日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2018(17)

2018-07-17 09:03:24 | 野球
第24日は50大会333試合の開催でした。連休最終日に試合数が若干減るのは例年通りの傾向で、それを過ぎると次第に淋しくなっていくことも経験上分かっています。広島だけはこれからという状況ながら、今年もそろそろ潮時が近付いてきました。

・東北
不来方は花巻東の餌食となるも福岡は勝ち、選手権では五年ぶりとなる8強入りを果たしました。

・関東
上尾は危なげなく勝って8強に進出。シード入りしていた上尾はともかく、俄然注目なのが同じく8強入りした白岡です。記憶に新しいのは選抜4強の浦和学院を下し、決勝で惜しくも敗れた三年前です。次戦も勝てば、準々決勝で花咲徳栄との雪辱戦が実現します。
銚子商と暁星国際は16強に進出するも、選抜無敗の日大桜丘は敗れ、母校も帝京に屈しました。とはいえ、関東一に一蹴された三年前に比べれば、七回まで食い下がっただけでも天晴れではあります。

・北信越
長野で8強が出揃いました。北信は全滅し、松本の3校含む中信から4校、南信から1校、残り3校が東信という内訳で、シード上位4校のうち、初戦で不覚を取った松本深志以外の3校が勝ち残る無難な内容です。そうなったところが潮時ともいえますが、信州の高校野球は南と北の対立の縮図でもあります。昨年松商学園が奪還した覇権を、東信勢が取り返すかが終盤戦の見所です。
福井高専は古豪敦賀と共に連勝して8強に進出。30校の大会で2勝しただけではありますが、それでも8強は8強です。高専勢では今季最高の戦績となるかもしれません。

・東海
静岡は圧勝で初戦を飾るも、選抜無敗の韮山は散りました。旭丘は16強入りを果たし、次戦は春季東海大会優勝の東邦と戦います。番狂わせの可能性は低そうですが、あちらも9回裏に3点本塁打2本で逆転サヨナラという薄氷の勝利でした。東邦ですら果たせていない全国制覇を遂げた古豪の意地を見せ、一泡吹かせることはできるかもしれません。
旭丘と並ぶ皆勤15校の一つである岐阜、初代代表三重四中改め宇治山田は初戦を突破。初代代表10校の中でも、広島一中改め国泰寺と並んで影の薄い同校、大会創設100年を迎えた三年前は初戦で敗退しましたが、第100回の節目に雪辱を果たしました。
近大高専は大勝。全国に3校しかない私立高専の一つである同校、金沢高専が不出場となった今年は出場校中唯一の変わり種となります。敗れた石薬師は、公式サイトに記録が残る平成18年から公式戦10連敗となり、直近6戦のうち4戦が20失点以上、不戦敗も一つという惨憺たる戦績です。これまで取り上げてきたあけぼの学園、昴学園、英心にしてもそうですが、三重には絵に描いたような弱小校の宝庫でもあります。これらが相対したときにどうなるかが興味深いところではありますが、繰り返す通り弱小と笑っているわけではありません。敗れても敗れても挑み続ける闘志は天晴れです。

ちなみに、岐阜で今季二度目の延長15回が出ました。先攻の大垣養老が9回表に1点取って延長戦に持ち込み、13回まで膠着状態が続くも、14回に両軍が3点ずつ取り合い、15回表に1点、その裏に2点で決着という顛末です。タイブレーク制の導入により、再試合がなくなる代わりに、決着がつかない限り16回以降も戦い続ける可能性は出てきたものの、今のところ最長でも15回までには決着しています。賛否両論ありながらも取り入れられたこの制度が、今のところ効果を発揮しているということです。
しかし個人的には、当初から懐疑的に思っていたこの仕組みが、本質を歪めていると確信するに至りました。一言でいうなら、サッカーのPK戦のようとでも申しましょうか。あれほどの極端な差はないものの、点が入りにくい状況から入りやすい状況に切り替わることにより、前後の勝負が全く違うものに変質するところは同じです。勝負をつけることが目的化され、野球という競技の本質が損なわれているような気がしてなりません。
何より引っかかるのは、そのこと自体の是非というより、この仕組みが「故障の予防」を理由に導入されたことです。少なくとも甲子園、あるいは全国制覇を争うようなチームなら、複数投手制は当たり前になった現状で、得点機を人為的に作り出してまで早期決着させることが、「故障の予防」にどれだけ役立つというのでしょうか。そもそも、本来の野球とは似て非なる競技で決着することを、当の球児がどれだけ望んでいるのかという疑問があります。三年間の集大成を賭けて臨む選手権なら、燃え尽きることも覚悟で全力を尽くそうと考えるのが人情というものでしょう。決勝戦を例外にしている時点で、主催者もそう思っているのは明らかです。結局のところ、再試合が面倒というのが最大の理由ではないでしょうか。それならそうと有り体にいえばよい話であって、球児らを出しにするのはやめてもらいたいものです。

・近畿
彦根東が連勝で16強入りを果たしました。大勝した初戦から一転して投手戦が続き、終盤に一時追いつかれるも、直後に5点取って逃げ切るという老獪な戦いぶりでした。一見苦戦しつつも最後に勝つ老獪さは箕島も同様です。阪南大対明星の古豪対決は阪南大に軍配。皆勤記録を保持する兵庫は初戦で敗れ、同じく皆勤の西京、市岡も散りました。

・中国
初代代表にして第1回から皆勤を続け、藩校の流れを汲む伝統校でもある鳥取西が好発進するも、同じく皆勤の松江北はあっさり敗れて明暗を分けました。

・四国
初代代表高松と初代選抜王者高松商の一戦は、下馬評を覆して高松に軍配が上がりました。9回表に逆転しその裏に追いつかれるも、10回に決勝点を挙げて逃げ切るという顛末です。尽誠学園が初戦で散った今年、準々決勝は無名校との対戦となります。4強まではありうるかもしれません。
藩校の流れ汲む愛媛の両校が揃い踏みし、小松は好発進するも松山東は打撃戦の末に散りました。

・九州
初代代表久留米商が打撃戦の末に散りました。14安打で10得点を挙げるも、初回の7失点を最後まで取り返せず終戦という結果です。佐賀西も惜敗し8強入りならず。鹿児島では6試合中5試合に離島勢が登場し、大島が古豪鹿児島商を下して16強に進みました。

★南北海道大会1回戦
 北海道栄6-1函館大有斗
 札幌創成3-13x北海
★岩手大会4回戦
 不来方2-17x花巻東
 水沢工4-11福岡
★宮城大会2回戦
 名取北5-7石巻
★秋田大会2回戦
 秋田高専0-5五城目
 横手城南1-5能代松陽
 大曲農太田・雄勝・矢島2-22新屋
★山形大会2回戦
 鶴岡高専0-10酒田南
★茨城大会3回戦
 多賀4-5x霞ヶ浦
★北埼玉大会4回戦
 白岡5-2春日部
 上尾8-0越ヶ谷
★東千葉大会3回戦
 生浜1-5銚子商
 昭和秀英7-9匝瑳
 市原中央0-7x暁星国際
★東東京大会3回戦
 海城0-9帝京
 堀越22-1巣鴨
★西東京大会4回戦
 日大桜丘4-7駒大
★新潟大会3回戦
 白根7-4糸魚川白嶺
★長野大会4回戦
 中野西2-7松本第一
 ウェルネス筑北10-0東海大諏訪
 中野立志館0-9松本国際
 松商学園8-0上田千曲
 小諸0-7x佐久長聖
 長野西2-4上田西
 上田3-4岡谷南
 伊那弥生ヶ丘1-5小諸商
★福井大会2回戦
 鯖江7-8x敦賀
 大野6-7x福井高専
★静岡大会2回戦
 沼津城北0-17静岡
 韮山1-3浜松大平台
 天竜3-4飛龍
★東愛知大会3回戦
 豊田大谷1-2杜若
★西愛知大会3回戦
 中部大春日丘8-11x東邦
 旭丘9-7名経大市邨
★岐阜大会2回戦
 長良0-7x市岐阜商
 中津商4-6岐阜
 大垣養老9-10x岐南工(延長15回)
 大垣西4-11x県岐阜商
★三重大会1回戦
 石薬師0-21近大高専
 宇治山田7-6久居農林
★滋賀大会2回戦
 草津東2-7彦根東
★京都大会2回戦
 西京1-4東山
 京都成章1-2x乙訓
 宮津1-3西舞鶴
 京都学園9-10日星
★北大阪大会2回戦
 常翔啓光学園3-2市岡
★南大阪大会2回戦
 阪南大5-2明星
★東兵庫大会2回戦
 尼崎小田6-8x市尼崎
 滝川8-3東灘
 須磨友が丘10-0兵庫
 川西明峰2-0県芦屋
★奈良大会2回戦
 西大和学園1-8x畝傍
 橿原8-1奈良高専
★和歌山大会2回戦
 箕島11-6粉河
★鳥取大会1回戦
 米子5-4鳥取育英
★島根大会1回戦
 松江北3-10x出雲商
★香川大会3回戦
 高松5-3高松商(延長10回)
★愛媛大会1回戦
 松山東7-9松山北
 丹原3-10x小松
★高知大会1回戦
 追手前6-1高知南
★南福岡大会準々決勝
 久留米商10-13香椎
★佐賀大会3回戦
 佐賀西2-3佐賀学園
★鹿児島大会3回戦
 樟南二0-15れいめい
 加治木10-1古仁屋
 大島12-5鹿児島商
 指宿商6-3種子島中央
 種子島0-16鹿児島城西

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