シリーズ史上もっとも無様な敗北を喫した阪神。でも、心のどこかでほっとしてる阪神ファンもいるような気がする。生まれも育ちも京都で、消極的な阪神ファンを自認して数十年が経つが、本来の阪神ファンを分析すると2つの属性に思い当たる。できの悪い子供を慈しむ親のような本能と、負けても負けても懲りない自虐性。ごくまれに優勝戦線に絡んだり、優勝しちゃったりすると、それが長続きしないはかなく甘美な夢だとわかってるだけに異常に盛り上がった…でも、今年また2年前に続いて、しかも岡田監督で(失礼)優勝しちゃって、観客動員数も一位で、と来ると、なんとなく違和感を感じてきた。これって私が(消極的ではあるが)永く愛してた阪神か?強いし、人気もある、まさに常勝集団、球界の盟主、球界のエリート集団になってきた阪神って、ちょっと違わないか…そして今回の惨めな敗北。ああ、やっぱり阪神のままでいてくれてよかったって、ちょっと安心したような複雑な気持ち。阪神のDNAはやっぱり健在でした、みたいな。「ダメ虎」という、最近はめったに使われなくなった懐かしい言葉が見事に復活だ。でも、この複雑で屈折した真理こそが阪神ファンの醍醐味なのである。いつも勝つ阪神だと、もちろん新しいファンがいっぱいできて球団の繁栄は続くだろうが、そうなったら私は阪神ファンを降りるね。そう考えると岡田監督の功績は多大である。今回の敗北で、阪神ファンならではの屈折した溜飲の下げ方をした人たちもきっとたくさんいたような気がするんだけど、どうでしょう?