日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 -奈良萬-

2010-06-03 23:22:47 | 晩酌
料飲店では何度となく呑んでいても、晩酌では一切手を出さない酒というものがあります。今回紹介する「奈良萬」はそのような酒の代表格というべき存在です。
この酒の価値とは、品質管理と安定供給が高いレベルで両立されているということにあります。語弊を恐れず大胆にいうなら、出羽桜に近い存在とでも申しましょうか。例えば、居酒屋で最初に頼んだ酒が期待はずれに終わってしまい、次は絶対外したくないという状況に追い込まれたとします。そんなとき、この酒が品書きに載っていたとすれば、二杯目にはこの酒を選んでおけばまず間違いはありません。見方を変えると、この酒が品書きに載っていれば、一杯目は失敗覚悟で冒険ができるということです。いわば守護神のような役割を果たすこの酒ですが、それは「真っ先に選ぶ誘因が働かない」ということでもあります。華やかな香りと濃厚な味わいにおいては抜群の安定感を誇るものの、他の酒にはない際立った特徴、滅多にお目にかかれない希少性といったものがないだけに、それらを持った酒が他にあったとすると、この酒はいつも二番手以降に回ってしまうというのが真相です。
以上のような理由で晩酌においては一度も手を出したことがないこの酒も、先日の酒屋めぐりの四軒目でようやくおはちが回ってきました。もちろん本来ならば四番手に回るような酒ではありません。かすかに発泡する舌触りと、封を切るたびガスが抜けるほどの新鮮さは、前回の佐久乃花と同様素晴らしいの一言に尽きます。濃厚な味わいや適度な余韻も佐久乃花に通じるものがありますが、こちらの方が舌触りも味わいも一回り鮮明な印象を受けます。

★奈良萬 中垂れ純米無濾過生原酒
夢心酒造(福島県喜多方市)
精米歩合 55%
アルコール分 17度
福島県郡山市 泉屋酒店にて購入

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