わたしたちの住処をつくる記録

いえづくりについて、できごとと考えたことを記録しておきます

土地、ふりだしに戻る

2015-03-02 21:22:45 | 土地まで
 2013年の夏、いよいよ狙っていた土地取得へ本格的に動こうとした矢先、その土地が突如売れてしまいました。絶対に人気のない土地だと思っていたのに、同じようなことを考えていた人がいたようで、「つい先日若いご夫婦に売れてしまった」と不動産会社社長。不動産会社に何度も問い合わせていたのに、いちいちレスポンスが遅く、業を煮やして直に店頭へ行ったときに判明しました。
 それでもあきらめられなかった私は、その土地の隣が広く空地になっていることを発見。古い土蔵だけ立っていましたが、むしろこちらの方が斜面が緩やかでいい土地だと思い、妻と二人で見に行きました。
 
(写真手前が新たに狙いを定めた土地。土蔵がちらりと見える)
 路地に入る入り口だけ少し狭いことを除けば、なかなか気持ちの良いところでした。隣の土地で石積みの草を取っていたご老人に話を聞くと、昔の村長さんの土地だといいます。そういえば山の上の神社に続く山道の入り口だし、これは由緒正しい土地だ、と思ったのですが、「この辺はもう売れるような土地じゃないと思うよ」「もっと平地に土地なんていくらでもあるだろ」とおっしゃっていました。
 不動産会社に村長さんの土地を売ってもらえないか問い合わせると、持ち主がわかるので聞いておくよ、との返答。ところがそれっきり連絡なく、こちらから連絡すると、「実はね…」。

社長 「実は、前の売れた土地がキャンセルになったんだよ」
私  「ええ!? 何でですか? それは買主の都合でですか? 何かあったんですか…?」
社長 「それがね、気が付かなかったんだけど、土砂災害特別警戒区域で…」
私  「…」
社長 「村長さんのところもダメだね。あの辺はちょっと売るわけにはいかないんだよね」

 なんでそんなことに気づかすに仲介していたのか。10年くらい空き家になっていたようなので途中で指定されたのかもしれません。
 調べてみると、土砂災害特別警戒区域に新築を建てる場合は、建物の一部をRC造にしなければならない等の様々な制約が課されます。もしお金をかけてそのような対策を講じたとしても、わざわざそんなところに建物を作ろうとするのは通常ではありえないようで、結局あきらめざるを得なくなりました。

 こうなったことは残念だという気持ちもありましたが、そのうち妻が言うとおり「縁がなかった」と思うようになりました。「縁」で片づけてしまうのは、もはや全く合理的でないかもしれませんが、私たちの土地探しで「縁」はとってはとても大切な事だったと思います。
 というわけで、土地探しは一度ふりだしに戻り、大方向転換が始まるのです。