日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の能登を行く - 白米千枚田

2018-09-02 13:50:15 | 北陸
輪島に午前いっぱいとどまった結果、そのまま引き返す方が無難な情勢になってきました。しかし、ここだけは訪ねておこうと思った場所があります。国道をひた走り、やってきたのは白米千枚田です。
ここを訪ねた活動仲間が、千枚田を見下ろす形で道の駅が造られ、雰囲気が損なわれたと嘆いていました。それだけに懐疑的な部分もあったのです。とはいえ、稲穂の実る季節にあえて素通りする理由もありません。そう思い立ち、足を延ばしたわけなのですが、結果としては来てよかったと実感できる眺めでした。
まずよかったのは、人出が思ったほどではなかったことです。千枚田を周回できる遊歩道が巡らされてはいるものの、大半は道の駅併設の展望台から眺めており、下りていく見物客はごくわずかです。しかしこの遊歩道がよくできています。展望台から見えるのが、どこかで見た覚えのある紋切り型の眺めなのに対して、遊歩道を上下しつつ歩くことにより、様々な角度から観賞できるという寸法です。展望台から見ただけで済んだつもりになっている人々は、確実に損していると言い切りましょう。

下りて初めて分かることがもう一つあります。田圃一枚ごとに所有者を示したらしき札が立っていることです。田圃は文字通り千枚あるとのことなので、それに等しい数の所有者がいることになります。
このことから窺われるのは、農機が使えず廃れていった千枚田が、県内外の有志の支援で維持されているという事実です。つまり、保存目的で走らせている蒸気機関車のようなものともいえ、極論すれば見世物の一種ともいえます。しかし、単なる見世物にするつもりなら、入場料を徴収していてもおかしくはありません。この景観を受け継いでいこうとする志には、素直に感謝したいものだと思います。

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