トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

鬼太郎大全集

2005-09-02 22:10:14 | 漫画
 某家電量販店で1,980円の価格に釣られて、ソースネクストのPCソフトを買った。PCで漫画を読めるというのもなかなか面白い。子供の頃、ゲゲゲの鬼太郎のアニメと原作のコミックを見ていたので懐かしかった。
  漫画自体もいいが、書かれている時代背景が'60年代の後半、昭和40年代前半で佐藤栄作が首相だった頃だ。街の風景や風俗が分かるし、チョコレート1枚が20円で買えた時代でもあった。

 原作どおりの「墓場の鬼太郎」ではアニメ化するに当たって相応しくない題なので、冒頭が「ゲゲゲの」に変えられたらしい。墓場から生まれた幽霊族の末裔 という設定なので、漫画の初期はかなり怪奇趣味が強い傾向があったが、回を重ねるに連れて主人公はじめ物語も明るい雰囲気になってきた。
 アニメでは優等生の鬼太郎も、結構原作では腕白だ。悪さをしたり、生意気を言ったりする少年を殴ったりする一方、人間の美少女には鼻の下を伸ばしっぱなし。とても人間的(?)で、かえって原作の方に好感が持てる。
 鬼太郎の相方、ねずみ男もアニメではいささか紳士に修正されてるが、己の欲望丸出しで卑しく手前勝手ながら、肝心のところが抜けてるので結局憎めないキャラ。どこか自分自身の嫌らしさを投影してるからだろうか?

 鬼太郎漫画には当時の有名人が出てくるのも楽しい。三島由紀夫も登場するし、私が買った全集は1~5巻までなので収録されてないが、妖怪狸集団が日本を 乗っ取ろうとする話では佐藤栄作首相も顔を見せている。また、水木しげるの他の漫画「悪魔くん」では蓬莱国の使者で人魂を背負った異様な人物がいるが、そ の顔はどう見てもインド首相ネルーだ。
 ネーミングもまた楽しい。しがないサラリーマンの名は水木、ザ・パンティという喫茶店の支配人名は助部(すけべ)氏。妖怪変化のおどろおどろしい話ばかりでなく、このようなお遊びもちゃんとある。

 最近漫画はすっかりご無沙汰してるが、今の劇画はどうもあまり興味を感じられない。


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4 コメント

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鬼太郎 (Mars)
2005-09-03 17:30:23
こんにちは、mugiさん。



今日、楽天が勝って、100敗を免れたとか。田尾監督の処遇、どうなるんでしょうね?(私的には、もう一年、やっていただきたいと思います。今年の戦力では、誰がやってもダメでしょうね。)



ところで、鬼太郎ですが、私はマンガで20冊位(?)読んだことがあります。確かに、初期は多少グロい描写もありますし、鬼太郎も優等生ではありませんでしたね。ねずみ男も、欲望まる出し。でも、どこか抜けていて、憎めない、といったところでしょうか?



最後に原作をよんだのが、もう、10年以上前うろ覚えの記憶で申し訳ないですが、確か、映画化された、西洋の妖怪と戦うのもあったと思います(その中で、ぬりかべがやられた例えで、大和でも負ける、みたいなのがあったと思います)。



また、アニメの中でもあったと思いますが、鬼太郎が使ってたバットを取り戻す為に、人間と野球の試合をする話もあったと思います。この話では、人間が勝てば、バットをもらえますが、負けると魂を差し出す、という条件だったと思います(最終的には、人間が負けてて、魂を差し出すのに怯えて、最後まで試合をしなかったと思います)。

今にして思えば、原作の方が、確かに、内容がキツイと思います(また、それがいいのかもしれませんが)。



マンガも、その時々の世相や風俗を反映していると思います。(そういえば、キン肉マンのマンガでは、国会議事堂のことを、100円札に描かれている、という描写があったと思います)



※あまり関係ないのですが、最近、私が購読しているマンガは、ジパングとケロロ軍曹ですね。
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原作の鬼太郎 (mugi)
2005-09-04 16:30:46
こんにちは、Marsさん。



昨日楽天が勝ったのは何よりですが、100敗は必ず達成するでしょう。私も田尾監督にはもう一年はやってほしいですね。どんな監督を連れてきても、今の戦力ではまず最下位脱出望み薄です。



ソースネクスト鬼太郎大全集に、西洋の妖怪と戦う「妖怪大戦争」が収められてます。この時の西洋のボスがバックベアードというアメリカの目玉の化け物。それを鬼太郎の小さな目玉親父が倒す話は痛快でした。

また「全集」にも鬼太郎率いる妖怪チームと人間の少年たちが野球をする「お化けナイター」の話が収録されてました。人間側はコテンパンにやられていて、もはやこれまでと観念した際夜が明けて、お化けチームが試合不可能となり命拾いした、という内容でした。

漫画の鬼太郎はいかに悪人といえ生きてるまま地獄送りにしたり、自分を殴った人間を心底震え上がらせる仕返しをしたりで、けっこうシビアです。



ジパングの作者は確かかわぐちかいじでしたよね?かなり前、「メドゥーサ」を一部見て中東関係が詰めが甘いと感じたのですが、ジパングはタイムスリップものと聞いてますので面白そうですね。ケロロ軍曹は初めて知りました。
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追伸 (Mars)
2005-09-05 21:31:00
mugiさん。

コメントのお返事、ありがとうございます。



「ジパング」は、かわぐちかいじ氏の著作です。そうです、イージス護衛艦が太平洋戦争の真っ只中にタイムスリップするというお話です。

しかし、最近は、日本=悪という観念で突き進む主人公の姿に、違和感を感じざろうえないですね。

(現在の価値観で、戦争という悲劇をはかることが多いように思われます。)



※氏の著作は「沈黙の艦隊」はすべて読みましたが、「メドゥーサ」は最初の数冊しか、まだ読んでいません。
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戦争 (mugi)
2005-09-06 21:14:01
Marsさん。



「ジパング」は読んでないので何とも言えませんが、主人公が日本=悪という観念で突き進んでいるとは意外でした。

戦争=絶対悪という観念は現代の先進国の左派知識人だけであり、世界的には完全な少数派に過ぎませんよね。何も第三世界だけでなく「聖戦」思想が圧倒してますから。もっとも、左派知識人は共産圏の起こした戦争には口が重い。

「現代の概念で過去まで律するようでは、歴史を親しむ意味はないのである」と書いたのは塩野七生氏です。
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