フェミニストの中には昔話にまでケチをつける者がいるようだ。先日、拙ブログにその手合いを紹介するコメントを頂いたので紹介したい。
Unknown (アミ)
2021-04-07 23:50:11
私は、その内桃太郎の「お婆さんは川へ洗濯に」も噛みつく人達が出てくるかもしれないと思っていましたが、すでに噛みついている人達がいたのですね。
http://www.tanteifile.com/tamashii/scoop_2006/12/07_02/index.html
でも、こんなことを言ってたら、女性が家事をしている描写のある映画、小説、漫画はすべてアウトでしょうし、サザエさんも放映できなくなりますし、シェイクスピアのベニスの商人はユダヤ人差別、じゃじゃ馬ならしは女性差別として上演もできなくまりす。(以下略)
桃太郎を批判する者がいたことは知っていた。但し、それは桃太郎が鬼ヶ島を征伐、略奪した戦利品を持ち帰ることだった。鬼ヶ島で平和に暮らしていた鬼を一方的に征服、財産を奪うのは軍国主義の物語という主張で、確かひろさちや氏もそんな主張をしていた。
昭和11(1936)年生まれのひろさちや氏が軍国主義風の昔話にアレルギーを示すのは無理もないが、20世紀前半までは全世界で軍国主義が当たり前だった。新大陸は全て鬼ヶ島と同じ憂き目に遭っており、原住民は掃討または虐殺されている。鬼ヶ島の鬼を駆除、和人が植民地にしなかったというオチから、昔から日本人は温かったのか?
しかしアミさんに紹介されるまで、私は「お婆さんは川へ洗濯」に噛みつく人達が出てくることは想像もつかなかった。但しリンク先の記事は2006/12/07付、15年近く前のものだが、この種の運動はさらに前から行われていたようで、以下は記事からの引用。
―中日新聞の報道によると、11月30日に北名古屋市で、名古屋弁の創作劇「モモタロー・ノー・リターン」のビデオ収録が行われたそうです。
「北名古屋市女性の会男女共同参画委員会」関係者による上演で、男女共同参画を題材としたフェミニズム版「桃太郎」を名古屋弁に書き換えたものとのこと。この作中では、桃太郎ではなくて「桃子」という女性キャラクターが主人公になります。
このフェミニズム版「桃太郎」は、実はかなり前から存在していました。例えば、2003年に福岡市で行われたイベント「まつりアミカス2003~人とひと~」で、「福岡市女性翼の会」による「おばあさんは山へ柴刈りに」と題された劇が上演されています。この劇の内容を見てみると、上記の「モモタロー・ノー・リターン」と同じ内容のようです。……
以下はアミさんへのレス全文。
アミさんへ (mugi)
2021-04-08 22:06:11
かつて桃太郎には鬼ヶ島への武力制圧を非難する傾向がありました。軍国主義とか何とかでしたが、今は何と「お婆さんは川へ洗濯」に噛みつく輩が出てきたとは、全く基地外沙汰としか思えません。
「お婆さんは山へ柴刈りに」?バカも休み休み言え!と言いたい。もしかすると柴刈りより川で洗濯の方が楽と思ったお爺さんがそれを受け入れ、刈った柴の量が少ないと、お婆さんをぶっ叩く……といったパロディもありえるでしょう。力仕事は一切女に任せ、男は楽するようになるのは、むしろ女性にとってディストピアでしょう。
フェミニズム版「桃太郎」を提唱した山下康子なる者ですが、何故か「ネパール女性教育の会会長」も努めて居るのが気になります。ネパールはマオイストに国を乗っ取られつつあるし、背後にいるのがどの国か容易に想像がつきますよ。
山下の様なフェミニストは、とかく伝統文化への破壊が第一だと見ています。新しい価値観=良い価値観・正しい価値観という単純かつ硬直した思考もありますが、サッチャー元首相が言ったようにフェミニズムはやはり“毒”でした。
その二に続く
芥川龍之介が「桃太郎」の創作をしていたとは知りませんでした。桃太郎が鬼が島に行った真の動機、島や征伐の実態、その後のストーリーはさすが文豪。「お前たちも悪戯をすると、人間の島へやってしまうよ」という鬼の母のセリフは笑えます。
尤も身も蓋もない内容で、とても子供向きではありませんね。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/100_15253.html
そういえば「山椒大夫」の厨子王も柴刈りをさせられていましたね。「山椒大夫」は児童奴隷の物語なので、「桃子」が登場する改変ストーリーは成立しません。そのため無難な桃太郎を標的としたのかも。
そして不思議なことに、桃子の話では山の柴刈り時に獣、特にクマに遭遇する可能性に全く触れていない。未だに東北の山林ではクマが出没、「クマ目撃情報」が連日のように新聞に載っています。脚本家の想像力がないのか、都合の悪い設定は完全無視したのやら。
>>あと、桃子の話だと、鬼ヶ島に対して周辺の住民たちから賠償金の話が出てこないのか、とふと疑問が。
この疑問は全く浮かびませんでした。確かに周囲を略奪していた鬼が無力になれば、報復されないはずがないでしょう。
今だと児童労働で完全な虐待問題ですが、山椒大夫のストーリーは暴力的ですから、流石に「桃子」のようなキャラクターが男女共同参画社会に変化させる、と言う話にはできませんね。大体森鴎外の山椒大夫の原作になった「さんせう太夫」は拷問や鋸挽きが出てくるので、子供向けではありません。
あと、桃子の話だと、鬼ヶ島に対して周辺の住民たちから賠償金の話が出てこないのか、とふと疑問が。横暴な相手が無力となった場合、周辺が報復する可能性は極めて大ですが。
スポンジ頭さんはあの脚本をよく読めましたね。私でも端からゲンナリさせられる出だしだったし、これほど現代フェミ視点で語られた、ご都合主義ストーリーも珍しい。「「柴刈り」と「芝刈り」の違い・柴刈りの道具・時期|桃太郎」という記事では、昔の柴刈りの実態が紹介されています。
https://tap-biz.jp/lifestyle/word-meaning/1050550
脚本では鬼ヶ島は略奪を行っているという設定ですから、戦闘には参加せずとも略奪を支えていたのは女鬼たちと言えます。それで富を得ているのだから、喜んで男鬼のトラのパンツを洗っていたはず
ヴァイキングの他にアラブや北方遊牧民は周辺への略奪が当たり前だったし、略奪が少なければ女たちから相手にされない。そんな史実を突きつけたところで、ファンタジーにどっぷり漬かっているお花畑には理解できないと思います。
男鬼が「桃子」にアクションを起こさないのが最もヘン。若い娘が来たのだから、それこそカモネギでレ○プ対象でしょう。だって鬼なのだから。
鬼ヶ島の話でも結局は武力による圧力で変化しているのですが、この手の思想の方は通常交渉事に武力を使うことを良しとしないのではないでしょうか。更に、鬼ヶ島でどのようにして生活が支えられているか故意に触れられていません。しかし、略奪で支えられているのですから、その辺りの事を考えないと、略奪騒ぎに女性も参加する事になります。それもこの脚本を書いた作者の本意なのでしょうか?また、女性参加で敗北した場合は、逆に男女平等とは程遠い世界が現れます。
北欧神話でヴァイキング行の手柄話をしたところ、その場に身内を殺された人間がいて相手を毒殺する話があります。殺人を手柄話とする相手に「桃子」の主張が受け入れられるとも思えず、油断させてバッサリ、辺りは平然として行うでしょう。鬼とはそのレベルの手合と思うのですが。
結局男性側が能力的に相当劣っていないと成立しない、と言う時点で、かなり無理がある内容ですね。