日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の福井を行く 2020 - 赤玉金劇パシオン店

2020-09-22 22:14:11 | 居酒屋
今のご時世、九時を過ぎればどの店も看板同然です。入れたとしても軽く一杯やっていくのがせいぜいでしょう。麺類だけすすって終わりにすることも考えました。しかし、当てもなく繁華街を歩いていくと、赤玉の支店に明かりが灯っていました。あれほどいた待ち客の姿もありません。今夜はここで締めくくります。
一瞬だけ待ってから通されたのはカウンターの奥です。ただし、一番奥の二つは荷物置き場となっていて、使われているのかどうかは分かりません。おでん鍋の正面に並ぶ特等席の座布団も上げられています。物騒なご時世だけに、よほど混むのでない限り、極力使わないようにしているということでしょうか。隣の席との間に入る仕切り板は半透明の安っぽいもので、位置によっては正面にも立てられます。衛生上仕方ないともいえるものの、中程に鎮座する大きなおでん鍋が当店のよさの一つだけに、その眺めが損なわれているのは惜しまれます。
昨晩「猩猩」を訪ねたとき、その手があったかと得心させられました。艶やかに磨かれた適度な厚さの仕切り板が左右を隔て、正面には同じ板が天井に細長い鎖で繋がれていたのです。その板を左右にずらせば受け渡しもできるという仕掛けでした。「わり勘」でも、積木のような直方体を仕切り板の足代わりに使っていました。一見すると簡素なものとはいえども、美観への配慮が窺われるものでした。それらもある意味金沢らしい美意識の表れと思っていたわけなのですが、当店についてはいかにも非常時の様相です。
九時を過ぎれば看板同然だと申しましたが、当店は数少ない例外です。昨夜も今夜も大量の待ち客が出ているのを見かけました。ようやく落ち着いてきた今も、引きも切らずに注文が入り、店主、若主人と若女将の三人組は休む間もありません。今まで以上に厳重な衛生管理が求められるばかりか、連日凄まじい人出が押し寄せたことにより、体力的にも心理的にも相当厳しかっただろうということは想像がつきます。仕切り板にまでいちいち配慮するだけの余裕がないのかもしれません。美観に難癖をつけるより、奮闘ぶりに敬意を表したいものです。

赤玉金劇パシオン店
金沢市片町1-7-23
076-221-6655
1700PM-2330AM(LO)
水曜定休

池月
牛すじ
さといも
茶飯
コメント    この記事についてブログを書く
« 豊穣の福井を行く 2020 - 源... | トップ | 豊穣の福井を行く 2020 - 四日目 »

コメントを投稿