日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の四国を行く - はやし別館

2017-09-10 08:43:26 | 四国
昨晩世話になったのは「はやし別館」でした。今回反省すべき点の一つとして、早々と宿を押さえてしまったことが挙げられます。そうする必然性がないにもかかわらずです。今回は野暮用にかこつけての活動であり、日取り自体は早い段階から決まっていました。しかし昨日の結果からしても、徳島ではなく高松に泊まる余地はあり得たわけです。このような予期せざることが起きるからこそ、宿も列車もレンタカーも極力直前まで押さえない方針を貫いているわけなのですが、今回に限り早々と手配していたことで、昨日の終盤の行動が制約されてしまいました。
とはいえ、この宿自体は悪くない、いやむしろよい宿でした。和室で格安という条件が決め手になって選んだこちらの宿、一言でいえば六月に世話になった高知の「松栄第二別館」によく似ています。商人宿を勝手に想像していたところがそうではなく、政府登録の看板を掲げた観光旅館でした。実際に観光客で賑わったのは古きよき時代の話と見え、有り体にいえばうらぶれた旅館というのが実態です。しかし、古い宿に好んで泊まる自分としては、このような宿こそお誂え向きともいえます。
細部の造りに至るまでほぼ変わっていないのは、高知の宿と同様です。隅々まで手入れされており、古さより味わいが感じられることについても。昨晩は女将と思しきおばちゃんが、遅い時間にもかかわらず自ら出迎えてくれ、客室までわざわざ案内してくれました。ソファが置かれた窓際からは眉山の山頂が見え、なるほどここは観光旅館だと実感させてくれます。
日頃の手入れだけでこの状態を維持し続けるのは、改装するより骨の折れることでしょう。そして、ここまで維持してきたからには、今更改装するよりも、建て替えてしまった方が現実的なのかもしれません。それ以前に、年配の女将の跡を継ぐ人物がいるのかどうかも気になります。とはいえ、自分にとってはきわめて居心地のよい宿でした。末長く続いてくれることを願っています。

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