IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

不味い料理は幸運のしるし

2005-10-27 13:45:02 | 外交
マリーンズの日本シリーズ優勝から24時間もたたないうちに、今度はシカゴ・ホワイトソックスが88年ぶりにワールドシリーズを制した。しかも、4連勝での勝利まで同じだ。この2つのチーム、決して勢いだけで優勝したわけではないと思う。日本の試合を見る機会は無かったけれど、ホワイトソックスに関しては実に細かなプレーを繰り返す印象を持った。マリーンズのバレンタイン、そしてホワイトソックスのギーエン、単なる偶然なのかもしれないけれど、それぞれ異国の地で監督就任2年目にして優勝を決めている。レッドソックスも阪神タイガースも敗れ去った今年のワールドシリーズ(日本シリーズ)だけど、2つのチームとその監督が見せた偶然性に僕は驚きを隠せない。長く記憶に残りそうなシーズンが終わった。さて、今日はシリアに関するニュースを1つ。シリアに対する制裁措置が現実味を帯びてきたけれど、トラブル続きのブッシュ政権にとっては待ち望んだ果報に違いない。ワシントンがどのような対応を取るのか、今後の展開が気になる。

26日に発表された国連の報告書はレバノン国内の民兵組織が現在もシリアから武器の供給を受け続けていると指摘し、レバノン・シリア国境地帯を事実上コントロールする民兵組織の武装解除が依然として進まない背景にシリアの存在があると結論付けている。シリアは6ヶ月前に29年間続いたレバノン占領に終止符を打ち、駐留兵士の完全撤退を実施しているが、国連の報告書はレバノン政府が政治的な独立や自治を完全に勝ち得ていないとも記している。国連安保理決議1559ではシリア軍・情報部員の完全な撤退と民兵組織の武装解除が求められているが、テリエ・ロード・ラーセン国連特使らによって作られた今回の報告書は、シリア側による違反行為を示唆するものとなっている。CBSニュースのパメラ・フォーク外交アナリストは「国連内でシリアへの制裁措置が協議される中、今回の報告書が火に油を注ぐ事になるだろう」と語り、シリア・レバノン国境地帯での武器密輸を問題視した。

26日午後には国連で対シリア制裁に関する話し合いが行われたが、31日に行われる会合で制裁措置の細かな内容が決定される見込みだ。しかし、複数の外交筋はCBSニュースに対し、31日までに「様々な変化」が発生するかもしれないとも語っており、すでにロシアと中国は対シリア制裁に反対する姿勢を示している。ロード・ラーセン氏による報告書はレバノン国内における政治的な進展も評価しており、現在のレバノンにシリア情報部の存在を示す動きはないとするものの、国境で繰り広げられる武器の密輸が事実上の野放し状態であるとも指摘している。国連のアナン事務総長はシリア政府から国境地帯の武器密輸に関する報告を受けたことを明かしており、シリア・レバノン両政府による国境地帯での取り締まり活動が想像以上に困難な作業なのだとも語っている。レバノン南部は親シリア派民兵組織「ヒズボラ」の支配下にあり、シリア側から運ばれた武器類は、レバノン当局が近づくのをためらうパレスチナ人難民キャンプに置かれている模様だ。

ラジオに出演する1時間前まで、ワシントン市内で友人と長話をしていた。時々、というか頻繁に、時間の無駄遣いを思いっきりエンジョイしたくなる。今日もランチを食べて別れるはずが、日本語の上手かったハリウッド俳優(スティーブン・セガールはのぞいてね)が誰かで延々と喋り続けていた。これには理由があって、数週間前に映画好きの別の友人が「ショーン・コネリー(ライジング・サン)、トム・クルーズ(ラスト・サムライ)、ビル・マレー(ロスト・イン・トランスレーション)の3人の中で、誰の日本語が一番上手かったのか?」と僕に突然たずねだし、周囲の友人らも巻き込んでディスカッションとなってしまったのだ。その時に分かった事が1つ。落ち着いた雰囲気も影響してか、「ライジング・サン」でショーン・コネリーが使った日本語が「本物に近い」と考えるアメリカ人が少なくないようだ。僕がこの3人から選ぶなら、絶対にトム・クルーズで間違いないと思うんだけど…。

シカゴ・トリビューン紙の高橋邦典さんが無事にナイジェリア入りしたようだ。とりあえず、最初の問題がクリアしたので、ナイジェリア到着の一方を聞いてホッとしている。クニさんが戦火のリベリアを取材しに行く直前の2003年春、ボストン郊外のタイ料理店で夕食を一緒にした記憶がある。クニさんのリクエストで入ったその店、えらく不味かった思い出がある。そしてアフリカ出発前夜の23日夜、今度はワシントン市内のタパス料理店でメシを食った。横にはイタリアン・カフェもあったが、今回も彼の希望で(まぁ、単なる二択なんだけどね)タパスを選んだ。結果-以前のブログにも書いたけれど、あんなに不味いスペイン料理を食べたのは生まれて初めてだった。1年に数回しか料理をしない友人のリリアーナが作ったスパニッシュ・オムレツの方がよっぽど美味かった。でも、これでよかったのだ。前回の経験から、取材直前に入るマズイ店が幸運のしるしを意味しているように思えてきたから。クニさんのブログによると、ナイジェリア初日の夜に食べたシーフード・シチューも「期待はずれ」だったらしい。いいんです、これで。不味い料理を食べ続ける限り、幸運が彼を守ってくれると思うから。

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