IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

トウモロコシ成金は誕生するか?

2006-07-19 14:33:52 | ビジネス
今日は最初にメジャーリーグの話を。と言っても、いつものようにレッドソックスの話ではなく、ミネソタ・ツインズの話を。アメリカン・リーグの中部地区はコンスタントに強さを発揮するシカゴ・ホワイトソックスと、今年になって突然変異でも始まったのかと思わせるデトロイト・タイガースが首位争いを演じているんだけど、3位のツインズも勝率5割6分5厘で健闘を見せている。正直、ツインズが地区優勝する可能性は低いと思うし、プレーオフに出れるかも微妙なところだけど、先発投手のフランシスコ・リリアーノとキャッチャーのジョー・モウアーのブレイクは要チェック。開幕から11勝2敗の成績を残すリリアーノは現在、両リーグ通じて防御率トップを維持しているし(1.94)、モウアーも打率部門で首位に立っている(3割7分6厘)。同じチームから防御率と打率でトップの選手が出るだけでも凄いんだけど、驚いたのは、今年でまだ23歳という2人の若さ(リリアーノは10月に23回目の誕生日を迎える)。2人が大スターになるのか、一発屋で終わるのかは分からないけど、将来が凄く楽しみだ。さて、今日はクリスチャン・サイエンス・モニターの記事から、エタノールに関する話題を。

石油に代わる新たな燃料として期待されるエタノールだが、すでに多くの経営者にとって非常に魅力的な存在となっており、ウォール街の投資家から西海岸の企業家まで(ビル・ゲイツ氏も含む)エタノール製造工場に莫大な投資を行っている。また、ビッグ3のCEOは2010年までにガソリンとエタノールのどちらでも走行可能な車の生産を現在の2倍にまで増やすと公言しており、この新たな燃料にはこれからも熱い視線が注がれる模様だ。エタノールの原料となるトウモロコシは、そのほとんどが中西部で生産されており、現地の農業関係者はこれから訪れるかもしれない「ゴールド・ラッシュ」に興奮を隠せない様子だ。エタノールはアメリカの外国産石油からの脱却だけではなく、長きに渡って停滞を続けてきた中西部の農業を活性化させる意味も持つ。「まさしくゴールド・ラッシュですね。エタノール産業は誰もが予期しなかったほどの速さで発展しています」、シカゴに本部を置く農業専門調査団体「アグリソース」のダン・バッセ代表はクリスチャン・サイエンス・モニター氏の取材にそう答えている。

これからのブームが期待されるエタノールだが、農務省のアレン・ベーカー農業専門アナリストは、「石油会社がエタノールを全国的に展開させるためには、それなりの時間が必要だと思う」と語る。ベーカー氏は需要が供給に追いつかない理由として、エタノールが通常のパイプラインを通せないことや、エタノールを運ぶための鉄道網がアメリカ国内ではそれほど発達していないといった理由を挙げている。不十分な供給システムはすでにエタノールの販売価格高騰を引き起こしており、現在では1ガロンあたり4ドル以上と、石油よりも高くなっているのが現状だ。エタノールが石油に代わる新燃料として一般に広く受け入れられるには、やはり時間が必要となるが、中西部の農業関係者の間ではこの新燃料をなんとしても全国に広め、小さな町で問題となっている収入と人口の減少を食い止めたい構えだ。

将来的なエタノール・ブームを懸念する声も存在している。アメリカ国内で生産されたトウモロコシの多くがエタノールに使用される可能性が高いため、トウモロコシを使った食品の価格が高騰するのは必至との指摘もある。「この数年内に、エタノールの需要がアメリカ国内のトウモロコシ生産量を超えるかもしれないという懸念が存在しています」、前出のバッセ氏はそう語った。バッセ氏によると、全ての需要を満たすにはあと1000万エーカー分の土地でトウモロコシの生産が必要とのことで(現在、アメリカ国内でトウモロコシ生産に使用されている土地は約8000万エーカーある)、そうなった場合には大豆や小麦の生産用に使われていた土地が削られる可能性が高いのだという。現段階ではエタノールの生産に大量の石油が使われており、石油消費の減少にはなっていないとの指摘もあるが、エタノール生産に携わる関係者の間では、こういった問題も時間が解決してくれるという楽観論が存在している。

レバノンには依然として約2万5000人のアメリカ人がいるようで、出国を希望する人も多いんだけど、1956年に作られた法律をめぐって、アメリカ国内ではレバノンに家族のいる人や政治家から怒りの声があがっている。50年前に作られた法律では、国外における紛争などでアメリカ政府に救出された民間人に対して、国務省が飛行機代などを請求できるというもの。レバノン在住アメリカ人の国外退去がなかなか進まない中で、こういった話が明るみになり、ブッシュ政権も支払い免除にむけて動き出したというニュースも入ってきている。2万5000人いる現地在住者の中で、国務省の助けによって国外に脱出できたのはわずかに350人(18日現在)。民主党のナンシー・ペロシ下院議員が「イラク戦争に3000億ドル出せるのなら、レバノンからアメリカ市民を脱出させる事だってできるはず」って言ってたけど、本当にそう思う。もし、このブログを読んでいる人の中にアメリカ国籍の人がいれば、紛争地では必ずクレジットカードと小切手を体に貼り付けておくように…。


写真:18日に行われた対デビルレイズ戦で11勝目をマークしたツインズのフランシスコ・リリアーノ投手 (AP通信より)


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