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南房総館山・なぎさの自然詩

南房総館山の自然や海での出来事を紹介しています。

しらせと旅鳥達

2024-09-10 20:26:59 | 海岸での出来事

砂丘の上から見下ろした海岸です。
潮間帯には打ち上げられた海藻が時間が経って乾燥気味になり、白い砂浜に黒い帯のように見えます。
そして海浜植物が砂丘全体を覆い緑色が鮮やかです。
この緑の丘はハマヒルガオ、ネコノシタ、ハマゴウ、コウボウムギ等たくさんの海浜植物で作られています。
夏の間たくさんの人で賑わった海岸は越冬地ヘ向かう旅鳥達の餌場と休憩所となっていました。


海藻の上を歩きながら、採餌中のトウネン。


ソリハシシギは警戒心が強いのか、こちらに気付いて慌ててUターンしていました。

少し離れた場所にいたトウネンの群れはお腹いっぱいなのか、休憩中です。
その他ミユビシギの群れやキアシシギ、メダイチドリ、シロチドリもいました。
海岸で思い思いに過ごす旅鳥達を観察していると、沖を航行するしらせに遭遇しました。


ちょうど南極大陸から戻って来たところなのでしょうか?
とても嬉しい出逢いでした。

足元には打ち寄せる波に運ばれて来たナデシコガイ。
同じ種類の貝類なのですが、色彩豊かな事にいつも驚かされます。
青い海とビビッドな貝殻の組み合わせが夏っぽい感じです。
しかし、今年はまだまだ日射しが強い為、気温も高くて海岸は真夏のようです。
採餌中や休憩中の鳥達も口を開けていて、暑そうにしていました。
ここ数年異常気象と言われる事が多く、台風の勢力も強く、長距離を移動する旅鳥達にも厳しい状況だと思います。
それでも毎年移動を続ける旅鳥達の越冬地ヘ旅立つきっかけはどんな理由なのか気になります。
今年もほとんど同じ時期にやって来た旅鳥達の群れの中に幼鳥がいると、とても嬉しく思います。
この夏にシロチドリやコチドリの繁殖活動を観察してきたので、親鳥の苦労があり、たくさんの困難を乗り越えて生き残った幼鳥達だと想像します。
無事に繁殖に成功して、成長した幼鳥達が越冬地ヘたどり着けるように願っています。









南房総の海岸キャンプ場について思うこと

2024-05-27 20:40:43 | 海岸での出来事


南房総には自然の海岸を利用したキャンプ場があります。
そこには7月中旬から8月中旬まで約1ヶ月間たくさんの人が訪れています。
都心部からその海岸キャンプ場へやって来る人達はレジャーや娯楽目的がメインかと思います。
なかには海で癒されたい人もいるかもしれません。
夏に賑わう海岸も季節外れだと人も少なく、誰もいない海岸を独り占め出来る時もあります。
波打ち際から砂浜を歩き、小高い砂丘から海を眺めていると、その風景に自分も溶け込んでいく様な感覚になります。
今の時期、その砂丘にはたくさんの海浜植物が一面を覆い緑色になっています

ハマゴウのスパイシーな香りに包まれるとアロマテラピー効果がありそうな感じです。


満開のハマヒルガオを見ると優しい桃色の花に癒されます。


ハマボウフウの白い花、赤い種子が鮮やかです。
こんな緑豊かな砂丘の風景も、キャンプ場と海水浴場開設の為の海岸整備で様変わりしてしまうのです。
海岸を利用する人達の為に、砂をどかして砂丘の壁を作り、車の通れる幅の道を作ります。
更に砂浜の中央辺りには砂を盛り上げ、平らな広い台をテント張り用に設営するのです。
毎年それを繰り返すので、その場所には植物が生えなくなってしまいました。
海浜植物のある砂丘を分断して車の通る道を作らず、自然のままのキャンプ場でも良いのではないかと感じています。


そしてメダイチドリのような渡り鳥もやって来ています。
鳥達は人を怖がって逃げてしまうので、キャンプ場開設時期は人の来ない海岸で過ごしているようです。
キャンプ場では、こういった野生動物と人が過ごす場所をエリア分けして、生き物に配慮する事も可能かと思います。
自然豊かな海岸には、そこに暮らすたくさんの植物や生き物がいます。
それら動植物はどんな事があっても声を上げることをせず、ただ現実を受け入れるのみです。
大きな人間が、小さな生き物達を思い遣ることの方が簡単なように思えるのです。
同じ海岸を利用する者同士で共存できる海岸が、このキャンプ場から始まることを願っています。









若葉色の館山湾で微睡むカモメ

2024-03-28 07:37:41 | 海岸での出来事

前日からの暴風雨が過ぎて穏やかな館山湾です。
潮の引いた砂浜を歩くとキラキラ光る海と青い空がとても綺麗でした。


砂丘にはハマヒルガオの若葉がいきいきしています。


コウボウムギの花が咲き始めました。
コウボウムギは海浜植物の中でも花の咲く時期が早く、春を感じる植物です。
茶色く枯れた葉は去年のもので、隣には若葉も出てきています。
少しずつ砂丘が海浜植物の緑で覆われ始めました。


春の訪れを感じる海岸ですが、暖かくなると海岸整備が活発になってきます。


重機で砂浜を平らに慣らし、漂着物を全て片付け、流木などはその場で野焼きし、何も無い海岸に変わっていきます。


重機の跡の残る海岸でしたが、潮の引いた広い砂浜ではカモメ達が休憩中でした。


嵐の様な天候を一晩中耐えていたカモメ達の大変さは計り知れません。
カモメの群れを双眼鏡で見ていたら幼鳥が1羽、片脚を上げているのが分かりました。
脚で立つことが辛いようで直ぐに砂浜で寝そべりました。
これは恐らく釣り糸が脚に絡まってしまっているのだと思われます。
細くて強い釣り糸はカモメの脚を壊死させていきます。
このカモメの幼鳥が、この先も無事に生き続けられるのかと考えると涙が出そうになりました。
温かな日差しの中で気持ちよさそうに寝ていたので、邪魔しないようにそっとしておこうと思ったら、親子がそこへ近づいて来ました。
何かを投げる素振りが見えたので、カモメが逃げるから近づかないようにお願いしてそこを離れました。


その後あのカモメの群れは全て飛び立ち、沖へ消えていきました。


カモメのいなくなった後には重機の跡の残る何も無い海岸…。
海岸を利用する生き物にとって、人間とはどう見えているのか、考えさせられる出来事でした。




南房総から見える伊豆諸島

2024-03-11 22:24:33 | 海岸での出来事

3月10日の空は空気がとても澄んでいて富士山が見えました。
今年見た富士山の中でも特に綺麗です。
富士山の手前の山並みまでハッキリしています。
日曜日ということもあって、たくさんの人が富士山をスマホやカメラに収めていました。


南房総の海岸から富士山の山頂までは約100km。
直線距離だと東京までの距離とそれほど変わらないのです。
南房総の東京湾側の海岸から南下して洲崎までは富士山が見え、太平洋側の海岸だと根本海岸辺りまでその姿が見えます。
南房総の太平洋側に面した海岸では伊豆諸島も見る事が出来ます。


伊豆七島の中で南房総から一番近いのが伊豆大島でその山頂まで約40km。
大島は雨や曇りの日でも海岸から良く見えます。


この日は利島の三角形の島影も見え、この島の山頂までは約65kmあります。


そして蜃気楼で浮かんでいるように見えたのは新島、山頂までは約75kmです。
こうやって南房総から各所の距離をみると、富士山が一番遠いのに一番大きく見えて、その大きさを改めて実感しました。


以前この浜でビーチコーミングした時に、ピンク色の可愛いテンロクケボリを見つけたので、同じ場所で探しましたが見つからず残念です。
その代わりと言っては変ですが、ハマエンドウの花が咲いているので嬉しくなりました。


この海岸のハマエンドウの花は濃い紫色。
庭先で見るカラスノエンドウと比べて約3倍位大きな花で赤紫色〜紫色をしています。
海浜植物の中でも好きな花の一つで、その群落がいっせいに花開く様子はとても美しいです。
今はまだ咲き始めたばかりのようで、これから暖かくなるにつれて赤紫色の花の絨毯があちこちで見られるようになります。
そしてハマダイコンの花も咲き、その蜜を吸いにメジロが忙しそうに花から花へ飛び回り、その後低木の枝に止まり、仲良くお互いを羽繕いしていました。
植物達は花を咲かせ、動物達は繁殖の準備を始めて春模様の海岸です。
そこだけを切り取って見ているだけなら穏やかで幸せな光景ですが、砂浜には相変わらずゴミの漂着が続き、チドリ達が繁殖する海岸でも重機を使って整備をしています。
砂丘に根を張る海浜植物を根こそぎ取ってしまう海岸に、どんな未来が待っているのか想像すると恐ろしくなります。
春が過ぎると海水浴場の開設に向けて、海岸では重機を使った整備が始まります。
今の静かで穏やかな海岸から一変してしまう夏が頭をよぎり、今年の夏はどんな風になるのか心配です。
緊急事態宣言下の海水浴場封鎖時から海岸への人手が増え始めて、解除後の海岸の賑わいは更に凄まじく、それ以来南房総の海岸は一年中人で溢れている感じがしています。
釣り、キャンプブームが加わって、今までなら平日は静かな海岸だったのが土日以外にも観光客がやって来るようになりました。
都会でのストレス発散の為に田舎に癒やされにやって来るのかと想像しますが、土日になると人で溢れかえる南房総の風景には、昔から馴染めないでいます。
これから暖かくなるにつれて海岸にはたくさんの人がやって来るようになります。
去年の冬は暖冬で、季節が変わり今年の春はなかなか気温が上がらず気になります。
今年の夏は冷夏か猛暑かどうなるのでしょうか…。



可愛いメジロ達の動画です。





アオイガイ多数漂着

2024-02-29 21:23:25 | 海岸での出来事


2/27と2/28の2日間吹き続いた強風が止んだので海岸の様子を見に行きました。
この時の風は27日が最大瞬間風速22.6m、28日が13mで、今までに経験した事の無い強風はまるで台風のようでした。
台風なら数時間で通過しますが、今回のは丸2日で天変地異が起きたのかと思うくらいの出来事でした。
そんな不安な2日間を過ごした後だったので微風が本当に心地よく感じて、穏やかな天候がありがたく思えました。
海が見えると最初に目に入ってきたのは富士山です。
強風の後で空気が澄んでいて、冠雪がはっきりと良く見えました。


潮の引いた砂浜を歩くと強風の前とすっかり海岸の様子が変わっていました。
激しい波と増水した川が砂を洗い流してしまって、岩肌が現れています。
こんな風に海岸の変化は著しくて驚きますが、この場所はしばらくしたら再び砂が戻って来るのです。
人間のスパンで海岸を見ると砂が無くなってどうなるのか心配になって手を加えたくなりそうに思えます。
しかし海岸は常に変化し続けていて、このままにして置いても、風が吹き波が寄せるとまた砂が運ばれて来るのです。
自然の回復力とは凄いとしか言いようがありません。
風の猛威を感じた日々で、大自然の前では自分がとてもちっぽけな存在に思えました。


ポツンと打ち上げられていた2cm位の小魚。
グーグルレンズで調べたらサヨリの幼魚のようでした。
普段目にする成魚のサヨリに比べると胴の長さが寸足らずに感じました。


そして海藻の打ち上げられている場所を歩いていたら、アオイガイも混じって打ち上げられていました。
最初に1つアオイガイを見つけたので、じっくりその場所で探していると、近くで数羽のカラスが嘴で海藻を探っていました。
するとその中の1羽がそこからヒョイッと小魚を咥えて飛び去って行きました。
海藻の打ち上げられている場所には漂着物が多い事を経験的に知っているようでした。


潮の引いた磯を歩くと小さくて可愛いハスノハカシパンもありました。
大きさは1円玉位です。


遠くの磯に見えた小さなオレンジ色の物体?


ズームしてみたらカワセミでした。
こんなに小さなカワセミがあの強風の中で、どんな場所でどんな風に過ごしていたのかとても気になります。
2日間まったく餌を摂る事も出来ずにいたかもしれません。
風が静かになったので、こうやって海岸へ魚を探しにやって来たようでした。
小さなカワセミが一生懸命に生きる姿を見ると、陰ながら応援したくなります。
海岸を歩き、波の音を聞いたり、鳥達との出逢いがあって、ビーチコーミングに集中する事が出来ることがとても幸せな時間だと思いました。