笑う 七色 福来たる

盲導犬の訓練を終え、どうも犬となって帰ってきた七色。そんな七色と隊長のぐ~たらで楽しい訓練生活。 

少女Aと少女B

2009-12-20 | 七色の日常
ななブンイレブンの前に、

みじろぎもせず、ただ1点を見つめ、佇んでいる少女が居た。

一見するとヤンキーに見えるが、

実像は、

特別じゃないどこにもいるわ。少女Aだった。・・・・・・中森明菜の 「 少女A 」 を知らないヤングはお母さんに聞いてみよう!



 「 ななタンは いぬのおきもの。 ななタンはいぬのおきもの。ななタンはいぬのおきもの・・・・・ 」


「 自分は犬の置物 」 だと必死に自分に言い聞かせ、

己の中で、怖い人間社会から隔絶した世界を作り上げ、自分を守ろうとしていた。


そして、目を閉じた。

そこは漆黒の闇の中。彼女は孤独の闇の中にその身を沈めた。




 「 だれにも ななタンのすがたは みえましぇん 」


彼女は誰にも見られたくなかった。

誰の声も聞きたくなかった。

誰にも触られたくなかった。



おお~、脆くて壊れそうな孤独な少女よ。

目を開けてごらん。

そこに見える人は、お前を孤独の闇から救い出してくれる救世主となるだろう。






 「 たいちょう! 」




            ~~ Fin ~~





朝起きると、庭は一面の銀世界。 


少女Bは言った。




 「 おいしそうでしゅ 」


・・・・・・綿菓子じゃね~よ 



少女は、綿菓子のように、雪を食べてみた。



 「 つめたいでしゅ 」


・・・・・そりゃそーだべ。


そして、ピンときた。



 「 これに いちごシロップをかけたら おいしくなるでしゅ 」


・・・・・かき氷じゃね~よ。





 「 これで かおをあらうと いろじろに なりましゅよ 」


・・・・・・おしろいパウダーじゃね~よ



そしてまたピンときた。 



 「 したの せかいに あしを ふみいれるチャンスでしゅ 」


いつもは、下に行かれないようにデッキにリードを固定しているが、

今日は、リードを付けて、フリーにした。



自由を得た少女は、

好きなだけ臭いをかぎ、雪を食べ、土を掘り起こした。

そうだ。これが真の自由解放だ。 

誰もこの自由を奪うことなどできないのだ。 たとえそれが隊長だったとしても。

少女はそう確信し、いつもは禁止されている 臭いかぎを思いっきり楽しんだ。






 「 すー はー すー はー 」



すると・・・・

何かの臭いに反応し、


少女の内なる情熱がマグマとなって、一気に体から噴出した。 






マグマとなった熱情を誰が止めることができよう??







・・・・・いや 誰もできまい。







できるのは、バターが冷えるのを待つだけだった。



およそ10分、

「 パイパ~イ 」 という隊長の声で、

彼女は、我に返った。

そして思った。・・・・・もう孤独は嫌だ。




そして、自分を愛してくれる人の元に駆け寄り、

こう言った。




 「 どうか なかへ いれてくだしゃい 」



隊長は言った。

 足を拭かなきゃ入れてやるもんか。






 「 この ぞうきんで おねがいしましゅ 」



孤独から逃れる為に少女が差し出したものは、1枚の雑巾だった。 



           ~~ Fin ~~





短編小説2編にお付き合い、ありがとうございました。・・・・・小説だったのか?? 
ななブンイレブンで待つ、ビビリMAXの七色と、庭で狂喜乱舞する七色があまりにも対比的だったので、小説にしてみました。・・・・・だから小説なのか?? 
少女A 少女B2つの顔を持つ 少女ななに 1発 

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