日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の能登を行く 2020 - 怪我の功名

2020-10-03 20:09:20 | 北陸
意中の店には振られたものの、怪我の功名とはいえるかもしれません。十五夜に勝るとも劣らない、見事な月を眺めることができたからです。
意中の店とはもちろん「どんぶらこ」です。宿を出てまっすぐ向かったのもここでした。しかし、一見すると空いているにもかかわらず、帰ってきたのは満席という無情の返答でした。予約満席、さもなければご時世に鑑み札止めにしたということでしょうか。いわば梯子を外されたことで、直ちに次へという気分でもなくなりました。しかし、結果としてはこれが分かれ道となりました。折しも昇ってきた月が、絵になるとすれば岸壁の方だろうと思って向かったところ、お誂え向きの眺めが広がっていたのです。
東の空を眺めると、正面には高い山が連なります。その上空のほどよい高さに月が浮かび、鏡のような凪いだ水面に月明かりが映っていました。しかも心憎いのは、いかにも秋らしい薄雲が出ていることです。薄雲が刻一刻と形を変え、月も次第に昇っていくため、いつまででも眺めていられそうな気がしてきます。しかし、雲一つなければ単調な眺めになっていたでしょう。雲があるのとないのとでは大違いです。「どんぶらこ」には振られたものの、この月によって全てが報われました。
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