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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

拾い読み★2011-078≪コラム記事≫

2011年03月18日 18時40分55秒 | マリーンズ2011~15
仙「巨人の選手からああいう言葉が上がってほしかった」



 楽天・星野仙一監督(64)は、東日本大震災への対応で12球団の足並みがそろわず結局“セ・パ分離開催”となったことにもどかしさを募らせ、怒りを押し殺している。
 「言いたいことはたくさんあるよ。しかし、おれの立場は(被災地を本拠地とする)当事者だから黙っている。そうでなければ、とっくに言っとる。ぶちかましとるよ! おれが阪神や中日にいれば言うんだけど」
 楽天ナインは17日、ナゴヤ球場を借りて練習。闘将は報道陣を前に苦悶の表情だったが、それでも本音がポツリ、ポツリと口をついた。
 「当事者のおれの口からは言えないことだが、選手たちがまともなことを言っているのがうれしかった。宮本とかな」
 星野監督とは2008年北京五輪を一緒に戦ったヤクルト・宮本慎也内野手は前日(16日)、25日開幕強行に理解を求める球団首脳に対し、「納得できる理由が何一つなかったので、無理ですと言いました。選手会は144試合をダブルヘッダーでもやると言っている。それでもなぜ開幕にこだわるのかわからない。損得を考えているしかないでしょう。野球で勇気を与えるというけれど、今はまだその時期ではない。思い上がりもいいところ」とぶちまけていた。星野監督にしてみれば、わが意を得たりとひざを打ったというところか。
 さらに星野監督は「ひとつ言わせてもらえれば、巨人の選手からああいう言葉が上がってほしかった」とも。
 巨人は渡辺恒雄球団会長が「開幕を延期するとか、プロ野球をしばらくやめるとか俗説もあったが、戦争に負けた後3カ月で選手、監督から試合をやりたい、と声があがり、プロ野球を始めた歴史もある」とぶち上げたように、25日開幕推進の急先鋒。プロ野球選手会が総意としてセ・パ両リーグの開幕延期を求めてきたとはいえ、巨人の選手が突出して25日開幕に異を唱えることは他球団の選手以上にリスクが高い。「親会社によって方針が違うから、難しいところがあるのもわかるけどな」と闘将も理解を示すが、黙ってはいられなかった。
 当事者ゆえになおさら発言の影響力が大きく、誤解、反発を生みやすいのを承知している。親しい間柄の日本ハム・梨田昌孝監督は球団広報を通じて「被災者の方々は電気や水が通らずテレビすら見られない状況の中、セ・リーグの方向性がパ・リーグと違ったことを残念に思います」とコメント。明確にセの25日開幕強行を批判した。本音は同じ星野監督にしてみれば、はっきりモノ申せる立場がうらやましく感じられているのかもしれない。
 その星野楽天は、20日の中日戦と21日の巨人戦の中止を申し入れて了承された。これで18、19日の対中日2連戦(ナゴヤドーム)をもってオープン戦を終え、その後は、当初有力視された岡山ではなく、神戸に長期滞在し、4月12日に延期となった開幕へ向けて調整を行うことになった。





セ強行は利益確保の思惑 天の声の鉄槌は避けられない



 パ・リーグが4月12日に開幕延期したのに、25日開幕強行を正式決定したセ・リーグ。労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)が反対の声を上げ、世論も同調している。開幕強行派の巨人など数球団は、なぜかたくなに延期を拒否したのか。天の声の鉄槌(てっつい)は避けられない。
 予測不能の大規模停電の恐れがあると、海江田産業相が節電の協力を産業界と国民に求めるコメントを発表したまさにその日。セ・リーグが25日開幕強行を決定。世論感情を逆なでする行為が強烈にクローズアップされた。
 巨人が本拠地開幕する東京ドームの1日の消費電力量は5~6万キロワット(詳細は別項記事参照)。これは一般家庭に当てはめると5000~6000世帯分の消費電力量に該当する。停電の影響で街の灯は消え、電車の間引き運転で多くのサラリーマンが通勤にも支障をきたす中、こうこうと照明をつけてのナイター開催は、「野球をやることで経済的にも貢献する」(セ・リーグ首脳)などというセリフさえもはや詭弁(きべん)に聞こえてしまう。
 事は電力消費の問題にとどまらない。被害が拡大するばかりの東日本大震災。行方不明者の全容もつかみ切れていない中、関東や首都圏でも連日連夜の余震が収まらず、いまだに第2、第3の震災が発生しないともかぎらない。放射能汚染の問題もある。
 他の競技・団体が年に数度しかない節目のイベントを続々と中止・延期決定する中、毎日興行できるプロ野球が大都市圏で1万人を優に超えるイベントを強行開催すること自体が異常に際立っている。大観衆の安全性の確保という観点で、コミッショナーら球界首脳はどこまでセーフティーネットを張っているのかも甚だ疑問だ。
 「今は試合をするときではない。試合をすることで勇気づけるというのは思い上がりだ」という選手会の言い分は的を射ている。「義援金」と「勇気」を合言葉に強行する裏には、開幕延期で生じる多大な収益損失を恐れた利益確保の思惑も透けてみえるのだ。
 25日の開幕戦(巨人対横浜=東京ドーム)は、日本テレビが中継する。当初は「同じ日に人気のある世界フィギュア(女子)とサッカーのザックジャパンの国際マッチがあるので、巨人戦は惨敗だろう」とテレビ局関係者が断言する悲惨な見通しだった。
 バンクーバー冬季五輪金メダリストのキム・ヨナと銀メダリストの浅田真央が激突する、東京で開催の世界フィギュアスケート選手権女子ショートプログラム。さらに、アジア杯で高視聴率を連発したザッケローニ監督率いるサッカー日本代表が静岡でモンテネグロ戦。2強とのガチンコ勝負では、逆立ちしても巨人戦には勝ち目はなかった。
 しかし、東日本大震災の深刻な影響でフィギュアもサッカーも中止になった。社会的な一般常識に従った当然の緊急措置だ。ひょっとしたら、これで巨人の25日開幕強行の決意がさらに強固になったのではないか。そんなゲスの勘ぐりさえしたくなるような説得力を欠いた裁定だった。
 昨年の巨人対ヤクルトの開幕戦のテレビ視聴率は、第1部(午後5時30分~7時)8・4%、第2部(午後7時~9時14分)12・3%という寂しい数字に終わっている(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)。最後は節電、停電で暖房や電気機類の使用を最小限にとどめているファン・庶民が、厳しい審判を下すはずだ。





フロントと選手の間にいるヤクルト 小川監督を直撃



●「プロ野球は興行。東北の選手が頑張っている様子を見せられる高校野球とは違う」
「野球で被災者を勇気づける」という実行委員会側の発言に「思い上がりだ」と反論したヤクルトの宮本は、この日も「僕は家のトイレの電源も切っている。そういう状況の中、煌々(こうこう)と電気をつけて野球をやっている場合じゃない」と強く抵抗した。では、選手とフロントの間にいる指揮官はどうだろうか。小川監督に、今回の開幕について話を聞いた。
――セ・リーグは通常通り25日の開幕が決定的です。
「どうかと思いますね。被災地の様子をテレビで見ていると、そんな気分じゃなくなります」
――実行委員会では相変わらず「野球をすることで被災者を勇気づけたい」と言っています。
「そういうのは、的外れな気がします。プロ野球は高校野球とは違う。興行でやっている。『勇気づける』というのは、東北の選手が頑張っている様子を見せられる高校野球とは違うんですよ。選手もそんなつもりでやっていないと思う」
――最近の選手の雰囲気はどうですか。
「放射能とか余震のニュースが流れている中、野球をやるのが心配で、選手は集中できないだろう。ただ、プロである以上、やるからにはやるしかないんだけどね……」
――家族や友人が被災している選手もいる中で、本当にあと1週間で“プロ”としての仕事ができるようになるでしょうか。
「選手たちは気持ちが入らないし、そんな簡単には切り替えられないと思う。彼ら(実行委員会のメンバー)はそういう気持ちを十分に考慮していないと思う。野球をやるのは選手なのに……」
――フロントの意見と現場の意見は、依然として食い違ったままということですね。
「16日、選手たち(石川選手会長と宮本)を集めて球団の意向を伝えていたけど、みんな(選手全員)は納得していないのは変わらないからね」
――これから開幕に向けてどうしていきますか。
「25日に開幕することで、またいろんな意見が出てくるだろうけど、僕らは従うしかない。そこに合わせて調整していくしかないんです」





こんな時に!?セ・リーグ来週から照明煌々でナイター開幕

 「私も野球ファンだけれども、これどうしても解せない」
キャスターの小倉智昭がオープニングトークで、プロ野球公式戦開幕の日程について疑問を呈した。17日(2011年3月)に発表になった公式戦開幕の日程は、セ・リーグが予定通り3月25日、パ・リーグは4月12日に延期されることになった。
コミッショナー「日本は落ち着いている」
小倉に限らず、誰もが疑問に思うのがセ・リーグの開幕。新聞によると、加藤良三コミッショナーは「風評により日本は負の連鎖に陥っている。野球がやれるぐらい落ち着いているというメッセージを世界に向けて発したい」と述べたという。
加藤コミッショナーは駐米大使も務めた外交官で、良識のある人物のはずだが、風評による負の連鎖に陥っている云々というのはいかがなものか。
被災地は電気も水道もなく、生きるためのギリギリの避難生活を送っている。津波の被害こそ免れたが、首都圏では計画停電で不便な生活を強いられている。
選手たちは強行開催に反対
小倉は怒る。
「ナイターは午後6時ごろから始まる。大規模停電になるか分からないという一番電力消費量の多い時間帯です。そんななか、東京ドームに煌々と明かりをつけて野球をやれるんでしょうか」
深澤真紀(編集者)も「選手会はファンのためにこそやりたくないとものすごい決断をしたのに、(日本野球機構は)何を守りたいのか分からない。強行しようとしているのはファン不在、選手無視と思う」と憤懣やるかたなしといった表情である。
小倉によると、この予定通りの開幕を決める際、「ある偉い方が戦後復興のとき、プロ野球を開始してどれだけ日本人に勇気を与えたか引き合いに出した」という。
当時、なかったナイターは中止するというのならまだしも、大量の電気を使って野球に興じる。被災地の人はそれを見てどう思うか。人でなしだろう。





都内のホテルで巨人軍激励会を開き出席させる神経



●選手は被害者。激励など素直に受け入れられない「日本の恥ですね」と憤慨するのは、プロ野球ファンで作家の吉川潮氏だ。
 読売新聞社主催の巨人を応援する有力財界人の集まり「燦燦会」が16日、東京都内のホテルで行われ、原監督や選手らが激励を受けた。
 東日本大震災の傷痕は日に日に大きくなるばかり。16日現在で死者4277人、行方不明者8194人。死亡、行方不明者は計1万2471人となった。
 真冬の寒さの中、避難所生活を強いられている人が43万人。交通、通信手段を断たれた集落に9200人が今もなお孤立している。福島県の原発では連日爆発事故が起き、放射能が飛び散っている。
 ヤクルトや横浜など、他球団が続々と激励会を中止する中、それでも巨人は夜のパーティーに出席した。一応、復興支援を兼ねた会という名目で、会場には募金箱が設置された。渡辺球団会長は「巨人軍開幕に向けて、激励するためにお集まりいただき感謝します。東日本の震災のみなさんも激励し、チームも前向きに復興の努力を誓い合う会にしたい」と壇上で趣旨を説明。だが、燦燦会の御手洗会長(キヤノン会長)は「坂本君と同年代の沢村君も入ってきたし、V奪回をお願いします」と地震のじの字もない挨拶をした。
 一通り挨拶が終わり、司会を務めたアナウンサーが「選手へのサインと写真はご遠慮願います」と言うと、渡辺会長が「腹が立つな。誰がそんなことを決めたんだ? サインが欲しくて来ている人もいるんだよ。世の中を明るくしなきゃいけない。中心にいるのがこの選手たち。何でも禁止すればいいってもんじゃない。そんなことを決めたヤツは懲罰だ!」と一喝。
 冒頭の吉川潮氏が続ける。
「被災者の心情、余震、放射能問題……。こんな時に激励会なんて普通の神経じゃ考えられません。キヤノンをはじめ、日本を代表する企業の有力財界人が200人以上も集まり、酒を飲んで巨人を激励する。財界人が激励すべきは被災者でしょう。不適切というか、あきれて言葉が出ません。巨人は25日の開幕をゴリ押ししているようですが、こんなことをやっていたら、巨人はファンだけでなく、国民から総スカンを食いますよ。渡辺会長は頑固というより“頑迷”です。老害という意味ですが、読売首脳の判断ミスで非国民扱いされるかもしれない巨人の選手が気の毒です」
 まったくだ。出席した巨人ナインだって素直に激励など受け入れられる心境ではないだろう。行方不明者がひとりでも無事に見つかるよう、避難している人たちに少しでも早く物資が届くようにと気にかけている選手が多いという。巨人の桃井球団社長は前日、この会合について「我々は激励される側で主催者ではない」と正当性を主張した。清武球団代表はこの日、「日常に戻ろう」と選手たちにゲキを飛ばしたという。
 巨人は頑として予定を変更せずに激励会に出席し、25日の開幕を迎えたい意向だ。その結果、失うものはあまりにも大きい。





東京ドームに聞きました「デーゲームの電力消費は?」



震災下での開幕論争に揺れるプロ野球。野球は被災者のためになるのか、それとも電力の無駄遣いか。25日に強行開幕することが決まったセ・リーグ、巨人の本拠地球場・東京ドームのIR室、中野靖光路(やすひろ)課長に聞いた。
 --東京ドームは、どのくらい電力を消費するのですか
 「ドームの建物全体で、1日5万-6万キロワット時(一般家庭で1日10キロワット時程度)です。球場照明、空調などすべてを含みます」
 --計画停電が続く中、野球ファンがいる。板挟み…
 「すでに外の照明や装飾照明などは落としております。しかし、お客さまの安全のため通路を暗くすることはできません。球場内の照明は野球に必要です…」
 --デーゲームにしても
 「基本的に室内ですので、ナイターもデーゲームも電力は同じです」
 --なるほど
 「ただ、事務所内は間引き照明にし、社員は1個人として家庭でも節電に努めております。例年行われる開幕祭も中止になりました」
 --安全対策は
 「東京もいつ大きな地震災害があるかわからない。避難誘導などをこの機会に徹底確認しております。東京ドームは広域避難場所に指定されており、建物は頑丈です。有事の際には、パニックにならず、まずその場を動かないようにしていただきたい」
 --本来なら球春到来に沸くはずが…
 「今回の災害につきましては心よりお見舞い申し上げます。大変な時期なので、できるだけのことをしたいと思っております」





震災とプロ野球開幕騒動に想う……。
「今、自分たちにできること」


 あの日の震災以来、日本列島の混乱が続いている。
 野球界でも震災から2日間は予定されていたオープン戦が全試合中止。その後もKスタ宮城、QVCマリンフィールド、西武ドーム、神宮球場、横浜スタジアムの開催試合のほか、各チームの壮行会や、マリンで行われる予定だった堀幸一の引退試合も中止。
 選手たちは合同練習、練習試合という名目で調整を進めているが、練習試合に臨んだ金本が「やってええんか?」と戸惑いの声を上げたり、ダルビッシュの「ボールを投げて、バットを振り回している場合じゃない」なんて発言が新聞紙上に出るように、選手たちから聞こえてくるのは「野球をやっている場合ではない」という声ばかり。
 そんな中、焦点になったのは、3月25日に迫ったシーズンの開幕だった。
 3月15日に行われた実行委員会では、予定通りの開幕を推すセ・リーグと、最大1カ月の開幕延期もやむなしとするパ・リーグで議論は割れた。

選手や監督など現場の意見は開幕延期なのだが……。
 多数の死者を出した若林区荒浜から本拠地のKスタが10キロも離れていない楽天では、家族が避難所生活を強いられている選手もいる。
 ロッテのQVCマリンでは駐車場が液状化現象に見舞われた。そんな被害を受けたチームがあるパ・リーグが予定通りに開幕することはどう考えても無理だろう。
 一方、「復興の後押しとなる」と通常開幕を推すいわゆる“分離開幕”派のセ・リーグでも、東北・関東地方の電力不足によるナイター開催は現実的ではない。現に同じセ・リーグ内からも、ヤクルト小川監督が「プロ野球は高校野球と違い興行という面がある。開幕は遅らせた方がいいと思う」と私見を述べ、選手会の新井会長も「野球で勇気づけたいのは選手も同じ。だけど本当に今開幕していいのか?」という選手の総意を語るなど、大勢の意見は“開幕延期”に傾いているようだ。
「たとえお客さんがたくさん来なくても、野球人として責務を果たしたい」(巨人・清武代表)
「これ以上、経済活動を停滞させてはいけない」(阪神・沼沢本部長)
 巨人、広島、阪神、中日などの球団関係者は、そんな言葉をもって通常開幕を訴えた。
 プロ野球ファンからは「東北が大変な時に、自チームの利益しか考えていない」なんて声も聞こえてくるが、これら球団関係者の言葉も一理ある。

何もできない……だから試合で稼いで義援金を送る。
 我ら一般人は報道を観て嘆き、何もできない無力さに打ちのめされるだけだが、彼らは違う。野球選手には、野球選手にしかできないことがある。
 そのひとつとして巨人が取った行動がある。 
 3月14日に岐阜で行われた阪神戦と、19日に甲府で行われるロッテとのオープン戦をチャリティー試合とし、試合の収益金を含む3000万円を義援金にあて、14日に225万円を集めた球場内での募金を19日のロッテ戦でも行なうなど、経済活動で範を示し、他球団もそれに続こうとしている(原稿〆切後、休止された試合もあり)。
 要するに言葉は悪いが、何もできないのだから仕事をして金を稼ぎ、それを義援金として役立てればいいということ。それはパイこそ小さいが一般の我々の在り方としても通じる理論である。

ムキムキのダルビッシュを見ると元気が出る、ということ。
 そして、もうひとつ。あるファンがこんなことを言っていた。
「ニュースで見たんですが、口では『野球なんかやれる環境じゃない』と言いつつも、ムキムキに筋肉の張ったダルビッシュなんかを観ていると、こんな最悪の状況でも自分のやるべきことはちゃんとやっているんだなと感心する。それを見て、自分も落ち込まず、できることをちゃんとやらなくちゃいけないなと」
 勇気を与える、とか、そういうことはあまり言いたくないのだが、言葉を当てはめるならそれしか見当たらない。
 被災地となった楽天。米田代表は「東北の人たちに元気、勇気を与えるのが我々の使命。それに向けていい形でスタートしたい」と語った。選手会長の嶋は「ユニホームを着たらしっかりやるしかない」と言い、山崎は「今はやれることをやる。少しでも力を与えられれば」と14日の練習試合で本塁打を放った。
 彼らは自分にやれることをやろうとしている。地元をメチャクチャにされた無念、家族を心配する不安も一時忘れ、自分に与えられた仕事を忠実にこなし、東北の地元球団としての役割を理解し、心を奮い立たせながら復興の先兵になろうとしている。
 それは、今現在も被災地で苦しむ人たちが無事生還した時、プロとして恥ずかしくないプレーを見せるため。そしてそんな姿は、次から次に起こる災害に打ちのめされた日本人に、「自分ができる仕事をやるしかない」と無言で訴え掛けてくる。

再び日常を取り戻すために……野球を観ようと思う。
 正直な話。大地震と津波により壊滅した東北の映像、今も続く余震、停電、交通網の混乱、原発事故による放射能の脅威、チェーンメールなどに惑わされてるし、宮古の沿岸に住む大事な友達は行方不明のままだ。
 この短時間で愕然とすることばかりが続き、東北とは比べ物にならないほど被害の小さい東京にいながら、筆者の心は野球をスッポリ忘れてしまうほど、折れてしまっていた。
 だが落ち込んでいても何もはじまらない。
 野球選手もサラリーマンも、主婦も子供も食い詰めライターも、自分に与えられたいつも通りの役割を、ひとりひとり果たすことが、この国が復興へ向かう第一歩。そのために、失われた日常を取り戻すために、筆者は野球を観ようと思う。 
 被災された人たちが、1人でも、1日でも早く元の生活を取り戻してくれることを祈って。
 そして、いつか彼らが帰ってくるスタジアムの熱狂をもう一度取り戻すために。


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