ネイチャーサロン by こうちフィールドミュージアム協会

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プラナリアの分布を調べよう

2013-01-15 13:03:48 | 日記
 プラナリアは,切られても死なない,再生力の強い生物だ.カッターナイフなどで1匹のプラナリアを前後2つに切ると,前の断片は尾を,後の断片は頭を,それぞれ再生する.つまり2つに切ると2匹になる.5つに切ると5匹になる.「切っても切ってもプラナリア」という本に,そういう実験のしかたが書いてある.プラナリアの再生実験を扱った動画もあります.

 プラナリアの再生実験(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=x-dODHY1VaI

 プラナリアのなかまをまとめて扁形動物(へんけいどうぶつ)という.海の中で岩の表面などにいるヒラムシとか,湿った陸地に住むコウガイビルも扁形動物だ.ジストマ(吸虫)やサナダムシという寄生虫も扁形動物.どれも体が薄くて平らである,という特徴が共通している.


プラナリアを捕まえよう
 プラナリアを探しに出かけよう.用意するものは絵筆1本.あまり大きくないものが使いやすい.それとプラナリアを持ち帰るための容器.たとえば100円の店で売っているような小さなタッパーでも良い.
 探すポイントは小さな水路.家庭排水が入ってないような場所を探す.たとえば山の近く.谷川から降りてきた水が流れ込んでいる水路など.私は自宅の近くにある,幅30cmほどの水路でプラナリアをよく採集している.コンクリート3面張りで,水がチョロチョロと流れていて,泥がたまってないような場所が良い.
 そういう場所で,水中の小石を手に取って,石の裏側を見ると,プラナリアが付いていることがある.見つけたら絵筆を水に濡らしてから,筆先でかき取るようにして,まず筆先に乗せる.タッパーに水を入れて,それに筆先のプラナリアを浸けると,プラナリアは筆先から離れて水底に落ちる.


プラナリアを観察しよう
 捕まえたプラナリアを飼ってみよう.飼い方のポイントは,水を頻繁に変えること.まず水だけを捨てる(このときプラナリアを捨てないよう注意).そして市販の天然水(たとえば「四万十の水」「奥大山の天然水」「あずみ野の水」など)を入れる.この水かえ作業を,できれば1日1回する.
 餌は与えなくても良いでしょう.


(画像はクリックすると大きくなります)


  プラナリアの「在来種」型.


  アメリカツノウズムシ.「耳」(矢印のところ)が尖っている.

2種類のプラナリア
 いろいろな場所で採集してみると,プラナリアは2種類いることがわかると思う.ひとつは頭の両側の「耳」が丸いタイプ.もう1つは「耳」が尖っているタイプ.後者はアメリカツノウズムシという種類のようです.
 「川虫紹介・アメリカツノウズムシ」
http://kawagera.net/tunouzu.html
を参照してください.プラナリアの種類の見分け方も書かれています.

 「耳」が丸いタイプには何種類かが含まれるらしいけれど,ここでは便宜的に「在来種」型と呼ぶことにします.本当の在来種はナミウズムシDugesia japonicaだけど,それ以外の外来の種類も含まれるかもしれない.だから「在来種」という言い方も本当は不適切です.

 さて,
 「在来種」型のほうは顔つきもカワイくて,女子生徒に人気です.いっぽうアメリカツノウズムシのほうはバットマンのような,ちょっと恐そうな顔をしている.選べるなら「在来種」型のほうを絶対お勧めします.ところが最近はアメリカツノウズムシを頻繁に見かけます.私の近所でも最近は「在来種」型をあまり見かけなくなりました.


地図を作ろう
 あちこちでプラナリアを探してみよう.見つけたら,その場所を地図に書き込んで行こう.見つかったのが「在来種」型かアメリカツノウズムシかも書き込んでおこう.
 プラナリアはどういう場所に住んでいるだろうか.「在来種」型とアメリカツノウズムシとでは,住んでいる場所のかんきょうに違いがあるだろうか.


参考資料
 川勝 正治・西野麻知子・大高明史(2007)プラナリア類の外来種.陸水学雑誌 68: 461- 469.

(注意) 「在来種」型という言葉を便宜的に使いました.「川虫紹介・アメリカツノウズムシ」のページ(上記)や,できれば陸水学雑誌の論文を読んで,正しい用語を使うよう心がけてください.