日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

九州沖縄縦断ツアー 2014 -安楽子-

2014-11-01 16:45:03 | 居酒屋
小雨が降る中傘をささずに石畳を歩き、電車通りを渡って「安楽子」にやってきました。
長崎の呑み屋街の特徴として、おでん、ちゃんぽん、一口餃子など、いわゆる〆の一品が充実しており、二軒目以降の選択肢には事欠かない反面、純然たる居酒屋が必ずしも多くないという点が挙げられます。そのような中、一軒目を飾るにふさわしい数少ない店の一つがここです。教祖をして「長崎の実家」と言わしめ、自身長崎では毎回いの一番に訪ねている店だけに、今回もまずはここを選ぶということで迷いはありませんでした。

以前五島からの帰りに立ち寄ったとき、開店からそれほど経たない時間帯にもかかわらず、あわや満席の盛況に出くわしたことがありました。ましてや、尋常でない数の観光客が押し寄せている今回、開店と同時に満席、あるいは予約で満席という事態にならないかと、一抹の不安を抱えて乗り込むと、幸いにしてカウンターに先客の姿はなし。中央よりやや右手、ガラスケースを正面にした特等席に着席します。
同じ店に何度も通うと、序盤から中盤、終盤にかけての流れというものが次第に出来上がり、場合によっては注文まで固定化されてくるという現象が往々にして起こります。この店の場合、着席してまずすることといえば、振り返って黒板を眺め、その日の仕入れを頭に入れつつ、全体の組み立てを考えることです。そして、大まかな組み立てが出来上がれば、その都度黒板を振り返るようなことはしません。それは、この店の品書きが直裁で覚えやすいからでもあります。常連客が慣れた様子で、品書きをいちいち見ずに注文するのが、この店のカウンターで繰り返される光景なのです。

地酒空白地帯の長崎だけに、酒に関して過大な期待は禁物。ここの酒は福岡の喜多屋一本で、一合、二合をシングル、ダブルと数えるのが長崎ならではです。黒板からは、いかにも九州らしい生鯖、それに当店名物のねぎぬたを選びました。教祖も紹介している通り、結わいた葱が箸休めには好適で、この店では欠かさず選ぶ一品でもあります。
最初は自分一人だったカウンターの右隣に、見るからに県外からの一見客と思しき二人組が着席。しかし、次いで左隣に座ったのは、紛うことなき常連の一人客です。その後も一人客が立て続けに三人現れ、カウンターはいつの間にやら満席となりました。皆黒板を振り向きもせず、慣れた様子で注文する様子が様になっています。
目の前のガラスケースに、びかびかに光ったネタが整然と並び、その向こう側では若主人が魚を捌き、左隣に立つ先代店主が揚物を担当、奥の厨房で手伝いのおばちゃんが立ち回る光景も、これまた眺めていて楽しいものがあります。それを含めて秀逸というほかなく、長崎の一軒目はここしかないと再認識した今回の再訪でした。

安楽子
長崎市浜町7-20
095-824-4970
1630PM-2130PM(LO)
日祝日定休

喜多屋×2
生さば
ねぎぬた
皮ハギ
いわし天
はも皮

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