日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の信濃路へ 2012

2012-10-13 20:50:25 | 居酒屋
なじみの立ち寄り場所を一通り回った後は、もちろん酒場めぐりの時間です。昼のカリーが響いて空腹感が戻らなかったり、目当ての店に二軒続けて振られたりで不完全燃焼に終わった前回でしたが、本日訪ねるのはそのときに振られた一軒「よゝぎ」です。
二年前の花見以来の再訪となったこちらの店ですが、まずおことわりしておかなければならないのは、肴には大したものがないということです。信州と県外で半々ずつ、短冊の品書きで二十種ほど並んだ酒はいずれも通好みの品々で、琥珀ヱビスの樽生ともども、店主の酒に対する造詣の深さが感じられます。しかし、ホワイトボードの肴には手の込んだものもなければこの土地らしいものもなく、どこにでもある平凡な居酒屋の品書きというしかありません。それにもかかわらず再訪に至ったのは、やはり信州の地酒と、あとは話し好きな店主が醸し出す居心地のよさとでも申しましょうか。何を話すかといえば、信州のことやら酒のことやら雑多なことどもで、別に高尚な酒談義を戦わせるわけではありません。しかしそれがよいのです。
品書きに並んだ肴は平凡でも、茎わさびと酒粕、それに店主自ら狩ったというキノコなど、時折差し出される小皿は気がきいており、店主の話術にも乗せられて酒が進んでしまいます。それは今がまさに清酒の旬でもあるからで、何を注文しても旨味が乗り切っているのはこの時期ならではのことです。そして、今の信州には酒と並んで新そばという逸品があります。信州の地酒と気のきいたあて、それに店主自ら打った十割そばがあれば、他には何も要らないような気さえしてきます。品書きの貧弱さに比して、これほどの満足感を与えてくれる店もそう多くはないでしょう。松本で地酒を呑みたい向きにはおすすめできる一軒です。

よゝぎ
松本市 大手4-10-6
090-4159-5484
1730PM-2330PM(日曜定休)

琥珀ヱビス
本金・豊賀・美寿々
お通し二品(きんぴら・ハツカダイコン)
玉葱まるごと田楽
手打十割そば
はないぐち・あみたけ・茎わさび・酒粕(おごり)

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