日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in東北 2016 - 山水

2016-01-10 20:22:03 | 居酒屋
弘前の夜はまさかの展開に陥りました。当てにしていた二軒が揃いも揃って休みだったのですorz
「はすや」が閉まっていた段階では、もう一軒ある、次の機会もあると高を括っていたのです。しかし、頼みの綱の「弦や」までが閉まっていたときにはさすがに面食らいました。いずれも連休中日は営業し、最終日に休むのが通例で、過去には例外もあったとはいえ、二軒とも休むという事態は全く想定していなかった次第です。
これが会津であれば、「籠太」「麦とろ」「鳥玄」の三軒全てに振られたとしても、代わりにあそこへ行ってみようという候補がいくつか挙がってくるものです。しかし本日「しまや」は定休日です。過去に訪ねた他の店もあるにはあるものの、「はすや」「弦や」と比べてしまえば一歩譲る感は否めず、二軒の穴を埋めるには心許ないものがありました。その点では、「山女や」「しづか」とその他の間に開きがある松本に近いともいえます。
このような状況に至り、目ぼしい店を見つけられれば入り、そうでなければ以前世話になったうちのどこかへ行くつもりで、とりあえず呑み屋街を歩きました。とはいえ、そのような店がほとんどないのは経験上分かっており、実際にもこれはと直感するまでには至りませんでした。青森に泊まればよかったという結果論まで浮上する中、にわかに思い出したのが最近教祖の番組に登場した一軒の店です。その「山水」の場所を調べて向かうと、先ほど通り過ぎた薄暗い路地裏に、そのときは何とも思わなかった行灯がぽつんと灯っており、僥倖とばかりに飛び込んだというのがここまでの顛末です。

教祖の推奨店にも様々あり、是非行ってみたいと思うところもあれば、それほど食指が伸びないところもあります。後者で多いのが、ややお高めな、居酒屋というより割烹に近いところで、ここも番組ではそのような店のように見受けられました。一度は通り過ぎたという事実が示す通り、蛍光灯の行灯と袖看板が灯った外観は一見すると平凡で、教祖の導きさえなければ飛び込むことはなかっただろうと思われます。しかし、そのような店であっても心地よく酒が呑めるところに教祖の推奨店の真価があり、幸いにして今回も同様の結果となりました。
店内は画面から受けた印象以上にささやかで、カウンターが四席、それに二人掛け、四人掛けのテーブルが各一組、〆て10人入れば満席ということになります。二階に座敷もあるとはいうものの、それを入れても小さい店であることには変わりなく、普段は常連の予約客がほとんどだというのが店主の弁です。そのような店によそ者の一見客が飛び込んだ以上、最初に素性を明かしてしまった方が話は早くなります。教祖の番組を見て訪ねた旨を伝えると、そこから話が始まるという、最近よくある展開です。
番組でも語られた通り、教祖御自らこの店を訪ねたのは過去一度しかなく、店主はそれを記憶していなかったそうです。心当たりのない先から取材の申し入れを受け、何度も固辞したにもかかわらず、最後は根負けして承諾したのことでした。常連客の間でも、番組に出たことについては賛否両論あるようで、このあたりは目立つことを好まない、都会人が勝手に思い浮かべる東北人の気質そのものといった感があります。しかし、無口で頑固で職人気質な店主かというとそうではなく、饒舌ぶりは「しまや」の女将といい勝負です。例によって旅と酒を中心に雑多な話題が飛び出す中、目当ての店に振られて流れ着いたことを話すと、店主の口から思わぬ発言が飛び出しました。実は、「はすや」の店主が駆け出しの頃、ここで修行していたというのです。さらには「はすや」の店主自身おくびにも出さなかった裏話も。本人が自ら語らない以上、ここでは明らかにしませんが、意外な人間関係も知ることができ、怪我の功名といった感がありました。

単品の品書きはなく、二千円から千円刻みのコースが基本。二千円は酒肴中心、おまかせは三千円からになり、四千円以上では食事もつくという内容です。しかし全てのお客に同じものを出すわけではなく、腹具合と好みに応じて適宜調整するようで、注文した三千円のおまかせは前菜を二品、それに教祖も食した煮こごりを入れてもらい、それらに加えて三点盛りの刺身と、焼物と酒肴の六点盛という内容でした。こちらが酒呑みと見て、それに応じた内容にしてくれたのでしょう。これなら二軒目に立ち寄り、二千円の酒肴で軽く一杯やる向きにも好適といえそうです。二時間近い長居の末、最後に温かい素麺をいただいて辞去しました。

山水
弘前市北川端町15
0172-37-1177
1700PM-2230PM
日曜定休(連休の場合営業し月曜休業)

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