日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い北陸へ 2015 - 町屋ダイニング あぐり

2015-02-07 22:29:32 | 居酒屋
前回金沢を訪ねたとき、教祖の名言を拝借して、金沢へ行くことは「浜長」へ行くことであると申しました。ところがその「浜長」に振られてしまいましたorz
10時過ぎに乗り込んだところ、既に看板だったという結果です。以前は同じ時間帯に入れたこともあると記憶しており、まだ間に合うだろうと思い込んで、悠長に風呂など浴びていたのが仇となりました。おそらく、10時前後でお客が引ければその時点で看板なのでしょう。次回以降の参考としますφ(. . )

とはいえ、真打ちに振られても立て直せるのが金沢の心強いところです。せせらぎ通りを延々北上し、以前も世話になった「あぐり」にやってきました。
この店に立ち寄ったのは一昨年の秋、金沢に連泊したときです。二泊目の特権を活かして新規開拓を試みたとき、何度か通りがかって注目していたこの店を選んだのでした。何度か通ったといっても、決して賑やかな場所ではありません。せせらぎ通りに沿って歩き、沿道の店が途切れた後も暗い夜道をひたすら北上して、こんな場所に飲食店があるかと半信半疑になってきた頃、ようやく現れるのがこの店です。看板をあえて置かず、大きな窓から漏れる明かりで店の存在を知らせるという佇まいは、住宅街でも煌々と看板を灯し続けるコンビニなどとは対極というべきもので、いかにも金沢らしい上品さに満ちています。
「町屋ダイニング」を標榜する通り、大正時代の町屋を活かしたこの店ですが、自分がそれと並んで心惹かれるのが、一枚板のカウンターです。厚さこそそれほどではないものの、黒光りする艶からしても、木目の美しさからしても、相当な高級材なのは素人でも一目瞭然です。建築当時の造りをそのまま残した天井と、三和土の床が純和風なのに対し、壁面に小洒落た酒器が並んだカウンターは程よい明るさのダウンライトに照らされ、雰囲気は直截にいうならカフェバーのようでもあります。
このような雰囲気からか客層は総じて若く、店員の多くも学生風です。しかし、若い店主が造った店にありがちな騒がしさはなく、中年の一人客でも心地よく酒が呑めます。心地よく呑めるのは、若いながらも機転の効いた店員の接客によるところもあるでしょう。前回主に接客してくれたのは、筑波大でデザインを修め、その後金沢の美大に転入してきた、つまり教祖の後輩にあたる青年でしたが、今日はその青年と美大で同級というお姉さんがカウンターに立ちます。年代が全く違うこちらに合わせて話題を選んだり、和らぎ水のグラスをほどよい間合いで入れ替えてくれるところは大したもので、今回も心地よく呑ませていただきました。

富山の名店を二軒はしごし、百花繚乱の海の幸を賞味した後では、ここの品書きがやや色褪せてしまうのは事実です。しかし、酒も肴も品数は必要にして十分で、価格はどれも良心的。一本ごとに替わる信楽焼の徳利など、器の一つ一つも凝っています。金沢でいの一番に寄りたいというまでには至らないとしても、連泊したときの二泊目であったり、短い間隔での再訪であったりしたとき、立ち寄ってみたくなるよさがこの店にはあります。そのような場面が訪れたときは、この店の暖簾を再びくぐるのもよさそうです。

町屋ダイニング あぐり
金沢市長町1-6-11
076-255-0770
1700PM-2300PM(LO)
不定休

遊穂・吉田蔵
突き出し(さわら山かけ)
蓮根饅頭
西京焼

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