ネイチャーサロン by こうちフィールドミュージアム協会

 自然をより深く知ることの楽しさを,お茶会のような雰囲気で語り合いましょう.

「環境の杜こうち」総会

2011-06-07 06:56:22 | 日記
 「環境の杜こうち」総会の会場では,いろいろな展示も行なわれる.そこで今回は「小さな生物」の展示を出してみることにした.11:30頃から準備をして,昼の休憩時間と,総会終了後の交流の時間に見てもらった.

 今回の演(だ)しもの:
 顕微鏡2台(A, B)と,ファーブル3台(C, D, E),レイマーの実体顕微鏡2台(F, G)を並べて展示した.
A: ボルボックス
B: アメーバ
C: クモバエ(標本)
D: カニムシ(生体および標本),マダニ(標本)
E: ゾウリムシ
F: カイミジンコ
G: プラナリア
 拡大率は,ボルボックスは40倍,アメーバは200倍,他は20倍.「標本」と書いてないものは,すべて生きて動いているものです.

 今回は来客はすべて大人なので,「さまざまな生き物を勝手に見てもらって,それによって実体顕微鏡の操作を習得してもらう」ということを考慮しなかった.つまり,見せたいものは,いわば既製品の形ですでに置かれていて,観客は単に覗くだけ,という単純な方法を基本とした.
 とは言え,プラナリアは放置しておくと容器の縁に行ってしまって見づらいので,結局は試料(プラナリアの入った容器)を各自が動かして見るしかなかった.カニムシも動きまわるので,結局は容器を動かして相手を視野に入れるという操作が必要だった.

 顕微鏡や実体顕微鏡を使わせていただいた「えこらぼ」の協力に感謝.コーヒーが美味しかった.
 さまざまな情報交換,意見交換があって,実り多い1日だった.

 以下は当日のプログラムというか,「えこらぼ」からの案内文です.

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下記のとおり2011年度通常総会と活動発表会のご案内を申し上げます。

               記

日時:2011年6月4日(土)
 通常総会13:30~15:30 活動発表会15:40~16:40

場所:こうち男女共同参画センター(ソーレ)3階 大会議室

活動発表会では、ご出席の各団体の活動内容を発表していただき、交流を図りたいと存じます。
実物・パネル展示等での参加も歓迎いたします。
是非ご参加下さいますよう、お願いします。

アリを使った自由研究

2011-06-03 10:24:54 | 日記
 学習雑誌の付録に「アリ飼育器」のようなものが付いていたことがある.これを使ってアリを飼ってみたという自由研究が,その年は大流行した.ただ自由研究としては,一般にあまり成功してないように思う.

 アリ飼育器は,大きさは対象とするアリのサイズや,その他の条件で変わってくる.小さいものはフロッピーディスクのケースのようなものである.とにかく2枚の透明なプラスチック板を,短い距離で平行に置いて,板の間に土を入れる.そこにアリを入れると,アリは穴を掘って「巣」を造る.壁は透明プラスチック板だから,それを通して巣の形や大きさや,巣の中でのアリの行動が見える.

 なかなか良さそうだけど,落とし穴がある.それは多くのアリでは,女王がいなければ何も始まらないということ.しかし女王アリを捕獲するのは,なかなか難しいのでないだろうか.

 女王がいなければ,本来ならアリが巣の中でしているだろう行動,たとえば産卵,育児などという行動は,このシステムでは観察できない.アリ飼育器に入れられたアリたちは,いわば途方に暮れて,穴を掘ってみたり,与えられた餌を食べたり,ひょっとしたら餌を運んだりもするかもしれないけれど,いずれにせよ本来の正常なアリの行動ではない.これでは観察そのものが無意味である.

 ただし例外もある.身近なアリではアミメアリというのがいる.このアリは,女王アリがいないとき,働きアリが女王に代って産卵して,新たな女王を誕生させるという性質をもっている.だからアミメアリなら,働きアリの集団から出発しても,うまくコロニーを作らせることができるかもしれない.実際どうなるか本当のところは,私は知りません.

 アリを使った自由研究でぶつかる,もう1つの障害は,アリの名前である.たとえばモンシロチョウとアゲハチョウを区別しないで単に「チョウ」の飼育をしたというのでは,やっぱりマズいでしょう.アリの種類数はどれほどか知らないけれど,チョウよりは多いだろう.試みに某大学の校庭を散策してみたら,10分足らずの間に10種類ほどのアリを見つけた.アリというのは,じつはそれほど多様なのである.

 幸い今は「日本産アリ類画像データベース」というホームページ
http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/J/index.html
があって,誰でも簡単にアリの種類を判定できる.ただし子どもには無理である.こういう場面でこそ親や先生の助けが必要となる.