日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

偕楽園観梅ツアー 2020 - 閣

2020-03-15 18:07:04 | 居酒屋
予想外の出来事が続きます。稲荷小路を歩いていくと、当てにしていた太助の明かりが見当たりません。その代わりに見えてきたのは、シャッターの下りた店先でした。よく見れば臨時休業の張り紙が。同じく臨時休業で振られたのは一年前のことです。あのあたりからどうにも相性がよろしくありません。とはいえそこまで落胆はしませんでした。代わりの店の心当たりがあったからです。久々に「閣」を訪ねます。
太助との相性がよろしくないと申しましたが、当店との相性の悪さはそれ以上です。太助を頂点とする本流とは一線を画す唯一無二の味に惚れ込み、かつては日参したこともあります。しかしその後は休みだったり早仕舞いだったり、あるいは予約満席だったりして振られ続け、この店の存在はいつしか忘却の彼方に去りました。しかるに今回再訪するに至った経緯は、去年の大晦日に遡ります。街を歩いていたところ、思いがけないところでこの店の屋号を見かけたのです。東二番丁通に面した、電力ビルの地下にある飲食街でした。正月休みに入っており、訪ねることは叶わなかったものの、知らぬ間に支店が二つできていたと帰京後に知りました。しかも、かつてと違い昼間も日曜も営業しているとのことでした。ならば一度訪ねてみようと思っていた次第です。

暖簾分けの「雅」を除けば、頑なに一軒営業を貫いてきた当店が、支店を出すとは意外でした。このようなことになったのは、店主の代替わりによるところが大きいのかもしれません。商売上手な二代目への継承を機に、拡大路線へ舵を切ったのだろうということは想像がつきます。そうなると多店舗化の弊害も懸念されるところではありましたが、全くの杞憂に終わり、むしろ当店の真骨頂を再発見させられる結果となりました。
常々申している通り、牛タンを肴に呑むという習慣が自分にはありません。定食だけいただければ十分というつもりでした。しかし、品書きをよくよく見ると、席料代わりのお通しに角煮が出るとの断り書きがあります。ならばついでに生ビールもとなるのが必然です。さらには牛タンシチューもいただき、真打の定食で締めくくるという流れに落ち着きました。
頓に食が細ってきた近年、一軒で飛ばし過ぎるのは本来よろしくありません。しかし、一軒限りで燃え尽きても悔いなしと思われるほど、全ての品が秀逸です。汁気の多いたんの角煮にも、玉葱と香辛料の風味を効かせたシチューにも、「雅」のそれとは一味違う個性があります。そして何より真打の牛タン焼です。本流の太助以上の分厚さもさることながら、一口毎に嚙み切れる柔らかさと、適度な歯応えという相反する要素を両立させているのは天晴れというほかありません。それなりの収容力を持つ支店を二つも開いたにもかかわらず、全く質を落としていないことも特筆されます。もっと早く知っていればと悔やまれてきました。
いくつもの選択肢がある土曜と違い、日曜の選択肢は事実上「旨味太助」に限られるのが実情でした。そこへ肴町の分店が加わったのは去年のことです。さらには「閣」も選べるということになると、相当充実してきます。こちらにとっては朗報です。

閣 三越前店
仙台市青葉区一番町4-9-1 かきとく玉澤ビル 2F
050-5456-3443
平日 1130AM-1400PM(LO)/1700PM-2130PM(LO)
土日祝日 1130AM-1500PM(LO)/1700PM-2130PM(LO)
火曜定休

ヱビス
あたごのまつ
お通し
牛たんシチュー
たん焼き定食
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