IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

米軍御用達ビデオゲーム、ドンパチはありません

2006-02-20 14:53:26 | イラク関連
シカゴ・トリビューンの高橋邦典さんがベネズエラ取材から帰国していたので、日曜日夕方に電話をかけてみた。「おう!元気?」、マイナス15度のシカゴから話しているとは思えないほどハキハキとした口調。冬が苦手と言う高橋さんだけど、電話の声を聞く限り、あんまり関係はなさそうだ。なぜか男2人でオプラ・ウィンフリーの話になり(彼女がシカゴをベースとしているので)、そこから衛星ラジオへと話題は変わり、しばらくして高橋さんが「学生の頃はラジオをよく聞いてたよなぁ」と昔話を始めた。「やっぱりオールナイト・ニッポンで、司会は笑福亭鶴光さん。懐かしいな…」、そう感慨深そうに話すクニさんだけど、僕はジェネレーション・ギャップを感じずにはいられなかった。たかが10年、されど10年…。さてさて、今日はイラクやアフガニスタンに駐留する米兵向けに、コミュニケーション能力の向上を目的にゲームソフトが作られたという話を。どうせなら、ヨーロッパを旅するアメリカ人観光客向けにもソフトを作ってほしいもんですが…。

イラク駐留米軍の間で現地のイラク人とのコミュニケーション不足が問題化しており、米兵にサインランゲージなどのコミュニケーションを学ばせるため、ペンタゴンはゲームソフトの開発に資金援助している。AP通信が2月18日に報じたところによると、南カリフォルニア大学で研究を行うハネス・ビルハヤルムソン博士のグループが国防総省の資金援助を受けて開発したソフトは「タクティカル・イラキ」と呼ばれ、イラク国内で市民と接する際に起こりうる様々なシチュエーションをゲーム感覚で学ぶ事が可能だ。軍人や学生をターゲットに作られたこのソフトでは、米兵としてイラクの町をパトロールする際に現地の市民に会話や質問を行うステージが幾つも設けられており、プレーヤーは状況に応じて最適なボディランゲージを選択しなければならない。また、音声認識システムも組み込まれており、ゲームの中でイラク市民と簡単なアラビア語で会話を行うことも可能だ。

ゲームでは一般のイラク人と同じジェスチャーの選択が求められ、手の動かし方などを細かく学ぶ事ができる。また、「市民に近付く際にはミラー型のサングラスは絶対に外すべき」といった情報も、ゲームの中で幾つも紹介されている。「イラクでのコミュニケーションは、体を使ったジェスチャーが重要視されるのです。西側の国であまり深く考えられないジェスチャーも、アラブ世界ではあなたがどれだけオープンかを示す判断材料になるのですから」、17日にセントルイスで行われた会議で、ビルハヤルムソン博士はそう語っている。博士によると、イラクでは控えめなボディ・ランゲージが隠し事の象徴と考えられ、米兵と市民の間の緊張関係を悪化させる原因にもなっているのだという。また、西側諸国以上にイラクでは他人に指を向ける行為が侮辱的とされており、こういった文化的な違いを米兵がしっかり認識すれば、現在のような緊張関係は改善されるのではないかと製作スタッフは期待する。

「タクティカル・イラキ」はビルハヤルムソン博士らによって開発されたタクティカル・シリーズの2作目になり、1作目の「タクティカル・ランゲージ・アンド・カルチャー」では、レバント方言のアラビア語(パレスチナ、シリア、レバノンで使われている)でコミュニケーションをとる方法が学べる。また、すでに3作目の開発も進んでおり、次回作はアフガニスタンに駐留する米軍兵士のために、パシュトゥン語会話と現地で使われるジェスチャーが盛り込まれる予定だ。タクティカル・シリーズは2003年に陸軍士官学校で試験採用され、やがて海兵隊の幹部教育でも採用されている。アフガニスタン版では、人里離れた村での病院建設が最終目標となっており、地元住民の協力を得るために適切なコミュニケーションが要求される。

土曜日、朝からシリアルを食べながらホラー映画を見た。朝に見た理由は特になく、昼過ぎから友人らと外出するため、朝9時頃にDVDのスイッチを入れたのだ。今回の作品は「エミリー・ローズのエクソシズム」という作品で、悪霊に取り付かれた女子学生の悪魔払いを行ったカトリック教会の司祭が、殺人罪で裁かれる様子を描いたドラマだった。エクソシズムを扱った映画はこれまでに何本も作れらているし、法廷ドラマはアメリカ映画の中でも人気の高いジャンルなんだけど、この2つがミックスされた映画を見たことは今までなかった。プロットの新鮮さが気になってDVDを借りたんだけど、この映画はかなり怖いですよ。特殊効果やらギャーギャー騒ぐだけのキャストがいないためか、妙なリアリティを感じてしまった。この映画、実話をベースに作られているそうだ。てっきり、アメリカ国内で発生した話がベースになってるのかと思いきや、70年代中頃にドイツで発生した事件をもとに作られたとのこと。そういえば、「エクソシスト」の映画版ではワシントンにあるジョージタウン大学が舞台になっていたはずだけど、これも1949年にセントルイスで実際に発生した事件がベースとなっている。小学生の頃、姉の車でセントルイス市内にある事件現場に行った事がある。当時はエクソシズムの意味なんて分からなかったけど、怖くてトイレに行けなかった事だけはハッキリと覚えている。

写真:「タクティカル・イラキ」のゲーム画面 (Tactical Language Training LLC )

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