
十代の終わり頃、
酒屋さんでアルバイトをしていました
生ビールのアルミの缶が重くて
ビルの四階にある飲食店へ
両手に持って階段を上っていくと
もうヘトヘトでした
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一緒に働いていた人は大胆な人で
倉庫の中で生ぬるいジュースを
「飲め。」だまって勝手に飲んで
ケースの奥へ空缶を投げ捨てていました
「好きなだけ飲んでいいぞ、」なんて
自分のものでもないのに 言っていました

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週に一回だけ、
長野の権堂へ配達に行くんです
一軒だけですがトラック一台分 積んで
そしてすぐ横のパチンコ屋で二時間パチンコ、
僕はその人の隣でただ見ているだけ
そして帰りには西陽に照らされて
車の中でコックリ、コックリ
上田まで寝て帰るのでした
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ある日、友達に誘われて
無断欠勤して東京へ三日間行ったんです
そして帰ってきて店に出てきたら
「あんたねぇ、いい加減にしなさいよ。」
「そこへ座りなさい。」
「人にはやっていいことと、悪いことがあるんだよ、」
二人居る事務員さんに
鬼の形相で一時間近く怒られました
それでも僕は明るくメゲないで
毎日お酒を運んでいたのです
ビールケースとか、重くなかったら
いい仕事なんですけど...
