荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

これもベネチア

2010年06月21日 01時42分13秒 | 映画

Snakeinjune 「六月の蛇」20日、ディノスシネマズ札幌白石

 雨が降り続く六月。りん子(黒沢あすか)は都内にある心と健康の電話相談室に勤めている。夫(神足裕司)は風呂場を自分でいそいそと掃除するほどの潔癖症。その夫は仕事の接待疲れか二人はセックスレスだた。ある日、りん子は職場で相談の電話を受け取り、相手を励まし、自殺を食い止めることができた。だがそれをきっかけにその男(塚本晋也)からスト-カー行為が始まったのだ。彼女の自慰行為を盗み撮りした写真が送られ、携帯電話でいろいろ要求してきた。

 4947127528375_1l2002年ベネチア国際映画祭・審査員特別大賞を受賞した。塚本晋也は監督、出演のほか、製作、脚本、撮影監督、美術監督、編集を担当。そのほか寺島進、鈴木卓爾、田口トモロヲ、不破万作。

都市と肉体をテーマとして追及し続ける塚本監督。ストーリー的には見やすい。黒沢、神足ともフレッシュな演技を見せてくれる。神足の頭にメガホン状の突起物を付けて、同じ人間がたくさん並んだシーンは塚本ならではの迫力。


ムキムキギレンホール

2010年06月19日 17時03分18秒 | 映画

「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」19日、東1005730_01宝プラザ

 古代ペルシャ帝国の第三王子ダスタン(ジェイク・ギレンホール)は二人の兄と違い、王の血はつながっていなかったが、王が子供の頃に将来を見越して養子にしたのだった。彼は兄や叔父(ベン・キングズレー)と聖なる都アラムートを征服した。だが、戦勝の宴でダスタンが贈った法衣を着た王が、毒により死んでしまう。ダスタンに嫌疑がかけられるが、アラムートの王女タミーナ(ジェマ・アータ001ートン)の手引きで逃げることができた。ダスタンは無実を証明するため、短剣を持ってタミーナと共に旅に出ることになる。その短剣には時間の砂が入っていて、時間を逆戻しできるパワーがあった。

 「パイレーツ・カリビアン」シリーズのプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが製作を手掛け、監督は「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューエル。

 ギレンホールの暑苦しい顔が果たしてこの手の歴史アクションにはまるのだろうか、疑問だったが、まあまあの出来だ。かなり体を鍛えて、ワイヤーアクションもあり、 002_2 ひ弱な印象をぬぐっている。ディズニー映画的ではある。展開やアクションシーンはどこかで見たような既視感に囚われるが、そこそこ楽しめる。


男たちのヒート祭り

2010年06月19日 00時02分01秒 | 映画

1008212_01    「ボーダー」18日、ユナイテッド・シネマ札幌

   長くコンビを組んできたニューヨーク市警のベテラン刑事、ターク(ロバート・デ・ニーロ)とルースター(アル・パチーノ)。犯罪者ばかりをねらった連続殺人事件が発生する。ターゲットは捕え切れない犯罪者たちで、法の手の届かない悪人たちだった。そして、捜査を進めると、犯人は犯罪者に制裁を加え003ようとする警察官と思われ、証拠はいずれもタークの犯行を示していた。

 二人は「ヒート」以来12年ぶりの本格共演。デ・ニーロが相棒にアル・パチーノを指名したという。監督はジョン・アヴネット。脚本は「インサイド・マン」のラッセル・ジェウィルス。

 筋としてはどん002でん返しもあり、そこそこ面白い。どんでん返しと言っても何とな004く分かるんだがね。でも最初に出てくるデ・ニーロの告白シーンはやはり、見事な伏線になっている。

 やはり重鎮2人の絡みは醍醐味がある。「ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え」と一緒に「男たちのヒート祭り」とか何とかと宣伝していたが、あの声優誰でしたっけ。若山弦蔵か、森山周一郎か。ま、それはそれとして男たち、中年男のぶつかり合いですね。味がもう出がらしになってるんではないかと思いきや、結構タフに生きている。十分気合いが伝わります。


熟練40年

2010年06月17日 14時23分20秒 | 音楽

「Greatest Hits Rerecorded Volume One」ラリー・カールトン

B'zの松本孝弘との共演アルバムを出したカールトンだが、1969年のデビューからこれまでのキャリア40年のヒット曲を新録音で再演した。21689

ベースに息子のトラヴィス・カールトン。このほかはジェフ・バブコ(key)、ヴィニー・カリウタ(ds)、ポール・セラ(sax)。

収録は「 All In Good Time」「 Room 335」「 Smiles And Smiles To Go」
「 Hello Tomorrow」「 High Steppin'」「 Kid Gloves」「 RCM」「 Red Hot Poker」「 Terry T」の9曲。名曲「ルーム335」もゆったりと聞かせます。あのころのギンギン聞かせる弾き方よりも、よりメロウでブルースっぽい。ジャケット写真そのままだが。余裕と言うか、まさに円熟。

 よく 「夜の彷徨」は聞いたが、学生のころ札幌のVeeJayでアルバイトしていたころだったが、小樽の本店に行ったらこれがかかっていた。広い空間に、ギブソンES-335がびんびんに響き、伸びの良いチョーキングに頭がくらくらしたものだ。1978年の録音で、当時はもうクルセーダーズなんかでも人気を博し、これがメジャー初のリーダーアルバム。今回のライナーノーツには当時の話が載っている。このときのレコーディングは、本当の最初がスティーブ・ガッドとジャコ・パストリアス、マイケル・コロンビアとやったそうで、これがお蔵入りしたそうだ。そしてジェフポーカロ、グレッグ・マシソン、エイブ・ラボリエルとやったのが収録されたのだという。ええっ、最初のやつが聞きたいね。


ゆるく、明るい日記

2010年06月17日 13時51分06秒 | 映画

「株式会社 家族」

 また白い本だ。120ページちょっとのエッセイ集(「リトルモア」9784898152805l )。どこかで取り上げられていたのを見たのだが、著者は山田かおり。1974年、兵庫県尼崎市生まれ。京都芸術短大(現京都造形大ファッション科)卒。ファッションブランド「OFD」を作り、CM、舞台、ファッション誌などに衣装提供。2006年よりOFDのウェブサイト上のブログで日常と家族のことを綴ってきたという。本のイラストは妹の山田まきが担当している。

 家はあまり裕福ではないが、明るい一家なようだ。関西弁の良さがにじんで、ピントはずれな受け答えもおかしいが、ゆるく、不思議な幸福感が漂う。そこが決め手だ。
「父の手帳」というタイトルでは、父の手帳にはゴルフのメモだけが書いてあって。ゴルフ場に行くことがないのに「スイングのメカニズムを空想で綴った」という。どぶ川を挟んだ空き地で毎晩スイングするようで、そのたびに誰か見てくれと呼ぶのだそう。「満足げに笑う目と目がしばし合う。父のボールは想像の世界ではめちゃ飛んだようだ。一刻も早くこたつに入りたい私たちは『今のすごかったよな!』と驚いてみたりする」。そして玄関先に立てかけられたゴルフクラブには「通りすがりの猫がしっこをかける所定の場所になっている。たまに父の枕にウンコもする」のだそうだ。

 その父は著者に「おまえいっぺんユニクロ連れてったらあかんな」と語る。ドライブスルーで車を降り「ポテトチップ」って言うと「フライドポテト」がきちんと渡され、妹が著者にこっそり、女店員のことを「あいつかっこいいよな」と言った。

「女優」という題ではこうだ。本の中で最も短い作だ。

母が「二コールマンキッドって綺麗やね」って言ってから正しい名前がわからなくなった。

別に言い間違いばかりではないのですが、このほか、ジェームス・ブラウンと呼ばれる伯母さんが登場したりと。まあ、脱力系、関西系、ヘタウマ系家族日誌という内容です。こういうテイストは自分にはない部分なので、ちょっぴりうらやましく感じます。


49歳の転身

2010年06月17日 13時12分36秒 | 映画

005 003 「RAILWAYS」16日、札幌シネマフロンティア

 大手家電メーカーで人事に勤める筒井肇(中井貴一)は49歳で、役員への昇進も決まり順風満帆なサラリーマン生活を送っていた。そこに故郷の島根で一人住む母親(奈良岡朋子)が倒れたとの知らせが届く。久しぶりに娘(本仮屋ユイカ)と帰省するが、娘からは仕事漬けの姿に嫌みを言われる始末。そこへ同期入社の友人が事故死したとの連絡が入る。そして、幼い頃に持っていた夢を再び思い起こす。それは自宅前を走る「バタデン」の運転士になることだった。

 自身も島根出身の錦織良成監督。妻役に高島礼子。野球を断念して入社した若い機関士1008026_01_2役に三浦貴大。そのほか橋爪功、佐野史郎、宮崎美子、遠藤憲一、甲本雅裕、渡辺哲、石井正則など。

 そりゃ「告白」と比較するなら、対極にあ002る映画だろう。でも今の私には、映像的にも斬新で、才能を感じさせる映画であっても、それが所詮フィクションでしかないならば、「ださい」とう範疇に入る映画であっても、それが事実に立脚している作品であり、自分がより身近に感じることができるテーマを扱ったものであれば、むしろ後者にシンパシーを感じざるを得ない。それなら映像表現でなくてもいいじゃないかと言われそうだが。いや全く。確かに古くさい、しょっぱい映画だが、やはりこういう映画もあっていいんだ。

  


衝撃?

2010年06月17日 13時03分08秒 | 映画

003  「告白」16日、札幌シネマフロンティア

 ある中学校の1年1007975_01B組を担任する教師の森口悠子(松たか子)は、3歳の一人娘愛美を失った。中学校のプールで溺死体で発見されたのだ。森口は終業式後のホームルームで「私の娘はこの1年B組生徒2人に殺されたのです」と衝撃の告白をする。森口先生は辞め、4月、クラスはそのまま2年生に進級。犯人Aは登校していたが、いじめに遭い、犯人Bは不登校で、自004宅に引きこもっていた。

 原作は2009年の本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説。監督は「嫌われ松子の一生」の中島哲也。

 こういう映画と出会えるのだから、そんなに2010年って年は悪くない。畳みかける映像表現の妙と、もともと現代の親子、学校などの抱える問題をきちんと見せたことで、リアリティーを生んだ。


脱出劇

2010年06月16日 01時31分58秒 | 映画

D110719243 「穴」15日、蠍座

   サンテ監獄の獄房の一室にガスパル(マーク・ミシェル)が入ってきた。すでにそこは4人の男が入っていた。ロラン(ジャン・ケロディ)、ジェオ(ミシェル・コンスタンタン)、マニュ(フィリップ・ルロワ)、ボスラン(レイモンド・ムーニエ)は毎日ボール箱を組み立てていた。だがそれはカモフラージュで、彼らは重罪裁判所に出廷し、長い懲役が待っているため、脱走を計画していたのだ。4人はガスパルを信頼し、計画を打ち明けた。獄房の床板を上げて、コンクリートの床に穴を開け床下へ降り、下水管へ出た。部厚いコンクリートの壁も横の崩しやすい壁に穴をあけ、ついに姦通した。いよいよ決行というその日、看守長からガスパルに呼び出しがかかった。

 1960年、「モンパルナスの灯」のジャック・ベッケル監督。彼の最後の作。実際の事件をもとに書かれたジョゼ・ジョヴァンニの小説を映画化した。

 なかなかスリリングに展開する。脱出劇というのはそういうものだろうけれど、中でも下水道の壁を迂回しながら掘るシーンは、相当根性の入ったと言うか、執念がなければできない。もう駄目だと観客に思わせながら、見事に各役者が演じた。土砂が崩れるシーンもよかった。悪党たちなんだけど、思わず応援したくなる。5人目の男のガスパルに対する警戒心。他の四人はもっと警戒しても良さそうなんだけど。特に彼は告訴が取り下げられる可能性があるという、4人とはかなり位置づけが違う。最後の日の所長に呼ばれた時にもっと4人が猜疑心を高じさせる展開になってほしかった。意外と、彼の言い訳を早く聞き入れてしまったのは、心理劇としてはもったいない。でもそう信じさせるほど、ガスパルの柔らかい物腰がうまく、4人に取り入ってしまったのだろうか。


六人の女優

2010年06月16日 01時31分08秒 | 映画

335990_002   335990_005   「FLOWERS」15日、札幌シネマフロンティア

 昭和11年、凛(蒼井優)は父親寅雄(塩見三省)が決めた結婚に悩み、式当日に花嫁姿のまま家を飛び出してしまう。昭和30年代、凛は3人の娘、薫(竹内結子)、翠(田中麗奈)、慧(仲間由紀恵)を授かり、娘たちは高度経済成長を遂げる時代を生きていた。薫は夫と死別し、翠は雑誌編集者として頑張り、結婚を意識していた。慧は結婚したが、周囲の反対を押して子供を産み、母体への負担を感じながら二人目の子供を産むかどうか迷っていた。時は変わり2009年、奏(鈴木京香)はピアニストの夢に行き詰まり、恋人とも別れた。だが、お腹には赤ん坊がいた。祖母の告別式で、久しぶりに会った妹の佳(広末涼子)は子供と夫と幸せそうな生活を送っていた。

 6人の女優が昭和から335990_003平成まで、三世代の日本女性の恋や仕事へひたむきに生きる姿を演じた。資生堂「TUSUBAKI」のアートディレクションをしていた大貫卓也が企画・製作総指揮、製作会社ROBOT所属で「タイヨウのうた」の小泉徳弘が監督。映像に最新技術を使い、モノクロで昭和初期を描いているが、その色調は深く、めりはりが付いている。335990_006小津安二郎のオマージュ的な章だ。

 男性陣は大沢たかお、井ノ原快彦、河本準一、平田満、長門裕之。このほか真野響子。

 宣伝臭いし、見ている人によっては人がよく変わるので筋が追いにくいようだった。後ろの席でおじいさんに話しかける、うるさいおばあちゃんが「ころころ変わって、よくわからん」とうめいていた。確かに三世代がどうつながってるのかチャート図を頭に入れていなければ、面白くないかも知れない。それでも少しずつ、つながっていくと、それはそれで面白い。「繋がり=世代」というのは普遍的テーマだし。

 ただし、男性側が描いた女性像だから、ちょっと頑張り屋さんに応援って感じで、まあ悪人がいない。その分深みがないんだが、その方が安心して見られるか。六人もいれば、もっと欲深い奴が335990_004いてもおかしくないだろうけど。まあ、健気という感じの女性335990_007像には違いない。男側はいいけど、女性側から見ると、ステレオタイプな描き方だって少しは反発来ないかな。冷静に見れば、その方が健全な反応だろう。

 それはそれとして、映像の色調とアップを多用したカメラワークが大型スクリーンに映えた。ちょっと、これ見よがしな感じがして、最初は嫌みだったけど。たまにはこういう映画もあったっていいだろう。でも昔は…、と後ろ向きに解釈した作品はすぐ飽きられるんじゃないかな。一体この作品がこれからどう扱われるのかなあ。


友人を送る

2010年06月16日 01時29分54秒 | 日記・エッセイ・コラム

送別会 14日、焼20100614190501_2 きとりじゃんぼ

道東に赴任することとなったNさん。いろいろあったが、ひとまず区切りだ。心にわだかまりもあったはずで、小指の先ほどの戸惑いは口にしたけれど、そんなのちっぽけ、てな感じで、とても前向きだった。元気でやってきて、またどこかで一緒に?仕事しよう。

二十年前に一緒に走り回った。朝早く夜遅い。汗臭いソファ。厳しい先輩。はちゃめちゃであり、抜かれた悔しさも思い出すが、そんな若気の頃は今となってはもう遠くにあるのみだ。それはそうと、若気で思い出したわけではないのだが、Nよ、あのころより頭髪が濃くなった気がする。気のせいではない。良かったよ、うん。

今日は札幌まつり。通しに珍しく 鰻(白焼き)も出た。

一人道東へ行く君に

君はこの三年間、多くの知己友人を作った。

人との出会いは、人間にとっての酸素。酸欠にならずに良かった。

福祉の現場で「あなたに会えて良かった」って激励もされたんだってね。

新天地でも、その調子でどんどん仲間を増やしてください。

□□□

君はこの五年間、会社のいろいろを見てきた。

たくさんの激励があった。でも腫れ物に触るような振る舞いも感じただろう。

「陰でこそこそ言わず、直接言ってほしい」って言ってたよね。

大丈夫、新しい場所には冷たい人の目や口は存在しないんだから。

□□□

君はこの二十年、心が荒れ、やせ細る同僚を見てきた。

希望が欲望に変わり、人望が失望に変わる。その瞬間と、薄汚れた姿を。

「まだ書きたい」。サツ回りのころ抱いていた初心は消えていなかったね。

やれるさ、人の愚かさと、温かさを両方知ってるんだから。

□□□

君はこれから二年か三年、新しい職場で働くのだ。

妻子を置き、単身赴任だという。同じ陸地、歩ければ歩いていけるし、心もつながってるさ。

肝臓が悪く、酒はあまり飲めなくなった。いいさ、量より質だよ。

前途洋々。読者から預かったペンで、自分のペースで楽しく、朗らかにやってくれ。


トビーよ

2010年06月15日 12時20分13秒 | 映画

「マイブラザー」14日、札幌劇場

 海兵隊員のサム(トビ002_2ー・マグワイア)は父親からも信頼される良き家庭人で、弟トミー(ジェイク・ギレンホール)は厄介者だった。トミーが出所するのと入れ替わりに、サムは妻グレース(ナタリー・ポートマン)と二人の娘を残し、アフガニスタンに出征する。ところがグレースのもとにサムの訃報が届く。悲しみに沈むグレースに、トミーは気を紛らわせてもらえるように家の台所を直す。彼自身も兄嫁や姪たちを支えながら、更生していく。だが、死んだ004    はずのサムはアフガンで奇跡的に生き残り、生還する。

 もともとスザンネ・ビア監督によるデンマークの「ある愛の風景」という映画があり、これを「マイ・レフトフット」のジム・シェリダン監督がリメイクした。トビー・マグワイアはどうも好きになれなかったのだが、これは凄い。素晴らしい演技だ。それにしても、あの過酷さは、口では言い表せない。ありゃあ、ぶっ壊れるよなあ。人気俳優勢揃いだが、こういう映画は広く見てほしいし、作り手の狙いはそこにあるのだと思う。なかなかの名作だ。

 元の本がやっぱり素晴らしい003のだろう。ぜひ、デンマーク映画を見たい。W杯サッカーだけじゃないね。

 ギレンホールも暑苦しいが、いい。父親役のサム・シェパードもさすが。


なかなかのサスペンス

2010年06月12日 20時11分47秒 | 映画

「悪魔のような女」12日、蠍座

   パリ郊外の小学校は、クリスティナ(ヴェラ・クルーゾー)の財産によって運営され、夫のミシェル(ポール・ムーリッス)が校長となっていた。妻も教鞭をとり、もう一人の女教師ニコオル(シモーヌ・シニョレ)とも関係があった。傍若無人な男に二人の女は殺人を計画する。ニコオルは、クリスティーナに命令してミシェ21c1qnekbzl__sl160_ルに睡眠薬入りの酒を飲ませ、浴槽で窒息させた。死体は学校のプールに投げ込んだ。だが、ある日、プールの水を抜くと、死体は無かった。

 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の1955年の作品。原作はピエール・ボワローとトーマス・ナルスジャックが合作した探偵小説。

 どうも初めの方で、字幕ではニコオルを愛人のように紹介していて、正妻と第二夫人が一緒にいるシチュエーションに、一体どうなってるんだという感じになった。どうも一夫多妻の世界というか。それにしても殺そうと思われるぐらいだからか、男の方がやたら暴力的で感じ悪い。それにしても、プールの水を抜いたら…の展開は面白い。サスペンス映画の古典でもある。でも心臓まひで正妻が死ぬかね。まあ、弱っちいと言うことなんだろうけれど。面白かったが、フィルムはかなり古い。

 なお1996年に、シャロン・ストーンとイザベル・アジャーニでリメイク版が作られている。


もてもて

2010年06月12日 20時10分15秒 | 映画

「人間失格」12日、蠍座

 資産家の息子大庭葉蔵(生田斗真)は東京で、同じように絵を志す堀木(伊勢谷友介)に出会った。遊び人の堀木の影響で放蕩三昧の日々を過ごし始めた。次第に疲れ果て、カフェの女給常子(寺島しのぶ)と鎌倉の海41try5feful__sl500_aa300_で心中を図るが、自分だけが生き残ってしまった。その後は子持ちの記者静子(小池栄子)の家に転がり込む。

 太宰治の「人間失格」を荒戸源次郎が映画化。生田は映画初出演、初主演。森田剛の中原中也役などアイドルを配置。このほか、坂井真紀、石原ひとみ、石橋蓮司、大楠道代、三田佳子、室井滋。

 角川歴彦の製作総指揮で分かるようにこの映画は角川映画。まあ、生田は艶っぽく、それなりにきれいに撮れている。深みはないけどね。それはそれで、わたしには十分だった。公開時に見逃していたから、まあ蠍座でやるとは驚いたが。太宰治入門編という感じで若い人には入りやすいだろう。蠍座には年寄りが多いだろうから、年寄りにもまあ、こういうアイドルもいるんだよってことで。

 それにしても室井滋はおいしい役だったね、生田からキスされるんだから。いいのか。大楠はさすがの貫禄。こういう文壇バーは一度ぐらいのぞいてみたいね。そういえば、葉蔵はアブサンかなんかの強い酒を飲んでいたね。それにしても最後の三田佳子は、うーん、何か怖いような。


11人の達者な役者

2010年06月11日 22時16分41秒 | 映画

「シーサイドモーテル」10日、ユナイテッドシネマ札幌

 予告編、前宣伝の特1008149_01別番組などを見て期待してた。出ている役者は乗ってるし、いいのだが、どうしても寝てしまった。それも二度三度と。風邪気味だったからか。それとも…。

 山間にあるシーサイドモーテル。4つの部屋に11人の男女が偶002然集まった。インチキ化粧品を売るセールスマンの亀田(生田斗真)が泊まっている103号室に、コールガールのキャンディ(麻生久美子)が間違えて入ってきた。一方、202号室には借金を踏み倒し恋人の留衣(成海璃子)と身を潜める朝倉(山田孝之)がいた。借金取りの相田(玉山鉄二)とその子分チー坊(柄本時生)に見つかり、相田が呼んだのは伝説の拷問職人ペペ(温水洋一)だった。203号室にはEDに悩むスーパーの社長太田(古田新太)と欲求不満の社長夫人(小島聖)。そして102号室には潔癖症のキャバクラ嬢マリン(山崎真実)と、彼女に入れ上げる石塚(池塚鉄洋)がやって来た。005 

 監督は「スクールデイズ」の守屋健太郎。それぞれ絵になる。それは間違いない。ただ、しかし、物語としての個々の繋がりはあるにせよ、004それがはっとさせるものでない限り、面白くない。全く関係のない流れが最後に怒濤のように収斂していく物語を見たかった。でも、まあ、それぞれの役者の達者さは十分感じ取れた。まあ、それだけだけど。ここは一つ、スチール写真でも見て満足してほしい。

 個人的には、個人的に決まってるが、麻生久美子の「何とか何とかの、キャンディーでーす」って身振りしながら登場するのが何ともいい。こういうギャップある役もたまにはいいだろ003う。山田と玉山はご存じ「手紙」で兄弟として共演し、感涙させていたが、ここもえぐい。特に山田は体を鍛えているのだろうが、336141_003太りやすい体質と見た。ひげ、汚らしい。そして古田。もっと面白いところを見たかった。 成海よ、君はまだ未成年なんだからね。その程度でいいんだよ。    


医師と患者の信頼関係

2010年06月11日 21時21分55秒 | 映画

  「孤高のメス」9日、札幌シネマフロ002_2ンティア

地域医療と臓器移植という、普通なら違う方向にある二 つの003医療分野の大きなテーマをうまく組み合わせた点が、非常に説得力を持って胸に響いた。

   1989年、海辺の小都市にある市民病院さざなみ病院は、京葉医大が派遣する医師に依存しきっていたが、そこから外科医の当麻勝彦(堤真一)が赴任してきた。彼はピッツバーク大で腕を磨く一方、患者のことを第一に考えてきた。看護師の浪子(夏川結衣)や一部の医師は仕事への情 熱を取り戻すが、保守的な考えの第一外科医長野本(生瀬勝久)らは反発する。ある日、市民病院の強化に力を注 いできた市長(柄本明)が 末期の肝硬変で倒れる。一時は娘(中越典子)からの生体肝移植を考えたが、肝臓の大きさが違い、断念。そこに浪子の家の1007752_01隣に住む小学校教師武井静(余貴美子)の息子が不慮の事故に遭ってしまい、脳死となる。そこで当麻は脳死肝移植を決行する。

 原作は現役医師でもある大鐘稔彦のベストセラー小説。このほか吉沢悠、中越典子、平田満など。監督は成瀬出。009

 脳死移植は日本でこの1989年に行われていない。実際には1997年10月に脳死移植法が施行されて、99年2月に第1例が行われた。毎年5例ほど実施されているが、ドナー不足は深刻だ。1968年に札医大で和田移植があり、その時の脳死006判定に不透明さが指摘され、刑事告発され、結果的には嫌疑不十分で不起訴になったものの、以来、国内での脳死移植はタブーとなった。そんな環境下、1989年にやろうとするのは当たり前だがものすごい勇気とプレッシャーがあっただろう。国内では法律が未整備で、脳死判定の基準がないの004だが、ピッツバーグで脳死移植を経験していることで、米国で認められている基準をそのまま援用しているようだ。この映画では不起訴処分になっているが、ドナー側の理解が決め手であるように描かれている。医者の誘導がないなど確固とした信頼関係がある以上、全くその通りだろう。本当ならかなり希な話だろう。ただ法律以前の問題だとしても、絶対に外部の医者などから告発はされるだろう。なかなかただでは済まない。むしろ、そこからが闘いだろう。いずれにしても医者と患者の信頼関係はどんな状況でも大事だ。