長く更新が滞っておりました。その間アクセスいただいて読んでいただいた方々や、コメントをいただいた方々、ありがとうございます。自分は返信というのがどうもうまく書けず、(上手に返していらっしゃるブロガーさんとか感心します)あまりお返事できないままですみません。 再開する前に、以前いただいたコメントで、返信しようと書きかけてそのままになっていたことをまず書きたいと思います。
「She's Lost Control」について――(2)」の記事で、“イアンには笑っているイメージがないです”というコメントをいただきました。ジョイ・ディヴィジョンのメンバーは、普段はふつうに冗談を言って笑ったりしていたようですが、バンドのイメージ作りのため、イアンをはじめメンバーの笑っている写真はほとんどなかったようです。2010年に出版されたマンチェスター出身の写真家・ケヴィン・カミンス撮影の写真集『Joy Division』には、おそらくファンの間ではおなじみの写真の、別アングルから撮ったものなどが多数収録されています(残されているイアンの写真の多くはこの人の撮影によるものです)。例えば、写真集のインデックス番号80~94、1979年の1月に撮られた、雪のマンチェスターをメンバーたちが歩く一連の写真(「ザ・ベスト・オブ・ジョイ・ディヴィジョン」のジャケットになっている、雪の橋の上での写真は、そのうちの1枚です【インデックス番号92】)には、メンバーの笑顔をとらえたものがいくつかあり、新鮮に感じられました。スティーブン・モリスの笑顔が多いのが印象に残りますが、そのうち、イアンが少しだけ笑っているように見受けられる写真が1枚【インデックス番号80】あります。写真集全体の中でイアンの笑顔の写真はこれだけです。
イアンの笑顔をとらえた映像も殆どないようですが、1つだけ印象深いものが、ドキュメンタリー映画『ジョイ・ディヴィジョン』にあります。ちょうど1stアルバム「アンノウン・プレジャーズ」についてバーナードが、そのサウンドが暗くて気に入らなかったと述べているあたり(37分前後)に、イアンの微笑んだ顔が、スローモーションで16秒程度映し出されます。この表情はとても自然で、穏やかな好青年といった感じがあり、また、幸せそうにも見えます。映像の出どころ、また、この箇所に使われた理由は分からないのですが、この直後に「She's Lost Control」の作詞のきっかけについてのエピソードをバーナードが語り、続いて1979年7月20日にグラナダテレビ「what's On」という番組で「She's Lost Control」を演奏するシーンに切り替わります。この映像の流れは、「ステージでは別人になった」というエピソードを思い起こさせるとともに、バンドが一気に有名になって、発病があって……というわずかの間にイアンに起こった劇的な変化を象徴するようでもあります。
さて、ヴェルナー・ヘルツォークの「シュトロツェクの不思議な旅」のDVDを購入して視聴し、いくつか気になったことをブログに投稿したいと思いつつ、ずいぶん時間がたってしまいました。DVDに添付されていた解説(ブックレットのようなものではなく文庫判の1枚の紙)には、「……尚、イギリスの伝説的ロックバンド、[ジョイ・ディヴィジョン](後のニュー・オーダー)のボーカリストであるイアン・カーティスが、自殺の直前にTVで本作を見ていたことから、その影響を受けたのでは、と言われている。」とあり、「えっ!」と思いました。「見た」ことは確かですが、影響を受けたのかどうか……そのへんが今回の記事のテーマになります。ところで、この解説の最後には(パンドラ発行「陶酔!ヘルツォーク」より一部抜粋)とあるので、検索してみたところ、このページが見つかりました。しかしながらここには前述のような記述は見られませんでした。ウェブで公開されていない、当時発行されたパンフレットに載っていたのかもしれません。リンクをはったページは、この映画を見るうえで参考になる内容ですので、今後折を見て触れていきたいと思います。
この映画は評判通り、暗く、絶望的な内容ですが、示唆に富んだ場面やセリフがいくつもあり、考えさせられるものでした。私自身はヘルツォークに関しての知識も乏しく、あれこれ語れるわけではないのですが、自分が見た限りで、もしイアンに影響を与えたとすればどういうところか、それから、どうしてもイアンの人生と重ねて見えてしまう場面があったりもしたので、そういったところを書いてみたいと思います。……と思いつつ、滞っていたわけですが、最近ヘルツォークの「アギーレ/神の怒り」を見たことをきっかけに、「シュトロツェクの不思議な旅」のシーンのいくつかについて、改めて考えさせられたこともあったので、まとまった形にはならないかもしれませんが、思いつくままを書いていきたいと思います。
「She's Lost Control」について――(2)」の記事で、“イアンには笑っているイメージがないです”というコメントをいただきました。ジョイ・ディヴィジョンのメンバーは、普段はふつうに冗談を言って笑ったりしていたようですが、バンドのイメージ作りのため、イアンをはじめメンバーの笑っている写真はほとんどなかったようです。2010年に出版されたマンチェスター出身の写真家・ケヴィン・カミンス撮影の写真集『Joy Division』には、おそらくファンの間ではおなじみの写真の、別アングルから撮ったものなどが多数収録されています(残されているイアンの写真の多くはこの人の撮影によるものです)。例えば、写真集のインデックス番号80~94、1979年の1月に撮られた、雪のマンチェスターをメンバーたちが歩く一連の写真(「ザ・ベスト・オブ・ジョイ・ディヴィジョン」のジャケットになっている、雪の橋の上での写真は、そのうちの1枚です【インデックス番号92】)には、メンバーの笑顔をとらえたものがいくつかあり、新鮮に感じられました。スティーブン・モリスの笑顔が多いのが印象に残りますが、そのうち、イアンが少しだけ笑っているように見受けられる写真が1枚【インデックス番号80】あります。写真集全体の中でイアンの笑顔の写真はこれだけです。
イアンの笑顔をとらえた映像も殆どないようですが、1つだけ印象深いものが、ドキュメンタリー映画『ジョイ・ディヴィジョン』にあります。ちょうど1stアルバム「アンノウン・プレジャーズ」についてバーナードが、そのサウンドが暗くて気に入らなかったと述べているあたり(37分前後)に、イアンの微笑んだ顔が、スローモーションで16秒程度映し出されます。この表情はとても自然で、穏やかな好青年といった感じがあり、また、幸せそうにも見えます。映像の出どころ、また、この箇所に使われた理由は分からないのですが、この直後に「She's Lost Control」の作詞のきっかけについてのエピソードをバーナードが語り、続いて1979年7月20日にグラナダテレビ「what's On」という番組で「She's Lost Control」を演奏するシーンに切り替わります。この映像の流れは、「ステージでは別人になった」というエピソードを思い起こさせるとともに、バンドが一気に有名になって、発病があって……というわずかの間にイアンに起こった劇的な変化を象徴するようでもあります。
さて、ヴェルナー・ヘルツォークの「シュトロツェクの不思議な旅」のDVDを購入して視聴し、いくつか気になったことをブログに投稿したいと思いつつ、ずいぶん時間がたってしまいました。DVDに添付されていた解説(ブックレットのようなものではなく文庫判の1枚の紙)には、「……尚、イギリスの伝説的ロックバンド、[ジョイ・ディヴィジョン](後のニュー・オーダー)のボーカリストであるイアン・カーティスが、自殺の直前にTVで本作を見ていたことから、その影響を受けたのでは、と言われている。」とあり、「えっ!」と思いました。「見た」ことは確かですが、影響を受けたのかどうか……そのへんが今回の記事のテーマになります。ところで、この解説の最後には(パンドラ発行「陶酔!ヘルツォーク」より一部抜粋)とあるので、検索してみたところ、このページが見つかりました。しかしながらここには前述のような記述は見られませんでした。ウェブで公開されていない、当時発行されたパンフレットに載っていたのかもしれません。リンクをはったページは、この映画を見るうえで参考になる内容ですので、今後折を見て触れていきたいと思います。
この映画は評判通り、暗く、絶望的な内容ですが、示唆に富んだ場面やセリフがいくつもあり、考えさせられるものでした。私自身はヘルツォークに関しての知識も乏しく、あれこれ語れるわけではないのですが、自分が見た限りで、もしイアンに影響を与えたとすればどういうところか、それから、どうしてもイアンの人生と重ねて見えてしまう場面があったりもしたので、そういったところを書いてみたいと思います。……と思いつつ、滞っていたわけですが、最近ヘルツォークの「アギーレ/神の怒り」を見たことをきっかけに、「シュトロツェクの不思議な旅」のシーンのいくつかについて、改めて考えさせられたこともあったので、まとまった形にはならないかもしれませんが、思いつくままを書いていきたいと思います。