≪2019/7/29≫
ロッテ・今岡二軍監督が語る「育成論」
自らに課す“1割ルール”とは?
今岡真訪は44歳になっていた。PL学園高から東洋大を経てドラフト1位で阪神に入団し、2003年、05年の阪神のリーグ優勝に大きく貢献した。その後は故障と不振にあえいだが、苦悩も自らの経験とし、さらに引退後には解説者を3年、阪神の二軍コーチを2年務めて見識を広げた。
そして託された千葉ロッテ二軍監督の要職。指導者として新たな“自分像”を構築しながら迎えた2度目の夏。長引く梅雨の合間の7月、埼玉県にあるロッテの二軍練習場を訪ねた。
「まだまだ子供」の若手選手に対して
――ロッテの二軍監督として2年目のシーズンを迎えました。現役を引退してから解説者や二軍コーチなどを務めましたが、二軍監督というのはこれまでとはまた違う役割になるかと思います。日々、どのようなことを意識してグラウンドに立っているのでしょうか?
よく聞かれますよ。「二軍ってどうなんですか?」って。その時にいつも答えるのですが、僕が一番に意識していることは、特に高校からプロに入ってきた選手というのは、まだ18歳、19歳だということです。見た目がゴツくても、まだまだ発展途上で体は出来上がっていないですし、プロの環境にも慣れていない。そして何より、物の考え方がまだまだ子供だということを忘れてはいけません。
そういう中で、指導する側とすればどうしても「バッティングはこうだぞ」、「ピッチングはこうだぞ」と言いたくなるんですけど、そういうことを言う前に、まずは一人のしっかりとした大人になること。まずはそこからです。技術的な指導はその後のことだと思っています。
――グラウンドの中だけではなく、グラウンド外のこと、普段の生活がまずは大切になると?
そうですね。それこそ、「ちゃんとあいさつをする」、「返事をする」、「時間を守る」、「しっかりとご飯を食べる」というような基本的なことです。そう聞くと、「プロやのに何を言ってるんや」って思うでしょ? でもホンマなんです。まずはそういう部分が大事なんです。大学、社会人を経てプロに入ってきた選手は、そういうことを十分に学んでいるので大丈夫なんですけど、高校を卒業したばかりの選手はまだまだ未熟です。
まずは大人として、社会人として、普段の生活の基本を身に付けないといけない。どれだけ素晴らしい素質を持っている将来有望な選手でも、まだ大人になりきれていない部分を無視しては指導できないということですね。
すぐに終わった井口監督との「答え合わせ」
――チームを率いる井口資仁監督とは同い年で、大学時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲です。ロッテの二軍監督に就任するにあたっても、井口監督の存在が大きかったと聞きますが?
はい。今の僕の二軍監督という立場は、井口監督がいてこそあるもの。同い年と言っても、プロ野球選手としての実績、経験も井口監督の方がはるかに上です。
だけど、目指すものは同じ。他の人がどうこうという訳じゃなく、井口監督は僕の性格も、僕が何を望んでいるかも分かってくれているし、僕も井口監督の考えが分かる。その部分の意思確認というのは、就任する前のキャンプの時に全部答え合わせをして、すぐに終わった。だから、すごくやりやすい。
――その「答え合わせ」の部分で初めに一致した部分はどのようなことだったのですか?
簡単に話すと、「教育する」ということですね。ドラフト1位、ドラフト2位で指名された選手というのは、周りから「いいねぇ」、「すごいねぇ」と言われながらプロに入ってくる。でもわれわれは、そういうことを絶対に言わないという部分です。
他にもいろいろとありますが、やはりそういう部分が大切だという話になりました。いくら甲子園のスターであっても、いくら体が大きくても、年齢的にはまだ子供だし、右も左も知らない人間を扱っているというところからスタートしようということですね。
17年に現役引退し、18年シーズンから千葉ロッテの指揮官に就任した井口監督とは、同じ1974年生まれ。大学では同じ東都リーグに所属するライバル校(井口が青山学院大、今岡が東洋大)としてしのぎを削った一方、96年のアトランタ五輪ではチームメートとしてともに戦い、プロでもロッテ時代の3年間、ともにプレーした。そして今、旧知の仲である井口監督の片腕、時には両輪となって、チーム改革を推し進めている真っ最中だ。
「マリーンズの新時代を作る」――。そのためには若手の台頭が必須であり、その育成現場に向かう今岡二軍監督が毎朝、鏡を前に心に決めているのが「己を律する」ということである。
自分を律し、「常にケツを叩いているような存在」に
――二軍にいる若手を育て上げることは、今後のチーム改革のためには欠かすことができないミッションです。普段、選手たちに指導する上で注意していること、大事にしていることはどのような部分ですか?
まずは自分のことですね。選手たちに「ちゃんと返事せい!」と言う限りは、僕自身も自分を律して、手本を見せられるようにならないといけない。そうじゃないと選手たちも納得しない。現役の時とは違います。指導者として、人に対してモノを言う、人を指導しようとすれば、その前に己がちゃんとしないといけない。だからこういう立場になって、もう一回、自分自身も学ぶ姿勢を持つようになった。選手たちにモノを言いながら、同時に自分自身にも言い聞かせている感じがあります。
――「現役の時とは違う」というのは指導者として大事な考え方になる?
はい。考え方が、現役時代とは全く違う。現役は己の探求ですけど、指導者というのは他人の探求、組織の探求になる。アプローチの仕方が全く違うんです。だから現役の時の考えのままで選手を指導すると全く通用しないと思います。現役の時とは全く違う世界なんだと、肝に銘じておかないといけない。
――ご自身も二軍監督という立場となって変化がありましたか?
変わったと思いますよ。現役時代、僕はどっちかと言うとクソ生意気な部類だったんでね(笑)。だからクソ生意気な選手の気持ちが分かるし、陰でウダウダ言っている選手の気持ちがすっごくよく分かる。二軍には若い選手だけじゃなくて、結果が出なくて二軍にいる中堅やベテランの選手もいる。そういう選手たちにも僕の経験を踏まえて、何か心に響くことを言えるようにしたい。たとえ言えなくても、選手の気持ちを動かせるようになるのが理想。実際にはたたかなくても、そこに存在するだけで常にケツをたたいているような存在になりたい。
指導する上での「1割」ルール
――「存在感」というのは監督にとって大事な資質だと思います。でも選手にモノを言える立場、教える立場になると、どうしても何か言いたくなると思いますが?
そうですね。指導者になると、どうしても教えたくなる。僕もそうです。いろいろと教えたくなるんです。「俺はこうだったから」と言いたくなる。でもそうやって選手に教えるのは、全体の1割に抑える。「1割」しか言わないというのが僕の考え方で、自分の中でのルールにしています。あまり言い過ぎず、ただ見てあげるということも大事だと思います。
あとは選手が変化するタイミングを逃さないこと。二軍にいる選手ということは、何かしら悔しい思いだったり、変えなくちゃいけない部分、課題を持ったりしている。その中で選手自身が、行動でも言動でも、自分から何かを変えよう、変わろうとした時に「1割」を使ってアドバイスできるようにしたい。
――「黙って、見る」ということは実際には難しいことだと思います。感情を表に出したくなる時はないですか?
感情を出すのはゲーム中だけですね。試合は勝つためにしているので、そこでいいプレーをしたら「ナイスプレー!」、いいボールだったら「ナイスボール!」って言える。「勝つ」という目的のために戦っているので、それに反するプレーをすれば「何やってるんだ!」と言う。練習中はずっと我慢している部分がありますけど、ゲーム中は感情を出せるので、まぁ、楽しいですね(笑)。
でも、普段は感情を表には出さないようにしています。組織の中の二軍監督なので、感情のまま行動すると、周りへの影響が大きいですからね。選手に言うのは「1割」だけ。その「1割」で、何を言えるかです。
※ ※ ※ ※ ※
監督は、たとえ二軍であろうとも、コーチとはまた異なる存在であり、もちろん選手時代と比べると、野球に対する取り組み方、考え方を大きく変えなければならない。目の前のことだけでなく、前後左右さらには上下、すべての方角から物事を見定める能力だ。同時に、周りからの「見られ方」を、今岡二軍監督は強く意識する。その思考にたどり着いた原点、そして若手選手たちに伝えたいこととは――。
後編は30日掲載予定
(取材・構成:三和直樹/ベースボール・タイムズ)
(スポーツナビ)
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≪2019/7/29≫
「三木に後悔させないように」―代打でサヨナラ打のロッテ清田が胸に秘めた思い
代打で連夜の大仕事「『清田さんが代打だったらしょうがない』と思ってもらえるような結果を」
ロッテ・清田育宏外野手が28日、9回無死満塁から右翼へサヨナラ安打を放ち、連夜の劇的勝利の立役者となった。
3-3の同点で迎えた9回無死満塁。絶好のサヨナラチャンスに井口監督は「一番の集中力をもっている」と信頼する清田を代打に送る。スタジアムを埋める2万9295人のファンの大歓声の中、清田自身は「さほど緊張することもなく」打席に入った。
マウンドには楽天3番手・青山。カウント1ボール1ストライクから、内角低めに投じられた139キロの直球だった。「青山さんはスライダーがすごくいいピッチャーなので、スライダーも頭にあったんですが、どこかで絶対真っ直ぐが来ると思って、腹をくくって真っ直ぐをいきました」。狙い澄ました直球に反応した清田。持ち前の右方向への打球で見事サヨナラ安打を放ち、連夜のヒーローとなった。
前日27日の試合では1点を追いかける8回1死二塁で代打として登場し同点打。その後、新助っ人マーティンの決勝2ランが飛び出した。そして、この日は同点の9回無死満塁と再び好機での代打起用で結果を残した清田だが、いずれも遊撃でスタメン出場している三木に代わっての打席であった。
「昨日も三木の代打で、今日も三木の代打。本当に申し訳ない」と、お立ち台で後輩への気遣いを見せていた清田は「僕が行って三木に後悔させないようにと。『清田さんが代打だったらしょうがない』と思ってもらえるような結果を残したい」という思いも胸に秘めながら、最高の仕事を果たして見せた。
前日、ともにお立ち台に上がったマーティンの加入により、3試合スタメン出場がないが「正直、悔しい気持ちもあります。でも、こういうところで与えられるポジションがあるので必死に頑張りたい。こういう最高の場面で使ってもらえていますし、2日連続でヒーローになれるなんて最高なので、しっかりやりたいです」と明るい表情で語った清田。今後も与えられた役割の中で、前向きにチームのために貢献していく。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
(フルカウント)
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≪2019/7/29≫
勝負強さが光るロッテ・清田の入念な準備
右方向への意識
「バッティング練習では、右方向に強い打球を意識しています。試合ではなかなかそういうのが出ないですけど、いつか1本出るためにやっている。(右方向の)意識はすごくしています」。
28日の試合前練習後にこのように話したロッテの清田育宏は、約6時間後に右方向に強い打球を放ち、チームを勝利に導いた。
4月下旬からスタメン出場を続けてきた清田だが、新外国人のマーティンが加入し、ここ3試合はベンチスタート。28日の楽天戦では、3-3の9回無死満塁で、9番・三木亮の代打で登場し、1ボール1ストライクから青山浩二が投じた139キロのストレートをライトへ弾き返すサヨナラ打を放った。
これで清田は代打での成績が、このサヨナラ打を含めて打率.500(12-6)、4打点。6月18日の広島戦で決勝打、7月27日の楽天戦で同点打、そして28日の楽天戦でサヨナラ打と代打で無類の勝負強さを発揮する。
勝負強さの要因について清田は「使っていただいているのが、そういう場面なので、僕はそういったところで結果を出すだけだと思っています。いい結果につながってよかったなと思います」と謙虚に答えた。
入念な準備
スタメンを外れたここ3試合は、早い時間からZOZOマリンスタジアムのグラウンドに現れランニングやストレッチなどで汗を流している。
「スタメンじゃないときは、少し早くグラウンドに出て汗をかいて、準備じゃないですけど、僕も体を動かさないと体が動かないので、怪我しないようにと思いながらやっています」。
特に27日の楽天戦では、一番にグラウンドに現れ、外野のポール間を約20分近くランニング。翌28日も全体練習の1時間以上前からグラウンドで、ランニング、ストレッチなどで体を動かしていた。
試合前練習の打撃練習でも工夫を凝らす。「試合に出ていないので、速い球に目を慣らすために、速い球を投げてもらっています」と、川崎雄介打撃投手に最後の数球は、速いボールを投げてもらいより実戦に近い形で、試合に向けた準備を行なっている。入念な準備があってこそ、“代打”での好結果に繋がっているといえるだろう。
チームは現在首位・ソフトバンクと7.5差、3位・西武と2.5差の5位。今後に向けて清田は「まだチームは優勝を狙えるところにいると思う。しっかりした野球をしたいと思いますし、相手チームも強いので気持ちで元気を出してやれたらと思います」と意気込む。リーグ優勝、クライマックスシリーズを進出するためにも、清田のバットでの活躍は必要不可欠だ。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2019/7/29≫
野外で食せば美味しさ3割増し「肉祭」で12品実食
<潜入>
楽天担当亀山記者、遊軍島根記者、ロッテ担当久永記者が、ZOZOマリン外周で26日から行われた「肉祭」に潜入した。
20店舗も出店し大にぎわいの中、ゲーム取材と変わらぬ気合で全店舗制覇に挑戦した。満腹で12店舗どまり…だったが、肉々しい写真で紹介する。
◇ ◇ ◇
夏だ! 肉だ! マリンだ! 香ばしい煙に包まれた球場の外周はテンション高めのファンでにぎわっていた。試合開始までは1時間30分ほど。どこまで食べられるか勝負だ。アイスを食べている人も多い。ロッテアイス「爽」が無料配布されている日。肉とアイス…それだけで球場に行く価値がある。
梶原広報室室長は言う。「今は他球団だけがライバルじゃない。付加価値をつけて、いかに他のイベント会場よりも来てもらえるか。ディズニーだってそう。ただアトラクションを楽しむだけじゃなく、パレードも楽しいし、ポップコーンとかも食べたくなる。趣味も多様化している中で『肉祭』もあって、花火も見られて、野球も見られる。『じゃあマリンに行こう』となってほしい」。今季は「肉祭」の他にも「からあげ祭」を行った。
音楽フェスに行く一番の目的が音楽を聞くことではない人もいると聞く。野外で大勢の人と食事&お酒を楽しむのがいいと。野球場だってそんな楽しみ方があっていい。マリン特有の浜風に吹かれると、3割増しでおいしく感じる。8月6日からは「にんにく祭」が開催されるようだ。夏休みの思い出にいかが。【久永壮真】
(日刊)
ロッテ・今岡二軍監督が語る「育成論」
自らに課す“1割ルール”とは?
今岡真訪は44歳になっていた。PL学園高から東洋大を経てドラフト1位で阪神に入団し、2003年、05年の阪神のリーグ優勝に大きく貢献した。その後は故障と不振にあえいだが、苦悩も自らの経験とし、さらに引退後には解説者を3年、阪神の二軍コーチを2年務めて見識を広げた。
そして託された千葉ロッテ二軍監督の要職。指導者として新たな“自分像”を構築しながら迎えた2度目の夏。長引く梅雨の合間の7月、埼玉県にあるロッテの二軍練習場を訪ねた。
「まだまだ子供」の若手選手に対して
――ロッテの二軍監督として2年目のシーズンを迎えました。現役を引退してから解説者や二軍コーチなどを務めましたが、二軍監督というのはこれまでとはまた違う役割になるかと思います。日々、どのようなことを意識してグラウンドに立っているのでしょうか?
よく聞かれますよ。「二軍ってどうなんですか?」って。その時にいつも答えるのですが、僕が一番に意識していることは、特に高校からプロに入ってきた選手というのは、まだ18歳、19歳だということです。見た目がゴツくても、まだまだ発展途上で体は出来上がっていないですし、プロの環境にも慣れていない。そして何より、物の考え方がまだまだ子供だということを忘れてはいけません。
そういう中で、指導する側とすればどうしても「バッティングはこうだぞ」、「ピッチングはこうだぞ」と言いたくなるんですけど、そういうことを言う前に、まずは一人のしっかりとした大人になること。まずはそこからです。技術的な指導はその後のことだと思っています。
――グラウンドの中だけではなく、グラウンド外のこと、普段の生活がまずは大切になると?
そうですね。それこそ、「ちゃんとあいさつをする」、「返事をする」、「時間を守る」、「しっかりとご飯を食べる」というような基本的なことです。そう聞くと、「プロやのに何を言ってるんや」って思うでしょ? でもホンマなんです。まずはそういう部分が大事なんです。大学、社会人を経てプロに入ってきた選手は、そういうことを十分に学んでいるので大丈夫なんですけど、高校を卒業したばかりの選手はまだまだ未熟です。
まずは大人として、社会人として、普段の生活の基本を身に付けないといけない。どれだけ素晴らしい素質を持っている将来有望な選手でも、まだ大人になりきれていない部分を無視しては指導できないということですね。
すぐに終わった井口監督との「答え合わせ」
――チームを率いる井口資仁監督とは同い年で、大学時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲です。ロッテの二軍監督に就任するにあたっても、井口監督の存在が大きかったと聞きますが?
はい。今の僕の二軍監督という立場は、井口監督がいてこそあるもの。同い年と言っても、プロ野球選手としての実績、経験も井口監督の方がはるかに上です。
だけど、目指すものは同じ。他の人がどうこうという訳じゃなく、井口監督は僕の性格も、僕が何を望んでいるかも分かってくれているし、僕も井口監督の考えが分かる。その部分の意思確認というのは、就任する前のキャンプの時に全部答え合わせをして、すぐに終わった。だから、すごくやりやすい。
――その「答え合わせ」の部分で初めに一致した部分はどのようなことだったのですか?
簡単に話すと、「教育する」ということですね。ドラフト1位、ドラフト2位で指名された選手というのは、周りから「いいねぇ」、「すごいねぇ」と言われながらプロに入ってくる。でもわれわれは、そういうことを絶対に言わないという部分です。
他にもいろいろとありますが、やはりそういう部分が大切だという話になりました。いくら甲子園のスターであっても、いくら体が大きくても、年齢的にはまだ子供だし、右も左も知らない人間を扱っているというところからスタートしようということですね。
17年に現役引退し、18年シーズンから千葉ロッテの指揮官に就任した井口監督とは、同じ1974年生まれ。大学では同じ東都リーグに所属するライバル校(井口が青山学院大、今岡が東洋大)としてしのぎを削った一方、96年のアトランタ五輪ではチームメートとしてともに戦い、プロでもロッテ時代の3年間、ともにプレーした。そして今、旧知の仲である井口監督の片腕、時には両輪となって、チーム改革を推し進めている真っ最中だ。
「マリーンズの新時代を作る」――。そのためには若手の台頭が必須であり、その育成現場に向かう今岡二軍監督が毎朝、鏡を前に心に決めているのが「己を律する」ということである。
自分を律し、「常にケツを叩いているような存在」に
――二軍にいる若手を育て上げることは、今後のチーム改革のためには欠かすことができないミッションです。普段、選手たちに指導する上で注意していること、大事にしていることはどのような部分ですか?
まずは自分のことですね。選手たちに「ちゃんと返事せい!」と言う限りは、僕自身も自分を律して、手本を見せられるようにならないといけない。そうじゃないと選手たちも納得しない。現役の時とは違います。指導者として、人に対してモノを言う、人を指導しようとすれば、その前に己がちゃんとしないといけない。だからこういう立場になって、もう一回、自分自身も学ぶ姿勢を持つようになった。選手たちにモノを言いながら、同時に自分自身にも言い聞かせている感じがあります。
――「現役の時とは違う」というのは指導者として大事な考え方になる?
はい。考え方が、現役時代とは全く違う。現役は己の探求ですけど、指導者というのは他人の探求、組織の探求になる。アプローチの仕方が全く違うんです。だから現役の時の考えのままで選手を指導すると全く通用しないと思います。現役の時とは全く違う世界なんだと、肝に銘じておかないといけない。
――ご自身も二軍監督という立場となって変化がありましたか?
変わったと思いますよ。現役時代、僕はどっちかと言うとクソ生意気な部類だったんでね(笑)。だからクソ生意気な選手の気持ちが分かるし、陰でウダウダ言っている選手の気持ちがすっごくよく分かる。二軍には若い選手だけじゃなくて、結果が出なくて二軍にいる中堅やベテランの選手もいる。そういう選手たちにも僕の経験を踏まえて、何か心に響くことを言えるようにしたい。たとえ言えなくても、選手の気持ちを動かせるようになるのが理想。実際にはたたかなくても、そこに存在するだけで常にケツをたたいているような存在になりたい。
指導する上での「1割」ルール
――「存在感」というのは監督にとって大事な資質だと思います。でも選手にモノを言える立場、教える立場になると、どうしても何か言いたくなると思いますが?
そうですね。指導者になると、どうしても教えたくなる。僕もそうです。いろいろと教えたくなるんです。「俺はこうだったから」と言いたくなる。でもそうやって選手に教えるのは、全体の1割に抑える。「1割」しか言わないというのが僕の考え方で、自分の中でのルールにしています。あまり言い過ぎず、ただ見てあげるということも大事だと思います。
あとは選手が変化するタイミングを逃さないこと。二軍にいる選手ということは、何かしら悔しい思いだったり、変えなくちゃいけない部分、課題を持ったりしている。その中で選手自身が、行動でも言動でも、自分から何かを変えよう、変わろうとした時に「1割」を使ってアドバイスできるようにしたい。
――「黙って、見る」ということは実際には難しいことだと思います。感情を表に出したくなる時はないですか?
感情を出すのはゲーム中だけですね。試合は勝つためにしているので、そこでいいプレーをしたら「ナイスプレー!」、いいボールだったら「ナイスボール!」って言える。「勝つ」という目的のために戦っているので、それに反するプレーをすれば「何やってるんだ!」と言う。練習中はずっと我慢している部分がありますけど、ゲーム中は感情を出せるので、まぁ、楽しいですね(笑)。
でも、普段は感情を表には出さないようにしています。組織の中の二軍監督なので、感情のまま行動すると、周りへの影響が大きいですからね。選手に言うのは「1割」だけ。その「1割」で、何を言えるかです。
※ ※ ※ ※ ※
監督は、たとえ二軍であろうとも、コーチとはまた異なる存在であり、もちろん選手時代と比べると、野球に対する取り組み方、考え方を大きく変えなければならない。目の前のことだけでなく、前後左右さらには上下、すべての方角から物事を見定める能力だ。同時に、周りからの「見られ方」を、今岡二軍監督は強く意識する。その思考にたどり着いた原点、そして若手選手たちに伝えたいこととは――。
後編は30日掲載予定
(取材・構成:三和直樹/ベースボール・タイムズ)
(スポーツナビ)
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「三木に後悔させないように」―代打でサヨナラ打のロッテ清田が胸に秘めた思い
代打で連夜の大仕事「『清田さんが代打だったらしょうがない』と思ってもらえるような結果を」
ロッテ・清田育宏外野手が28日、9回無死満塁から右翼へサヨナラ安打を放ち、連夜の劇的勝利の立役者となった。
3-3の同点で迎えた9回無死満塁。絶好のサヨナラチャンスに井口監督は「一番の集中力をもっている」と信頼する清田を代打に送る。スタジアムを埋める2万9295人のファンの大歓声の中、清田自身は「さほど緊張することもなく」打席に入った。
マウンドには楽天3番手・青山。カウント1ボール1ストライクから、内角低めに投じられた139キロの直球だった。「青山さんはスライダーがすごくいいピッチャーなので、スライダーも頭にあったんですが、どこかで絶対真っ直ぐが来ると思って、腹をくくって真っ直ぐをいきました」。狙い澄ました直球に反応した清田。持ち前の右方向への打球で見事サヨナラ安打を放ち、連夜のヒーローとなった。
前日27日の試合では1点を追いかける8回1死二塁で代打として登場し同点打。その後、新助っ人マーティンの決勝2ランが飛び出した。そして、この日は同点の9回無死満塁と再び好機での代打起用で結果を残した清田だが、いずれも遊撃でスタメン出場している三木に代わっての打席であった。
「昨日も三木の代打で、今日も三木の代打。本当に申し訳ない」と、お立ち台で後輩への気遣いを見せていた清田は「僕が行って三木に後悔させないようにと。『清田さんが代打だったらしょうがない』と思ってもらえるような結果を残したい」という思いも胸に秘めながら、最高の仕事を果たして見せた。
前日、ともにお立ち台に上がったマーティンの加入により、3試合スタメン出場がないが「正直、悔しい気持ちもあります。でも、こういうところで与えられるポジションがあるので必死に頑張りたい。こういう最高の場面で使ってもらえていますし、2日連続でヒーローになれるなんて最高なので、しっかりやりたいです」と明るい表情で語った清田。今後も与えられた役割の中で、前向きにチームのために貢献していく。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
(フルカウント)
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≪2019/7/29≫
勝負強さが光るロッテ・清田の入念な準備
右方向への意識
「バッティング練習では、右方向に強い打球を意識しています。試合ではなかなかそういうのが出ないですけど、いつか1本出るためにやっている。(右方向の)意識はすごくしています」。
28日の試合前練習後にこのように話したロッテの清田育宏は、約6時間後に右方向に強い打球を放ち、チームを勝利に導いた。
4月下旬からスタメン出場を続けてきた清田だが、新外国人のマーティンが加入し、ここ3試合はベンチスタート。28日の楽天戦では、3-3の9回無死満塁で、9番・三木亮の代打で登場し、1ボール1ストライクから青山浩二が投じた139キロのストレートをライトへ弾き返すサヨナラ打を放った。
これで清田は代打での成績が、このサヨナラ打を含めて打率.500(12-6)、4打点。6月18日の広島戦で決勝打、7月27日の楽天戦で同点打、そして28日の楽天戦でサヨナラ打と代打で無類の勝負強さを発揮する。
勝負強さの要因について清田は「使っていただいているのが、そういう場面なので、僕はそういったところで結果を出すだけだと思っています。いい結果につながってよかったなと思います」と謙虚に答えた。
入念な準備
スタメンを外れたここ3試合は、早い時間からZOZOマリンスタジアムのグラウンドに現れランニングやストレッチなどで汗を流している。
「スタメンじゃないときは、少し早くグラウンドに出て汗をかいて、準備じゃないですけど、僕も体を動かさないと体が動かないので、怪我しないようにと思いながらやっています」。
特に27日の楽天戦では、一番にグラウンドに現れ、外野のポール間を約20分近くランニング。翌28日も全体練習の1時間以上前からグラウンドで、ランニング、ストレッチなどで体を動かしていた。
試合前練習の打撃練習でも工夫を凝らす。「試合に出ていないので、速い球に目を慣らすために、速い球を投げてもらっています」と、川崎雄介打撃投手に最後の数球は、速いボールを投げてもらいより実戦に近い形で、試合に向けた準備を行なっている。入念な準備があってこそ、“代打”での好結果に繋がっているといえるだろう。
チームは現在首位・ソフトバンクと7.5差、3位・西武と2.5差の5位。今後に向けて清田は「まだチームは優勝を狙えるところにいると思う。しっかりした野球をしたいと思いますし、相手チームも強いので気持ちで元気を出してやれたらと思います」と意気込む。リーグ優勝、クライマックスシリーズを進出するためにも、清田のバットでの活躍は必要不可欠だ。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2019/7/29≫
野外で食せば美味しさ3割増し「肉祭」で12品実食
<潜入>
楽天担当亀山記者、遊軍島根記者、ロッテ担当久永記者が、ZOZOマリン外周で26日から行われた「肉祭」に潜入した。
20店舗も出店し大にぎわいの中、ゲーム取材と変わらぬ気合で全店舗制覇に挑戦した。満腹で12店舗どまり…だったが、肉々しい写真で紹介する。
◇ ◇ ◇
夏だ! 肉だ! マリンだ! 香ばしい煙に包まれた球場の外周はテンション高めのファンでにぎわっていた。試合開始までは1時間30分ほど。どこまで食べられるか勝負だ。アイスを食べている人も多い。ロッテアイス「爽」が無料配布されている日。肉とアイス…それだけで球場に行く価値がある。
梶原広報室室長は言う。「今は他球団だけがライバルじゃない。付加価値をつけて、いかに他のイベント会場よりも来てもらえるか。ディズニーだってそう。ただアトラクションを楽しむだけじゃなく、パレードも楽しいし、ポップコーンとかも食べたくなる。趣味も多様化している中で『肉祭』もあって、花火も見られて、野球も見られる。『じゃあマリンに行こう』となってほしい」。今季は「肉祭」の他にも「からあげ祭」を行った。
音楽フェスに行く一番の目的が音楽を聞くことではない人もいると聞く。野外で大勢の人と食事&お酒を楽しむのがいいと。野球場だってそんな楽しみ方があっていい。マリン特有の浜風に吹かれると、3割増しでおいしく感じる。8月6日からは「にんにく祭」が開催されるようだ。夏休みの思い出にいかが。【久永壮真】
(日刊)
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