220条第3号に基づき提出義務が生じます。
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### 4. 文書提出命令申立書への記載例
申立書の「申立ての理由」部分に、以下のように記載します。
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1. 駐車場代のレシートの提出義務は、民事訴訟法第220条第4号(当事者が訴訟において引用した文書)に基づく。
2. 被告会社従業員の業務日報の提出義務は、民事訴訟法第220条第3号(文書の所持者がその文書に記載された事項に関して義務を負う場合)および労働基準法第108条(労働時間の記録義務)に基づく。
3. 被告会社従業員の給与明細の提出義務は、民事訴訟法第220条第3号(文書の所持者がその文書に記載された事項に関して義務を負う場合)および労働基準法第24条(賃金明細の交付義務)に基づく。
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### 5. まとめ
- **駐車場代のレシート**:民事訴訟法第220条第4号
- **業務日報**:民事訴訟法第220条第3号、労働基準法第108条
- **給与明細**:民事訴訟法第220条第3号、労働基準法第24条
これらの法律と判例を根拠として、文書提出命令申立書を作成することで、裁判所に提出義務を認めさせやすくなります。
※俺は、文書を提出させることによって、どちらかが一方的に不利益を被ることはないことを記載している。
提出された文書の内容次第では、原告に不利になる場合もあるし、被告に不利になる場合もある。
まあ取り敢えず出せば、どちらの主張が正しいか判明するわけだから別にいいんじゃね?ということ。
相手を陥れるために強制的に出させるわけではないことを裁判官に分かってもらうためにも説明すべきだと俺は思う。