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PCデポの高額解約料について

2016-08-18 16:07:14 | 日記
パソコンや携帯電話の販売、サポート事業を展開する「PCデポ」で、80歳代の老人に月額約15,000円のサポート契約をさせ、解約の求めに対して違約金として10万円を支払わせたとネット上で物議を醸しています。これに対してPCデポ側はコースの変更、無償の契約解除に応じるなどの動きを見せ、いわゆる「火消し」に躍起な状況になっています。

もともと携帯電話など、一般消費者には理解しづらい複数サービスとの抱き合わせ販売が、また、いわゆる”2年縛りプラン”は中途解約すると高額な解約金の請求がなされるのが日常化しています。
また、家電量販店などではいわゆる”メーカー保証”以外に有料の長期保証制度やサポートサービスに加入させるようなケースが年々増えています。

パソコンのサポートサービスも、家電量販店の長期保証制度も、それ自体は何も問題ありませんし、パソコンの事をわからない人にとっては有益なサービスです。しかし今回、問題の引き金となったケースでは1ユーザーに対してパソコン10台までの初期設定、ネット接続、ウイルス撃退、点検と、過剰な契約が行われ、契約解除にあっては残期間の代金20万円を請求され、その後の交渉で10万円になったようです。

まず第一には、PCがわからない、かつ、サポート内容の具体的内容もわからない高齢者に対して過剰な契約を取り付けている点は企業のモラルが問われてしかるべきでしょう。

次に、契約解除については消費者契約法第9条1項の問題が生じます。
消費者契約法の第9条1項は以下の通りです。
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分


簡単に(簡単になってないかもしれませんが)説明しますと、消費者契約法は消費者保護を目的に、消費者と事業者との間に生じる情報の質、量等の格差を認め、その格差を是正するために、契約締結段階において事業者に不適切な勧誘行為があった場合に消費者に取消権を認めたり、また、消費者に対して一方的な不利益な契約条項を無効とできる法律です。

そして9条1項は消費者と事業者間の契約について解除を行う際、契約書を竪にして高額なキャンセル料や違約金の支払いを防ぐために、契約解除に伴って事業者が被った損害を上回る違約金、解約金、キャンセル料、損害賠償などの金銭の支払い(既に払った金銭の普遍関を定める条項も含む)については、当該事業者に生ずる平均的損害を上回る部分については無効と規定しました。

「平均的損害を上回る部分」がややこしいのですが、同種のサービスを行う事業者の、同種のサービスが解約された場合を想定して、その場合にその事業者に生ずる平均的な損害額をいうと解されています。

今回のケースにあてはめて、PCデポが定めた解約料が、同種のサポート契約の解除によってPCデポに生じた平均的な損害額を超える部分が無効になる。そういう理解で良いと思います。

今回の高額解約料の背景には、サポート加入を前提に本体代金が大幅に割り引かれているなど、オフィス用品では良くあるリース契約のような契約形態になっている可能性があります。その際は解約時に本体残金を一括支払いする可能性はあると思います。消費者保護の観点から、契約を複雑化してわかりにくくする契約書のあり方について議論の余地がありますし、また、そもそもの話ですが、契約の基本は契約書内容を確認する必要もあるでしょう。

いずれにしてもPCデポだけの問題ではないと思います。

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