日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in九州五日目(8)

2008-12-24 23:55:01 | 旅日記
自分としては珍しく日付が変わる前の帰宅になりました。今回の旅を一言で総括するなら、「汽車旅は死んだ」と確信する旅でした。年々不便になりつつあった汽車旅も、ついに限度を超えたということです。
発券までに一時間、職場と駅との間を自転車で二往復してようやく手にした12枚組6万円超の乗車券類がそもそもの始まりです。合理化の名の下に、駅の窓口は年を追うごとに縮小され、代わりにおかれた自販機では一つの目的地へ直行直帰するプランしか事実上選択できず、ひとたび列車を選ぶと変更もききません。「自販機があるからそれでいいだろう」といわれても、これでは旅ができるはずもありません。手間を承知でオーダーメイドで乗車券類をあつらえようにも、駅との間を二往復しなければならず、その都度番号札をとって長蛇の列の最後尾に並ばされる始末です。旅先ではあらかじめ決まった経路を通るしかなく、気が変わってルートを変えればその都度別料金が発生します。夜行列車は今や風前の灯となり、夜間に距離を稼ぐプランも選択できません。汽車旅は文字通り「決められたレールの上を進むだけ」の面白味のないものに変わり果ててしまったのだということを、今回の旅で確信するに至りました。
ただ移動するだけが目的なら、決めてになるのは速さと安さだけです。前者では空路に、後者では高速バスにそれぞれ軍配が上がり、鉄道の出る幕はどこにもありません。それでも汽車旅をする意義があるとすれば、「ものめずらしさ」や「懐かしさ」といった感情的なものでしょうか。金も時間もある老夫婦が、古き良き時代を思いつつ旅をする…我が国の汽車旅は、そんな米国流の高尚な趣味になったのだということを実感した年の瀬の旅でした。来年は車一辺倒の旅になるでしょう…

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