IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

アップル社、ついに映画配信事業を開始

2006-09-13 13:11:58 | ビジネス
少し前のブログで『ある大統領の死』というイギリスのテレビ映画について紹介したけれど、数ヶ月以内にアメリカ国内の劇場でも公開される見通しだ。12日のCNNによると、ニューマーケット・フィルムズ社が100万ドルでアメリカ国内での劇場配給権を獲得し、数ヶ月先の劇場公開に向けて動き出したんだとか(イギリスでは10月にデジタルテレビ局で放送される予定)。この作品は10日夜にカナダのトロント映画祭で初めて上映されたんだけど、観客は作品のストーリーだけではなく、デジタル技術を駆使して作られたブッシュ大統領らの映像にも驚かされたらしい。ブッシュ大統領が狙撃されるシーンでは、倒れこむ俳優の動きとブッシュ大統領の顔が合成されているとCNNは報じている。また、チェイニー副大統領による追悼演説シーンでも同様の技術が用いられたそうだ。この作品に関する情報は今もほとんど無い状態なんだけど、数ヵ月後に映画館に行ってみようと思う。さて、今日はアップル社が映画のダウンロード事業を開始するというニュースを。

アップル・コンピューター社は12日、来年初めにも映画の配信サービスを開始すると発表した。アップル社は来年初めまでに新たな携帯型プレイヤーを発売する予定で、iTVと名付けられた新機種は映画のダウンロードだけではなく、接続する事によって普通のテレビでも購入した映画が見られるという機能が盛り込まれている。アップル社のiTunesミュジーックストアでは、今後ディズニー社が製作した映画が配信される予定だ。アップル社のスティーブ・ジョブズCEOがディズニー社の役員も兼任していたため実現可能となったディズニー映画の配信サービスだが、先週同じような配信サービスを発表したオンライン書店最大手のアマゾン社は、すでに7つの映画スタジオと配信サービスに関する契約を結んでいる。CBSニュースの報道によれば、iTVの販売価格は299ドルに設定される模様で、発売時期は来年初め頃になるのだという。

12日にサンフランシスコで行われたイベントに出席したアップル社のジョブズCEOは、配信サービスを開始する時点で約75作品がiTuneにてダウンロード可能になるとの見通しを示し、これらの作品はディズニー社だけではなく、傘下のピクサーやミラマックスによって製作された作品も含まれていると語った。1つの作品をダウンロードするのにかかる料金だが、新作は14ドル99セントという料金設定になっており、作品の発売前に予約すれば12ドル99セントでダウンロードできる。過去の作品は1本につき9ドル99セントでダウンロードが可能だ。ディズニー社のロバート・アイガーCEOは75作品のダウンロード開始がiTVの発売前に実施される可能性を示唆し、すでにテレビ番組のオンライン配信サービスが成功を収めている事から、映画のダウンロードも大きなビジネス・チャンスになるだろうと自身を見せた。

12日のイベントの招待状は各メディアにも送られていたが、招待状は「ショータイムの始まりです」とだけシンプルに書かれていたため、国内のメディアはアップル社による映画配信サービスの開始について様々な推測を展開させていた。現時点ではディズニー社とその傘下にあるスタジオで製作された映画のみの配信が発表されているが、複数の情報筋はCBSの取材に対し、他の映画スタジオとアップル社の間で配信サービスの価格設定やコピー機能防止システムなどに関する話し合いが現在も続いているのだと語っている。映画のオンライン配信サービスはすでに数社で実施されており、先週はアマゾン社もこの事業への参入を発表したが、アップル社が近く発売するiTVはダウンロードした映画をテレビでも見ることが可能なため、近いうちに映画のオンライン配信サービスをめぐる勢力図が大きく変化する可能性もある。

コネチカット州で1989年、チップの少なさにキレたウェイターが、レストランの中で客に襲い掛かって怪我を負わせた事件があったらしい。レストランでウェイターやウェイトレスとして働く人達にとってチップは生活に関わる大きな問題で、1ヶ月のチップの量によってはアパートの家賃を払うのさえ困難になる場合がある(その反対に、僕はワシントン市内のレストランで働くウェイターの中で、チップを貯めてドイツ車を買った人を2人知っている)。最近、36歳の元ウェイターがジョージア州アトランタでNPOを設立した。AP通信の記事によると、このNPO団体は全米のレストラン・オーナーに対して、客の食事代金の20パーセントを自動的に上乗せして、その上乗せ分をウェイターやウェイトレスに与えるように求めているらしい。すでに2500人以上のウェイターらがこの団体に登録をしており、将来ちょっとしたロビー団体になる可能性もあるのだとか。ウェイターの大変さも理解できるけど、最低のサービスに自分の食事代の20パーセント分のチップを出すなんて馬鹿げてると思うんだけどな。あくまで僕の意見だけど、行き届いたサービスを提供できるウェイター達は自然とチップも多くもらっているような気がする。レストラン側が最低賃金の引き上げをする方が筋だと思うんだけどあぁ。


写真:12日にサンフランシスコで行われたアップル社主催のイベントで、iTVについて説明するスティーブ・ジョブズCEO (ロイター通信より)


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