ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

『行雲流水』にならう

2021-02-06 17:18:38 | あの頃
 節分が過ぎた。
季節の変わり目。
 日の出が早くなってきた。
その上、日の入りも随分と遅くなった。

 そうは言いつつ、
まだまだ厳しい寒波は続くだろう。
 でも、日差しの長さだけでも、
冬の終わりを告げていて、嬉しい。

 そんな陽気に誘われた。
このブログも、3月まで隔週更新にと思っていたが、
時にはお休みしつつも、早々と毎週土曜日更新に切り替える。
 「冬眠なんて、もういい!」。

 さて、今日は、まず、
今年の年賀状に添えた詩を記すことから始める。

 ◇     ◇     ◇     ◇

    折々の 光景

朝ランの途中 突然の通り雨
近づくピンク色のランニングシューズが
湿ったショートカットで すれ違う
“雨だよ足もと気をつけて”
私の忠告に 背後から
ピュアな弾んだ声が
“はーい ありがとうございます”
おおっ これは春の雨か
その時 一瞬コロナを忘れた

 庭にアルケミラが花やか
 そうだ 今朝の仏壇に供えよう
 早々 一本また一本 鋏を入れる
 摘んだ七本を束ね かざしてみる
 朝の日差しがよく似合う
 あの時 一瞬コロナを忘れた

入り日が沢山のススキを銀色に染め
すぐそばで掘り出されたビートが山に
 先日 その畑に白鳥が舞いおりた
 百羽が鳴き交わす健やかな声に
 私から寒さが消え
折々の光景に 一瞬コロナを忘れて 

  ◇     ◇     ◇     ◇

 今年も、年賀状は私と家内の連名で、
約300人の方へお出しした。
 約1ヶ月が過ぎたので、
改めて、今年の詩を読み返してみた。

 ふと、12年前の詩との共通項に気づき、
驚いた。

  ◇     ◇     ◇     ◇

   行 雲 流 水

春になりました
 チューリップの畑と満開の桜並木に
 上着を脱いで笑みを返しました

夏になりました
 一面のヒマワリと蓮池の一輪に
 通りぬける風から涼を止めました

秋になりました
 一群の彼岸花と初めてのジンジャーに
 見入る足どりは無口でした

冬になりました
 紅色の山茶花と幾重もの葉ぼたんに
 コートの襟を立て暖を探しました

ああ 色とりどりの日々
 そこには ドラマと日常が
 心を奪い合い
 そう メラメラと淡々と
しかし 
 今朝もスラウェシのコーヒーが
 ふわりと私に香り立つ

  ◇     ◇     ◇     ◇

 12年前の私は、まだ現職だった。
だから、『色とりどりの日々』に、
時には『メラメラと』、時には『淡々と』過ごした。
 でも、いつもコーヒーが『ふわりと私に香り立つ』朝に、
迎えられていた。

 それに比べ今は、コロナ一色の日々が続く。
だが、時には私の周辺に、
春色、夏色、秋色、冬色を見つけることができる。
 そんな四季折々が織りなす光景は、
コーヒーの香りに迎えられたあの朝と、
変わりないように思える。

 『日常とドラマ(現実と願望)が心の奪い合い』をしていたあの頃も、
コロナの禍に心ざわめく今も、
求めるものは同じなのではなかろうか。
 
 それが私に、禅語『行雲流水』を連想させる。

 その『行雲流水』について、
「ほっとする禅語70」(渡會正純・著)は、
次のように解説している。 

 『 大空に浮かぶ雲。留まることなく流れていく水。
どこまでも自由で拘束されていない様子が
絵に描いたようにわかる言葉です。

 行く手を阻む大きな岩が出てきたって、
なんなく流れていく水は、
こだわりなく執着なく海に向かってぐんぐん進む。
 丸いものに入れられれば丸くおさまり、
四角いものに入れられれば四角におさまっていますが、
固まったわけじゃない。
 だれも水に形を強制することはできません。
山頂で雲はすぐそこにあるように見えますが、
誰にも掴めない。
 そんな風に自由に生きていきましょうよ、
と禅語は言っています。 』

 『だれも水に形を強制」できない。
『誰にも(雲は)掴めない』。
 そんな風に『自由で拘束されない』日常に、
すっと惹かれている。

 『行雲流水』の雲と水から、
修行僧を「雲水』と呼ぶらしいが、
彼らのように、
『居場所を決めずに、1カ所に留まることなく、
いろいろな師をたずねて修業を重ねる』。
 そんな強さを私は、持ち合わせていない。

 でも、丸くも、四角にもおさまるが、
固まらない水のような自由さがほしい。
 その証が、私にとって、
毎朝のふわりと香り立つコーヒーが代弁している。

 実は、私にできることならと、
この町でも、様々なお手伝いをしてきた。

 今春からの自治会活動の体制づくりが、
始動しているようだ。
 当地に居を構えて、まだ8年半足らずだ。

 その私に、重い役回りの依頼がありそうだ。
それをどう受け止めたらいいか。
 堂々巡りの日が続いている。

 だけども、香り立つコーヒーに迎えられない朝は、
どうしても考えたくない。
 『行雲流水』にならいつつ、
1歩を踏み出すことになるのか・・・・・。


  

     雪道に ポツーン 

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