ネイチャーサロン by こうちフィールドミュージアム協会

 自然をより深く知ることの楽しさを,お茶会のような雰囲気で語り合いましょう.

ゾウリムシを飼う

2010-12-24 00:12:06 | 日記
 ゾウリムシを飼うために,昔はレタスの抽出液を使っていましたが,高校などではカロリーメイトを希釈して使うのが一般的になってきました.

 先日の「土佐生物学会」では,原生動物を飼う液として「麦葉粉」または「青汁粉末」を使う方法が紹介されていたので,試してみました.
 といっても「麦葉粉」がどういうものか知らないので,近所のセームスで,それらしいものを買ってきました.





 麦葉粉 0.05g を水100ml に入れて煮沸5分.冷ましてからろ過して使用,というふうに教わったのですが,煮沸もろ過もパスして使ってみました.粉末が入っていて困ることもないと思ったからです.
 ただ,煮沸は雑菌を除去するという意味もありそうなので,一般には煮沸は必要でしょう.
 今回は粉末を水に入れて,それにゾウリムシを入れるという超簡便な方法でやってみました.

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 というわけで,セットしてから1週間.
 とりあえずゾウリムシは生きています.



ツリガネムシ出現

2010-12-16 18:08:14 | 日記
 哺乳動物の便を水に入れて放置しておくと,微小な生物がいろいろ出現します.ただし水が腐らないように,頻繁に水を替えたり,エアレーションをするなどの工夫が必要です.出現する生物として特に目立つのは原生動物です.

 写真は便を入れて2週間ほど経過した水の中に出現した原生動物の1つで,ツリガネムシの一種です.撮影は一昨日(12月14日).
 ツリガネ型の本体から,糸のような「茎」が出ています.茎には芯が見えます.この「芯」はミオネムと言って,筋肉のように伸縮します.ツリガネムシを刺激すると,身体をキュッと丸めて,茎を収縮させます.静かに放置しておくと,また茎を伸ばし,身体をツリガネ状に拡げます.

 高知市内の,たとえば五台山の池水を採取して観察すると,よくツリガネムシを見かけます.写真のツリガネムシは,それとは非常に違うような印象です.最大の違いは「大きさ」でしょうか.五台山のツリガネムシに比べ,ずっと小さく貧弱な体つきです.しかしツリガネムシであることには間違いありません.「茎」が枝分かれしていないこと,ミオネムがあることから, Vorticella 属であることも確かです.
 問題は種名です.手元の図鑑では,写真の虫は Vorticella minima という種類に最もよく似ています.絵と見比べてのヤマカン同定なので,あまり信用できないと思う.

 ついでに,ツリガネムシ関係の知識を少し書いておきます.
 ツリガネムシと混同しやすい原生動物として,ラッパムシがあります.一般にはラッパムシのほうが,はるかに大きいのですが,小さなラッパムシもいるので,大きさだけでは決められません.やはり最良の区別点は,ツリガネムシには「茎」があることでしょうか.

 分類学的にはツリガネムシは周口類(周毛類?),ラッパムシは異毛類.かなり類縁は遠い.
 しかし,どちらも身体の前端を取り巻くように長い毛がはえていて,この毛で水流を起こして,餌を口に運びます.このときラッパムシでは右回りの水流になります.これに対しツリガネムシでは左回り.

 昔,高知市下知にあった下水処理場を見学したことがあります.糞便まじりの下水を沈殿させてから,エアレーションをして微生物を発生させます.微生物の活動によって水が浄化されるわけで,この方法を「活性汚泥法」というらしい.
 そのとき見られる微生物のリストを見せてもらいました.他の微生物に混じって,ツリガネムシ類の種名がずらりと並んでいました.ツリガネムシ類は汚水処理では重要な役割をはたしているのかもしれません.発生するツリガネムシの種類によって,汚水処理がうまく進んでいるかどうかが判別できると書いてありました.

 今回私は動物の便を水に入れて,エアレーションをしながら保持したので,まさに下水処理場と同じことを実行したことになります.

特別展「豊かな森の住人たち」

2010-12-03 09:41:06 | 日記
 行事案内です.

○イベント名
特別展「豊かな森の住人たち」
http://www.lutra.jp/yutaka.pdf
http://www.kochi-u.ac.jp/w3museum/science_gallery02.html

○主催
四国自然史科学研究センター

○共催
高知大学・四国森林管理局・環境の杜こうち

○会場
高知大学朝倉キャンパス総合研究棟(http://www.kochi-u.ac.jp/JA/m/c-asakura.html)一階ディスプレイスペース

○開催期間
平成22年12月1日~12月24日

○開館時間
開館時間:平日8:30~18:00 日祭日10:00~18:00(最終日の24日は、15時まで)

○観覧料
無料

○展示解説
12月5日および12月19日の12:30よりそれぞれ30分間

○内容詳細

 四国は広い範囲が森林に覆われています。しかしながら、木材供給を目的とした戦後の拡大造林によって、標高が低く、人の活動が活発な地域の多くの森林は、野生生物の生息にはあまり適さないスギやヒノキが植林された人工林にかわってきました。そのため、森林に棲む野生生物の中には、絶滅の危機に瀕している種が多くなってきています。一方、四国は石鑓山や剣山など高山を有し、山は高く、川は谷を深くきざみ、急峻な地形を形づくっています。このような地形に守られるように、高標高地域である四国山地には多くの野生生物が生息できる生物多様性が高い森林が残っています。

 このたび四国自然史科学研究センターでは、高知大学、四国森林管理局および環境の杜こうちと共催で、特別展「豊かな森の住人たち」を開催します。この特別展は生物多様性が高い森林の保存を呼びかけることを目的に、四国山地に生息が確認された野生鳥獣を、標本と写真を用いて紹介しています。展示の基になった情報は、当センターによる調査研究活動ならびに四国森林管理局が行っている「四国山地緑の回廊生物モニタリング調査」によって得られたデータです。

 展示をご覧になって、豊かな森林に暮らす住人たちを知っていただき、その森林を「これから、どうしていけばよいのか」に思いをめぐらせていただければ幸いです。

※この行事は、平成22年度「こうち山の日推進事業」として、森林環境税を活用して実施されています。


○問い合わせ先
四国自然史科学研究センター
 住所:〒785-0023高知県須崎市下分乙470-1新荘公民館内
 電話:0889-40-0840(FAX兼)