本日の晩酌 - 天狗舞

以前言及した酒販店の催しで聞きかじったのが、酸化と熟成の関係です。桶で熟成させると酸化が進んで琥珀色を帯び、特有の癖を持った味わいが出る一方、瓶貯蔵では繊細な熟成になるというのがその要旨でした。生酛と山廃の違いに関する話もありました。生酛がいわゆる「綺麗な酒」に向く一方、複雑さが山廃の持ち味だというものです。
それぞれの観点から典型といえる酒の一つが「天狗舞」です。琥珀色を帯びた酸化を伴う熟成感と山廃の複雑味は、たとえていうならルートビアなどと同様、いかにも好き嫌いが分かれそうではあります。しかし、紹興酒とも全く違う特徴的な味わいは、こちらの好むところです。
燗をつけると癖が和らぎ、持ち味が一層引き出されるのもこの手の酒の特徴です。アルコール分18度という原酒並みの度数も、数字ほどには感じられません。山廃の王道を行く完成された逸品です。

★天狗舞 山廃純米ひやおろし
車多酒造(石川県白山市)
原料米 五百万石
精米歩合 60%
アルコール分 18度
東京都港区 酒のくりはらにて購入