自然に囲まれた寄宿学校ヘールシャムで学ぶキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。この施設は外界と完全に隔絶し、子供たちは保護官と呼ばれる先生のもとで絵や詩の創作に励んでいた。18歳になった3人は校外の農場のコテージで共同生活を始める。生まれて初めて社会の空気に触れ、ルースとトミーは互いに恋心を抱く。傍らでキャシーは次第に孤立する。
原作はイギリスの文学賞のブッカー賞受賞作家であるカズオ・イシグロの同名小説。
SF映画を見ているような感覚になった。まさに内容はそれだが。その境遇の中で、3人のみずみずしい感情が交差する。三人三様の演技派俳優が心に秘めたエモーショナルな部分を静かに吐き出す。それをまたマーク・ロマネク監督がやるせなく描く。 希望と諦念のはざまの中で人はいつの時代でも、いつの歳でも悩み続けるのだ。