日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

関東一円はしご酒 2015初夏 - ぬる燗

2015-06-21 21:13:32 | 居酒屋
小休止をはさみ、再びバスに揺られて浅草に戻りました。体力的にも本日はこれにて打ち止めとなるでしょう。最後の一軒に選んだのは「ぬる燗」です。
昨日訪ねた「庄助」と同様、ここも教祖の著作・番組に加えて、「酒場放浪記」にも登場した超有名店です。しかし、「志婦や」「○吉八」「居酒屋浩司」といったなじみの深い店に比べ、この店を訪ねた回数は必ずしも多くはありません。「丸千葉」のマスターと違い、愛想を振りまくような店主ではないだけに、ともすれば一見客にはとっつきにくい店です。この店のよさを理解するには、店主と顔なじみになるほど何度も通うしかないでしょう。しかるに、生活圏から外れた浅草の、それも駅から離れた観音裏にそう頻繁に通えるはずもなく、長らく無沙汰していたのが実情です。それにもかかわらず今回トリに選んだのは、「○吉八」がまたしても休業だったのに加え、最近移転した新店舗がいかなるものかについて興味があったことによります。

結論からいえば、前の店舗のよいところを極力そのまま残したということになるのでしょうか。南北方向の通りに面していたのが東西方向の通り沿いに移り、店先にあった破れ提灯は、屋号を入れた置行灯に変わりました。店は一から造ったものではなく、おそらくは小料理屋の類の跡地に居抜きで入ったと見え、カウンターなどはいかにも前からあったと思しきものです。しかし、観音裏の明かりもまばらな路地裏という立地は変わりません。十人も入れば満席になるL字のカウンターを掘り炬燵のように仕立て、その奥に小さな座敷を置いた店の造りは、明らかに前の店舗を意識しています。小耳に挟んだところによれば、水回りが老朽化するなどして、止むに止まれぬ移転だったとのことであり、店主としても前の店舗に対する愛着があったのでしょう。片隅に置かれたかつての店舗の写真を収めた額が、そのことを無言のうちに物語っているようでした。
このような状況だけに、カウンターの居心地は意外なほどに変わりません。しいて言うなら、改装したばかりの店内ということもあるのか、照明が若干明るめに感じられる程度でしょうか。都内にごまんとある銘酒酒場に比べれば、品数こそそれほどではないものの、古風なラベルの酒を中心に玄人受けする品々が揃い、それに合わせる肴にもさりげない季節感が込められています。「丸千葉」が酒云々を抜きにしてたらふく食うのに適した店だったのに対し、こちらは紛れもなく酒を味わうための店です。酒はもういいなどといいながら、冷酒、常温、ぬる燗と三合飲み干し席を立ちました。

ぬる燗
東京都台東区浅草3-20-9
03-3876-1421
平日 1800PM-045AM(LO)
日祝日 1700PM-2230PM(LO)
月曜他不定休

ヤマサン正宗・開運・群馬泉
お通し(冷奴)
かつお塩たたき
夏野菜冷やし鉢

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