仲良し春

目に止まった福寿草
まーー仲良し
明日は小さな旅
福寿草のように
春を楽しみたいですが？

公園の沼に春鏡

沼の縁を歩くと
福寿草が小さく咲いて
笑いかけていた
沼に映る木々も
春風に揺れて
喜びに体震わせていた

春の鼓動が

春陽が眩く
心浮かれて
武佐山の麓
開陽台へ
眼に入りきれない
根室台地と雪を
乗せた山々は
もう既に
春の神を迎え
忙しく脈打っていた
芽吹き・樹液は流れ出す
「おーーい」と叫んでみた
声は一瞬に吸い取られて消えた

おぼろ日和

薄雪の庭に
力弱く
ぼーんやりと
カーテンを
明けると
おぼろ月夜を
思わせる日光
月光菩薩のように
・・思わず合掌

さくらの便り

サクラが咲いたよ
京都の友がいう
こちらは小雪
そちらはサクラ
我家の玄関の
サクラで
ほっと一息

今、薄れる姿

僅かな船
煙の出ない工場
人が少ない道路
漁師が消えた港
女工さんの居ない工場
閉じられた戸の事務所
余計な防波堤が
港の思い出をふさぐ
ただ寒そうな海の小さな
うねりが春の日差しを
跳ね返す
一羽の鴎がスーーっと
空を横切った

故郷の丘

丘の上に立つと
ポンポンポンポンと、
氷をわってカレイあみを
サシにいく焼玉の船が
見える

丘の上に立つと
弁当をもって
ジーーッと、漁船・船員の
動きを見ていた自分がいる

丘の上に立つと
アメリカの戦闘機が
低空で飛び交い
港の船を沈める恐怖
そこにすくんで
震える家族が浮かぶ

丘の上に立つと
汽笛と軍艦マーチと
漁旗を飾った出航を
手を振って見送る
父の姿が浮かんでくる

丘の上で見る夕日は
全て物語ってくれる
影を作ってくれる

夫婦ポプラ

街の銘木夫婦ポプラが
春の光を一杯受けて
芽吹いてきた
芽吹いた枝を
細かく震わせて
互いに新しい愛を
確かめている
今年もまた一段と
楽しく生きよう

からす舞う根室港

墓参のあと神社の高台へ
風は厳しく顔を打っても
日暮れの暖かさを感じた
カラスがねぐら争いで
騒ぎはじめた
その声が懐かしく
幼き時が蘇る。

お見事

兄がテレ顔で散布めじかを
ぶら下げて来た
見事な一本釣りめじか
こりゃテーしたもんだ
早速、切り身で
絶妙な鮭の味で
兄の笑顔が・・揺らいで
消えたハートに溜まった