本当に暑い日が続いているんだけど、中西部では熱波が原因で、少なくとも29人が亡くなったらしい。さらに、ミズーリー州セントルイスでは嵐のために電気の供給がストップしてしまい、AP通信の記事によると48万人が電気を使えない状態となっていたようだ。セントルイスには僕の家族と20年以上前から付き合いのある老夫婦が住んでいて、僕にとっては「アメリカの祖父母」みたいな人たちなんだけど、さすがに心配になって、朝から何度か電話をかけた。予想通り、電話はつながらず、午後7時過ぎになってようやく話をすることができた。ボストンでの学生時代、真冬の週末に(おそらく雪が原因だったと思う)数時間ほど市内全域で停電が発生したことがあった。僕は何人かの友人とクラブにいたんだけど、周囲が学生ばかりだったのと、数時間だけの停電ということもあってか、みんなで外に出て大騒ぎした覚えがある。でも、こんな真夏に何日も停電が続くと本当にキツイと思う(ニューヨークの一部では原因不明の停電が5日目に突入している)…。さて、今日は犯罪の増加するワシントンで、未成年者を対象とした新たな夜間外出禁止令が可決されたというニュースを。
ワシントン市議会は20日、18歳以下の若者を対象にした午後10時以降の外出禁止令を盛り込んだ法案を可決した。ワシントン市内では例年よりも犯罪が急増し、とりわけ未成年者の関与が問題視されているため、市側は90日間の夜間外出禁止令で犯罪防止に努める構えだ。今回可決された法案によって、警察がワシントン市内に住む未成年者の個人情報に自由にアクセスすることが可能となり、市内の犯罪多発地域には初めて監視カメラが設置される。外出禁止令は他州からやってきた若者にも適用されるが、親と同伴だったり、仕事から帰宅途中といった場合には、特例も認められるとの事だ。ワシントンでは1999年から未成年者の午前零時以降の外出禁止令を発動してきたが、20日に可決された外出禁止令はこれまでよりも2時間早い設定となっており、未成年者の犯罪を事前に防ぎたい市側の思惑がうかがえる。
ワシントン市内では今月だけでもすでに15人が殺害されており、アンソニー・ウイリアムズ市長も20日に可決された法案が犯罪防止に必ず役立つと自信を見せている。警察資料によると、市内での路上強盗の発生は昨年よりも13パーセント増えており(1~6月までの期間で調査)、強盗罪で逮捕された未成年者はじつに82パーセントの増加となっている。ワシントン市警のチャールズ・ラムジー署長は先週、多発する凶悪犯罪について語り、「非常事態」を宣言したが、犯罪の増加はアメリカ全土でトレンドとなりつつある。「ワシントンが直面している犯罪増加問題は、全米で市当局が頭を抱えている問題なのです」、ロサンゼルス市警のウイリアム・バートン署長はワシントンポスト紙の取材にそう語った。実際にフィラデルフィアでは市内に監視カメラを設置すべきかどうかで、今年5月に住民投票が行われている。また、過去10年で最も多くの殺人事件が発生しているボストンでは、トーマス・メニーノ市長が市内を走る車をランダムに停車させ、車内を検査すべきだと提案している。
ウイリアムズ市長の犯罪対策を評価する声もある一方で、今回の夜間外出禁止令が犯罪防止の根本的な解決策にはならないという指摘も存在する。エイドリアン・ファンティ市会議員は19日、ワシントン市内で米自由人権協会のメンバーらと共に抗議集会を行い、「こういったやり方で犯罪を防ぐのは無理です。犯罪撲滅のためにすべき事が実際には行われていない。それが大きな問題なのです」と語っている。これまでワシントン市内で実施されてきた未成年対象の外出禁止令は午前零時以降のものだったが、今年だけで約2000人が警察に補導されている。補導された若者は市内に2ヶ所ある施設で保護者の迎えを待つことになるが、午前6時までに保護者が迎えに現れなかった場合、市の家庭サービス局に身柄を移され、同時に保護者をネグレクトの疑いで捜査するかどうかが決定される。
全米各地のインディペンデント系映画館で上映されている「ウォー・テープス」というドキュメンタリー、ワシントン周辺では少なくとも2ヶ所で上映されているんだけど、来週にでも映画館で見たいなと思っている。これはニューイングランド地方に住む5人の若者のイラクでの1年間を記録した作品で、州兵登録していた5人はイラクの戦場に送られ、毎日の生活を持ってきた小型のビデオカメラで記録し続けていた。5人の中の1人にステファン・ピンクさんという24歳の若者がいて、マサチューセッツ州キングストンで生まれたピンクさんは、ボストン・カレッジの付属高校で学んだあと、プリマス州立大学に進学している。大学時代に学費を払えなくなったピンクさんは州兵に登録する道を選び、無事に大学を卒業したんだけど、それからすぐにイラクに送られている。僕の周りにもいそうな「普通のアメリカ人」がイラクに送られ、そこで実際に見たものを、ピンクさんらが撮影した映像を通して僕らも見ることができるわけで、ニュース映像とは異なるイラクの様子を知る事ができるかもしれない。ニューオーリンズに行く前に、なんとか見ることができるといいんだけど。
写真:「ウォー・テープス」のポスター (www.thewartapes.com より)
ワシントン市議会は20日、18歳以下の若者を対象にした午後10時以降の外出禁止令を盛り込んだ法案を可決した。ワシントン市内では例年よりも犯罪が急増し、とりわけ未成年者の関与が問題視されているため、市側は90日間の夜間外出禁止令で犯罪防止に努める構えだ。今回可決された法案によって、警察がワシントン市内に住む未成年者の個人情報に自由にアクセスすることが可能となり、市内の犯罪多発地域には初めて監視カメラが設置される。外出禁止令は他州からやってきた若者にも適用されるが、親と同伴だったり、仕事から帰宅途中といった場合には、特例も認められるとの事だ。ワシントンでは1999年から未成年者の午前零時以降の外出禁止令を発動してきたが、20日に可決された外出禁止令はこれまでよりも2時間早い設定となっており、未成年者の犯罪を事前に防ぎたい市側の思惑がうかがえる。
ワシントン市内では今月だけでもすでに15人が殺害されており、アンソニー・ウイリアムズ市長も20日に可決された法案が犯罪防止に必ず役立つと自信を見せている。警察資料によると、市内での路上強盗の発生は昨年よりも13パーセント増えており(1~6月までの期間で調査)、強盗罪で逮捕された未成年者はじつに82パーセントの増加となっている。ワシントン市警のチャールズ・ラムジー署長は先週、多発する凶悪犯罪について語り、「非常事態」を宣言したが、犯罪の増加はアメリカ全土でトレンドとなりつつある。「ワシントンが直面している犯罪増加問題は、全米で市当局が頭を抱えている問題なのです」、ロサンゼルス市警のウイリアム・バートン署長はワシントンポスト紙の取材にそう語った。実際にフィラデルフィアでは市内に監視カメラを設置すべきかどうかで、今年5月に住民投票が行われている。また、過去10年で最も多くの殺人事件が発生しているボストンでは、トーマス・メニーノ市長が市内を走る車をランダムに停車させ、車内を検査すべきだと提案している。
ウイリアムズ市長の犯罪対策を評価する声もある一方で、今回の夜間外出禁止令が犯罪防止の根本的な解決策にはならないという指摘も存在する。エイドリアン・ファンティ市会議員は19日、ワシントン市内で米自由人権協会のメンバーらと共に抗議集会を行い、「こういったやり方で犯罪を防ぐのは無理です。犯罪撲滅のためにすべき事が実際には行われていない。それが大きな問題なのです」と語っている。これまでワシントン市内で実施されてきた未成年対象の外出禁止令は午前零時以降のものだったが、今年だけで約2000人が警察に補導されている。補導された若者は市内に2ヶ所ある施設で保護者の迎えを待つことになるが、午前6時までに保護者が迎えに現れなかった場合、市の家庭サービス局に身柄を移され、同時に保護者をネグレクトの疑いで捜査するかどうかが決定される。
全米各地のインディペンデント系映画館で上映されている「ウォー・テープス」というドキュメンタリー、ワシントン周辺では少なくとも2ヶ所で上映されているんだけど、来週にでも映画館で見たいなと思っている。これはニューイングランド地方に住む5人の若者のイラクでの1年間を記録した作品で、州兵登録していた5人はイラクの戦場に送られ、毎日の生活を持ってきた小型のビデオカメラで記録し続けていた。5人の中の1人にステファン・ピンクさんという24歳の若者がいて、マサチューセッツ州キングストンで生まれたピンクさんは、ボストン・カレッジの付属高校で学んだあと、プリマス州立大学に進学している。大学時代に学費を払えなくなったピンクさんは州兵に登録する道を選び、無事に大学を卒業したんだけど、それからすぐにイラクに送られている。僕の周りにもいそうな「普通のアメリカ人」がイラクに送られ、そこで実際に見たものを、ピンクさんらが撮影した映像を通して僕らも見ることができるわけで、ニュース映像とは異なるイラクの様子を知る事ができるかもしれない。ニューオーリンズに行く前に、なんとか見ることができるといいんだけど。
写真:「ウォー・テープス」のポスター (www.thewartapes.com より)