南房総館山・なぎさの自然詩

館山湾の春を告げるコチドリ


春の南房総は例年だと南西風が強く吹く事が多いのですが、今年はそれに加えて北風が強く吹く日も多くて、海岸へ行く事が少なくなっています。
3月になると、いつ頃海岸にコチドリがやって来るのか気になり始め、頻繁に海岸へ通ってコチドリを探しているのです。
今年は強風の為になかなか海岸へ出られず、3月に海岸へ行ったのは限られた日数だけです。
昨日(2024年3月22日)も午前中に北風が強く吹いていた館山湾でしたが、午後から風が収まり始めました。
早速海岸へ行くとまだ風が強かったのですが、砂浜を歩くコチドリがいました。
館山湾内のこの海岸では今季始めて見たコチドリです。
しばらく観察していると小川へ移動して餌を探すように、チョコチョコ歩いていました。


そしてもう1羽、磯で採餌していたコチドリです。


更にもう1羽、砂浜の漂着物のそばで片脚をしまい休憩中のコチドリです。
この海岸には全部で3羽のコチドリがいて、それぞれが自分のペースで過ごしていました。
毎年3月になると海岸へやって来て子育てをし、10月頃になると別の場所へ移動して行きます。
卵やヒナが捕食される事の頻度が高く、いろいろと問題があるのですが、今年も無事に子育て出来るか見守りたいと思っています。


コチドリを観察しているとカモメ類が騒がしく飛び交っていたので、よく見てみるとカンムリカイツブリの群れが魚の群れを追いかけて移動していました。
その上をユリカモメやウミネコが飛び回り、更にアオサギも近くの磯へ降りてきたようでした。


すっかり夏羽へ変化していたカンムリカイツブリへ近づくユリカモメ。


いつも漁港で見かけるアオサギも、騒ぎを見つけて飛んできました。
魚を捕まえようと何度も潜っているカンムリカイツブリと、それをジッと見ているアオサギ。
魚の群れを追いかけてカンムリカイツブリが別の場所へ移動して行くと、カモメ類はそのあとを付いて行き、海岸は静かになりました。
結局魚にありつけなかったアオサギが1羽、磯で佇んでいました。


鳥達の活動を見た後、ビーチコーミングをしながら歩いているとたくさんのクラゲが打ち上げられていました。

透明で丸いゼリー状でかなりの弾力がありそうです。
これはミズクラゲで、このクラゲはほとんど毒が無く、刺されても痒みを感じる程度だそうです。
触っても大丈夫なのですが、アンドンクラゲの痛みを想像してしまうので、怖くて触れません。
ここ最近ミズクラゲが大量発生していると聞きましたが、冬にもクラゲが多い事に驚きました。


木の実の様な不思議な物もありました。
海岸には貝殻はほとんど無く、木の葉や枝、海藻類の漂着物ばかりが目立っていました。
ビーチコーミングしていても、去年の冬からずっと新しい貝殻の打ち上げが極端に少なかったのです。
そんなとき、今年は海水温が高いと漁師さんが仰っていたのを聞き、海水温が高ければ、寒い冬を生き延びる貝達も多かったのだと想像できます。
暖かな海中では、たくさんの貝が元気に過ごしているのかもしれません。


先日から砂浜へ出てきてしまっていた、以前解剖し調査して埋葬されたウミガメの甲羅の上にはカメフジツボが見えていました。
ウミガメにしか付着しない珍しいフジツボです。
白い三角形の殻が6枚重なった様な形が綺麗に残されていました。

2024年3月22日が今年のコチドリの初見日となりました。
館山湾にこれから約半年間滞在して、繁殖活動をする小さなチドリ。
小さな体からは想像できないくらい勇敢な鳥です。
春になってコチドリが海岸へやって来ると、他の動物達が卵やヒナを捕食しようと狙っています。
一例として、カラスに向かってコチドリが飛んでいくのを度々見ているので、親鳥としての本能がそうさせているのだと思います。
コチドリが春を告げて春本番の館山湾ですが、今年は気温が低く、なかなか暖かくならない南房総です。






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