
中学校へ入ってすぐに
僕は野球部へ入りました
甲子園へ行って活躍して
プロ野球へ入るのが夢でした
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練習はすごく厳しくて
朝は六時に家を出て朝の練習へ
帰りは七時半まで練習をして
家に着くのは夜の八時、
いつも家が近い 一つ上の先輩に
パンをおごってもらっていました
その人も僕の見ている前だと食べにくいので
おごってくれていたんでしょうけど...

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肝心の練習は 毎日毎日 球拾いばっかり..
ライトを守っている先輩のその後ろが僕の定位置で
更に後ろが小川なので
抜かれると川へ入って拾ってくるんです
ボールは一日に二~三回来るか来ないかで
油断しているときに限って来たりします
野球部で僕の使っていたグローブの網の部分が
取れていて そこからボール抜けてしまい
捕るのがかなり難しくて
僕はとても苦労していました

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取りそこなうと嫌な先輩が見ていて、
「グランド10周、」
毎日走ってばっかり
「疲れたか。」と聞かれて
正直に「はい。」なんていうと
「なにィ、もう10周、」
「疲れていません。」と言っても
「よし。もう10周、」何も変わらない
この先輩、後輩を走らせて見ているなら
もっと練習をしたらいいのにと思いました
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僕は野球が特別にうまいわけでもなく
たまに自分でも驚くような馬鹿あたりをするタイプでした
パチンコと同じで
打ったその いい思いだけを覚えている
それもソフトボールでの話で
二年生になった春に野球部を止めました
いつもパンをおごってくれた先輩は
三番サードでレギュラーになり、
いつも僕に「10周、」「10周、」と言っていた先輩は
やっぱり補欠のままでした
人生の縮図を見たような
そんな大切な一年間でした
