日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

灼熱の会津を行く - おのちゃん

2018-08-05 20:47:26 | 居酒屋
太助を出ると、遠くで花火の上がる音が聞こえてきました。時間的にはおそらく最終盤の山場でしょう。しかし、見せ場に水を差すかのように、再び雨が降り出しました。雨宿りを兼ねて二軒目へ飛び込みます。訪ねるのは「おのちゃん」です。
初めて訪ねて以来、十年近く世話になった店長が退いたのは、去年の暮れのことでした。その後二月に訪ねたとき、改装のため休んでいるのを見て、店長の交代を機に店内を一新するらしいことが窺われました。次いで四月に寄ったところ、玄関回りが変わっているのを目の当たりにして、中もさぞやと想像しました。しかし、その日は開店前で確かめようがなく、今回ようやく機会が巡ってきた次第です。

磨りガラスの引戸を開けた瞬間気付いたのは、半個室だった手前のテーブル席の仕切り壁が取り払われ、店内の眺めが一変していることです。片側にだけ肘掛けがある独特な形の椅子は交換され、床と壁にも手が加えられているようでした。それだけでなく品書きも様変わりしています。日替わり中心の居酒屋然とした品書きは、掌大の写真帳に、一頁につき表裏で計二品という形になりました。その結果、頁を何枚もめくらなければ一通りの品書きを知ることができず、居酒屋としてはいささか野暮に感じられます。あくまで「居酒屋としては」ということであり、たとえばダイニングバーと横文字で表記するならあり得そうです。明太玉子焼きを始め、昔からの定番がいくつか受け継がれている一方、カルパッチョなど横文字の品が散見されることからしても、純然たる居酒屋だった改装前の店舗との路線の違いが窺われます。
このように、最初は違いばかりが気になったものの、実質的にはそれほどの違いがないことに気付いてきました。そもそも、この店を訪ねる最も典型的な状況といえば、太助で牛タンをいただいた後、軽く一杯やるというものです。酒を二杯程度と、お通しに何か一品加えられれば不足はなく、そのような前提なら使い勝手に大差はありません。
カウンターの造りが他の部分ほど変わっていないのも大きいのでしょう。厨房はおおむね元のままであり、窓側に向けて微妙な角度がついたカウンターもそのままで、充電用のコンセントが新たについていることにも即座には気付きませんでした。もちろん、窓越しに眺める定禅寺通も変わりません。日曜の営業が復活したのも好材料です。窓の外の欅並木を眺めつつ道中を振り返るという、仙台の旅を締めくくるにはこの上ないひとときが、今後再び増えるかもしれません。

居酒屋おのちゃん
仙台市青葉区国分町2-14-25 仙台リッチホテル2F
022-267-1909
1800PM-300AM

水鳥記・亀泉
お通し(塩キャベツ)
だいコン味噌煮

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