一年ぶりの再訪

清酒の季節もたけなわの今日この頃ではありますが、時を同じくして北国への遠征も佳境を迎え、平日は休養と後片付けで呆気なく過ぎて行きます。そのような中、本日は職場を早めに引けて「升本」にやってきました。
過去の記録を繙けば、前回ここを訪ねたのは奇しくも一年前の今日ということになっています。これは取りも直さず、平日に呑んで帰る習慣が自分の中で完全に廃れたということでもあります。しかし、かつての主戦場に一年以上の無沙汰をしたくなかったとでも申しましょうか。その間何か変化があったかどうかに関する興味もあり、久方ぶりに暖簾をくぐった次第です。

結論からいえば、よい意味で何一つ変わってはいませんでした。8人掛けのテーブルと丸椅子が整然と並んだ店内、厨房との仕切壁を埋め尽くす短冊の品書き、小窓の向こうの厨房で立ち回る何人もの料理人、接客する店長、お姉さんの顔ぶれに至るまで何もかもがそのままで、一年も間が開いたという感覚がありません。二人組、三人組が多い中、玄関寄りの厨房側のテーブルに独酌の先客が必ずいて、静かに酒を酌んでいるといった雰囲気も同じです。しかし、自分自身何らかの変化を求めていたわけではなく、他ならぬマンネリズムを楽しむために足を運んだ以上、大いに歓迎すべきことではあります。
平日はまっすぐ帰るという最近の指向からしても、以前ほど足繁く通うことはもうなさそうです。しかし、年に一度の機会となれば、残りの人生であと何回足を運べるかが数えられる範囲になってきます。この店が職場から徒歩圏内にありながら、それではあまりにもったいないというものでしょう。せめて四季に一度は訪ねたいと思う名酒場です。

★虎ノ門升本
東京都港区虎ノ門1-8-16
03-3591-1606
1630PM-2200PM(LO)
土日祝日定休

春鹿・春霞
たいの刺身
鯨の竜田揚
はぜ天ぷら
さんま塩焼き