goo blog サービス終了のお知らせ 

南房総館山・なぎさの自然詩

南房総館山の自然や海での出来事を紹介しています。

館山湾のコチドリ 2025年観察記録2

2025-05-13 19:13:57 | コチドリ

館山湾南側の海岸でのコチドリ観察の記録です。

2025年4月30日に発見したコチドリの巣は5月3日に卵が3個に増えていました。


そして5月11日には卵が消失。
この辺りでは野良猫やカラスとトビを見かけるので、それらの動物の何れかに卵を捕食されたと思われます。


同5月11日に別の海岸ではコチドリ巣を発見し、卵を4個確認しました。
なんとも美しい巣で、卵を中心として貝殻と海浜植物が配置されています。
親鳥の愛情が作り出した芸術作品の様に見えて、とても感動しました。


その巣の近くを歩くとコチドリがどんどんこちら側へ近づいてきます。
コチドリはこんな風に自分達の卵を守る為に、外敵の注意を引く行動をしていました。
親鳥が自分を犠牲にして卵やヒナを守るのが、コチドリの特徴と言えるかもしれません。


同じ浜で少しビーチコーミングをしましたが、ウニの打ち上げが多く、棘の残る新鮮なウニが多数見られて、前日の荒れた海が想像出来ました。
左からウニ殻、オミナエシダカラ、カモンダカラ、ツメタガイです。 


上げ潮でたくさんの貝殻が打ち上げられていて、その間をコチドリが採餌していました。
4月30日発見のコチドリの巣は残念ながら捕食され卵が消失してしまいました。
5月11日発見の巣はどうか無事に巣立ちが出来るように願っています。









館山湾のコチドリ 2025年観察記録

2025-05-01 15:31:46 | コチドリ
今年もコチドリの繁殖時期をむかえ、館山湾でもコチドリの姿が見られるようになりました。
遠く東南アジアから3月頃日本にやって来るコチドリ達は、産卵に適した気温になるのを待っている様子です。
2025年の春は冬のような気温の低い日の多かった印象で、コチドリ達はどのように寒さをしのいでいるのかと気になっていました。
彼岸を過ぎた頃から少しずつ暖かくなり、ようやく春らしい陽気になった感じです。
そして昨日4/30に館山湾南側の海岸ヘコチドリ観察に出掛けました。

海岸へ流れ出る小川でコチドリが1羽で採餌中のところに出逢いました。
以前この辺りは雑木林が広がり、今頃の季節にはキジが現れていました。
私がキジの親子を見たのもこの小川です。
今は両岸にあった雑木林の内、宅地側がすっかり切り拓かれ、それ以来キジの姿も無く、鳴き声も聞こえなくなりました。


別の小川の岸辺にもコチドリ1羽を観察出来ました。


更にコチドリを探して歩いていると、すばしっこく歩くコチドリを見つけました。
しばらく観察しているとうずくまる仕草が見られ、抱卵しているように見えました。


近づいてみると卵がありました。
通常コチドリは4個の卵を産みます。
数日間かけて4個を産むそうなので、産卵途中の状態なのかもしれません。
卵を確認してその場を離れると、親鳥が戻ってきて抱卵を始めました。

別の浜ではオスのコチドリがいました。

オスのコチドリを見ていたら、こちらに向かって近づいてきたメスです。
海藻などの漂着物の間にうずくまり、こちらの様子をうかがっています。
この日は5羽のコチドリを観察出来ました。
館山湾南側の海岸では恐らく3組6羽のコチドリが繁殖している可能性があります。
今年のコチドリ達の子育てはどうなるのか、楽しみと不安が入り混じる感じです。
卵やヒナが捕食されることなく、無事に巣立ちが出来るよう願っています。
私が館山湾に繁殖のためにやって来るコチドリの観察を始めたのが2018です。
2018年は観察と呼べるようなものでは無く、遠くから双眼鏡でコチドリ親子の様子を見ている趣味のような感じでした。
そんな風に毎年コチドリを観察していく内に、様々な問題点が見えてきました。
繁殖に失敗する例を幾つか見てきて、何か自分に出来ることがないかと思っています。
まずはコチドリの存在を多くの人に知ってもらうことが大切だと考えました。
野鳥保護というと難しく思えてしまいますが、個人で出来ることを一つ一つ増やしていければと思っています。
その一つの活動の場として南房総うみはま研究会があります。
たくさんの方に海岸に暮らす生き物達を知って頂き、現状を理解して頂く事を目標に細く長く続けていけたらと思っています。

2025年4月30日館山湾観察記録

キアシシギ1羽


チュウシャクシギ2羽

カラスに捕食されたコチドリの卵

2024-06-16 17:28:47 | コチドリ

南房総にはコチドリとシロチドリが繁殖している海岸が数ヶ所あります。
今年はその内一つの海岸を重点的に観察しています。


その海岸で見つけたコチドリの巣(2024/06/03撮影)。
すり鉢状に穴を掘り、小さな貝殻の欠片が敷き詰められた所に卵が4個産んでありました。
その小さな貝殻をひとつひとつ集めたと想像すると、小さな体のコチドリに強い母性を感じ、とても卵を大切にしている事が伝わってきます。


更に巣の周りには流木や石ころがあり、卵を外敵から守る為に利用しているように見えました。



2024/06/13に同じ巣を見に行くと卵が無くなっていて、周りはカラスの足跡だらけでした。
同じ海岸では他にもコチドリの巣があるのですが、そこは親鳥が抱卵中なのを観察し砂浜を移動しました。


海岸の端まで歩き戻って来ると、そのコチドリの巣の近くにカラスの姿がありました。
離れていた約40分の間に、コチドリはカラスの襲撃を受けていたようです。
慌てて近づくとカラスが何かを食べているのが見えました。
その場所まで行くと、卵の殻と血痕が残されていました。
他の卵は無事なのかと思い巣へ近づくと、偽傷行為をする親鳥がいてカラスを誘導していました。
周りではもう1羽の親鳥が警戒音で鳴きながら行ったり来たりしています。
しかし別のカラスも卵を探しにやって来て、その後すぐに飛んでいきました。
慌てて卵を探してみると、全ての卵が無くなっていました。
直前に飛んでいったカラスは、少し離れた場所で恐らく卵を割って食べているようです。
隣にいるのはカラスのヒナのようで、口を開けているのが見えました。
これまでコチドリの巣の卵が無くなっていることを何度も観察していましたが、卵が捕食される場面を見たのは初めてで、とても衝撃を受けました。


この海岸は7月中旬〜8月中旬までの約1ヶ月間、海水浴場とキャンプ場が開設されます。
そのために使用する電気の為に、通年電柱を設置し電線も引かれています。
カラスはその電柱の上からコチドリを観察して、卵のある場所の目星をつけているようなのです。
恐らく何日もかけて、ずっと狙っているのだと思います。

更に砂止の為の杭が数ヶ所あります。

カラスはこの杭も利用して、コチドリの行動を見ているようです。
海岸には本来こういった高さのある物はありません。
カラスは高い場所から海岸を見下ろす為に、こういった構造物を利用しているので、コチドリより有利なのです。
コチドリは産卵後、孵化するまでの約3週間をずっと同じ場所で抱卵しています。
オスとメスで時々抱卵を交代して、餌を食べたり、水分補給して、また抱卵をする事を繰り返しています。
カラスはそれを上からずっと観察しているのだと思います。


構造物の隙間から見える海がとても小さく感じます。
こういった構造物の上面にカラス除けの為に突起物をのせる等の対策をしたら、コチドリの繁殖が成功する確率が高くなりそうです。
海水浴場となる館山市沖ノ島では電線を地中に埋めているそうなので、南房総市のこの海岸でも同じように出来るのではないかとも思っています。
現状を今すぐに変えることは難しいと思いますが、いつの日かこれらの構造物が全て撤去され、自然のままの海岸へ戻ることを願っています。


翌日の空は青く晴れていましたが、コチドリの巣が2ヵ所無くなってしまった海岸はとても静かに感じます。
親鳥は自分達の卵がひとつひとつカラスに捕られていくのを、どんな思いでいたのかと想像してしまいます。
卵を失ったコチドリは再度繁殖の準備に入るかもしれませんが、真夏の砂浜での抱卵は暑さも厳しくなるので気がかりです。
例えば5月の初め頃に産卵していたら、この青空の中をコチドリの幼鳥が翔んでいたかもしれないと考えると残念でなりません。
コチドリが一番最初の産卵で、何も心配のない子育てができるような未来がいつかきっとやって来ると信じています。






館山湾のコチドリ 2024年観察記録その2

2024-05-17 20:29:01 | コチドリ

館山湾北側の海岸で2024/04/16に確認した4個の卵の様子が気になり、2024/04/27に海岸へ行くと残念ながら卵が無くなっていました。
海岸へ観察に行かなかった11日間に4個の卵全てが、他の動物に捕食されてしまったようです。


更に館山湾北側の別の海岸でもコチドリの番がおり、そろそろ産卵しているかもしれないと思い、2024/05/04に海岸へ行ってみました。
その時のコチドリの様子は人が近くにいると警戒し、1羽はその場所からあまり動こうとせず、もう1羽はカラスが近づくと警戒し、鳴きながらカラスを牽制していました。この感じは卵がありそうな雰囲気でしたが見つけることが出来ませでした。
そしてその翌日(2024/05/05)同じ場所へ行き、コチドリの卵を探すと、なんと卵が4個ありました。
この日は夫と二人でコチドリの巣を探し、館山湾北側の海岸で合計4箇所の巣で卵の確認が出来ました。


館山湾北側の海岸のコチドリの巣①


館山湾北側の海岸のコチドリの巣②


館山湾北側の海岸のコチドリの巣③
この巣は2024/04/27に卵が無くなっていた巣の近くにあったので、同じ親鳥が産んだのではないかと考えています。


館山湾北側の海岸のコチドリの巣④


2024/05/08には館山湾南側の海岸のコチドリ達の様子を見に行きました。
この海岸では二組のコチドリがいて、そろそろ卵がありそうな時期なので、一組の番に絞って行動を観察していると、求愛行動をしています。
何度か求愛行動を見ていますが、基本的にはオスが穴を掘った後に尾羽根を広げ、その下にメスが潜り込み、そこから移動し、その後交尾をします。
この時の求愛行動は、オスが穴を掘った後にメスも同じ場所で穴を掘っていました。
コチドリの個体ごとに微妙な違いがあって、求愛行動と言っても様々な形がある様です。

更にこの日は館山湾北側の海岸の巣の様子も確認。
①の巣の卵が無くなっていました。
②の巣は親鳥が抱卵。(2024/05/17海岸へ行くと卵は全て無くなっていました。)
③④は卵がありました。
今年は今のところ4箇所のコチドリの巣の経過を観察中ですが、既に卵のある巣は2箇所になってしまいました。
コチドリの卵は他の動物に捕食される事が多く、なかなかヒナの姿を見ることが出来ずとても残念です。
毎年館山湾へやって来るコチドリ達の子育てを見ていて、卵が無くなった時ほど悲しいことはなく、コチドリ達がストレスの少ない子育てが出来るように願ってやみません。




ゴールデンウィークの館山湾でのコチドリ

2024-05-03 21:49:16 | コチドリ

ゴールデンウィーク後半に入った海岸で、コチドリ達はどんな風に過ごしているのか見てきました。


館山湾南側のこの海岸でのコチドリは、今年は二組のコチドリカップルが遠く東南アジアから、繁殖地としてここを選びました。
この海岸の駐車場には20台以上の車が停められていました。
ジェットバイクの団体の方達や、釣り、潮干狩りする観光客の方達で海岸は賑やかです。

沖にはウミネコの若鳥の群れが浮かんでいます。
晴れて潮風が心地よいですが、ウミネコにとっては暑いようで、翼をバシャバシャ頭を海水に潜らせて水浴びしています。


砂浜には大きなテントが貼られ、海上にはジェットバイクが浮かび、桟橋には釣り糸を垂れる人影があります。
波打ち際を歩きながらコチドリを探しましたが、姿が見えません。
以前から観察を続け、一組のコチドリが営巣しそうな雰囲気だった場所へ行ってみました。


すると、その場所にはトビの群れがいて、ここにもコチドリはいません。
この場所はすぐ近くにある港を浚渫した時の砂が盛られ、丘のようになっている所です。
砂が盛られる前の平らだった時には、何度もコチドリが産卵した巣を確認しています。
今年はどこに産卵するのか気になって観察を続けていますが、コチドリの姿が無ければ探しようも無く、丘に登ってみました。


ウミネコの群れがかなり近くまで移動していました。
それを見ていた釣り人が鳥山と思ったらしく、ウミネコの群れに真っ直ぐ近づいていくのが見えました。
すると、まったり過ごしていたウミネコ達は全て沖の彼方へ飛び去って行きました。


コチドリも居らず、ウミネコ達も居なくなったので、海浜植物を観察です。
まだまだ綺麗に咲いていたハマダイコン。


だんだんと満開に近づいているハマヒルガオ。


咲き始めのハマボウフウ。

館山湾南側の海岸ではコチドリに会えなかったので、館山湾北側の海岸へ移動しました。
そこでは近くの大学の施設に合宿に来ていた大学生が海でトレーニングし、砂浜では椅子でくつろぐ人やビーチコーミング、磯遊びする家族で賑やかです。
この海岸では3羽のコチドリがいました。


ゴールデンウィークは普段の休日より人手があり、海岸のあちこちに人がいます。
しかし、ここの海岸のコチドリは人よりもカラスを警戒し、鳴きながら飛んでいました。
そんな様子を双眼鏡で見ながら移動すると、別のコチドリが植生から歩き出し、こちらを警戒しています。
飛んでいるのがオスで、このコチドリはメスっぽく、この感じは営巣していそうな雰囲気です。
2羽とも飛び去って行ったので、植生近くの砂浜を卵が無いかと探してみました。
しかし卵は見つかりませんでしたが、また次回じっくり観察してみようと思います。
はるばる数千km移動し、この南房総の海岸を繁殖地として選んだコチドリ。
子育てにはたくさんの障害があり、産んだ4個の卵全てが成長して巣立つ事はまず無いです。
私が知る限りでは、天敵に卵やヒナが襲われたり、海岸清掃の重機により卵が消失した事があります。
コチドリは卵が失われると、すぐに繁殖行動を始めて又卵を産みます。
4月に産卵し抱卵するのと、7月に産卵し抱卵するのでは砂浜の温度が全く変わってしまい、親鳥の体の負担は計り知れません。
なんとか暑い季節になる前に卵を産んでいて欲しいと思います。