精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

『嘘だらけのヨーロッパ製世界史』03

2007-04-22 17:15:19 | 瞑想
岸田がヨーロッパ史を見る眼の根底には、なぜヨーロッパがかくも残忍な迫害と略奪の歴史を繰り返してきたのか、という問いがある。これに対する岸田の仮説は主に二つの点が考えられる。一つには、ヨーロッパの白人自身が、かつてアフリカから追われたアルビノ(白子)の子孫だからということ。二つにはキリスト教がヨーロッパに広がる過程での抑圧の問題である。

ここでは、二つ目の仮説に触れてみたい。岸田によれば、ローマ帝国によって支配されたヨーロッパ人たちは、それぞれがもっていた固有の宗教を捨ててキリスト教に改宗していった。しかし、それはローマ帝国の支配に対する屈服の結果であり、彼らはその屈服に関して怒りを抑圧する。

その怒りは、巨大なローマ帝国や自分たち自身に向けることはできないので、「キリストを処刑した」ユダヤ人に向けられるのである。さらに「ユダヤ教徒は伝統的に反ローマ的であったが、そしてイエスも反ローマ的であったが、キリスト教徒は、ユダヤ教の反ローマ的側面をすっかり洗い流し、さらにその一神教的側面をいくらか削ぎ落とし、ローマ人とって無難な新しい形の一神教をつくって、一神教に対するローマ人の敵意と嫌悪をもっぱら一神教の原則に固執するユダヤ教に向けさせて、自らは難を逃れようとしたのではないか。」(続く)

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